300円で手売りしていた「1st Single」
──miwaさんのデビュー15周年を記念したベストアルバム「mi」「wa」の「wa」には、高校生のときに制作し、ご自身でレコーディングしたというインディーズ時代の楽曲「TODAY」「Song for you」も収録されています。
miwa 高校のときに録った音源をそのまま入れました。本当に「高校生だな」という感じの声で、すごく恥ずかしいんですけど(笑)。
幾田 録り直しせず、そのままですか?
miwa そうなんですよ。自宅にあったCD-Rから引っ張ってきて。ミックスも自分でやってたんですけど、ちゃんとLogicを使ったんですよ。スマホがない時代なので、簡単に録れる方法がなくて。マイクを立てて、パソコンにつないで録音して、それをCDに焼いてライブハウスに持っていっていました。300円で手売りしてましたね(笑)。
──今日は当時作っていたCD-Rの現物を持ってきていただきました。ジャケットのイラストも自分で描いていたんですか?
miwa はい。勝手に「1st Single」って書いて(笑)。このCD、下北沢LOFTで飾ってくれてたんですよ。
幾田 貴重ですね! 私もCDの手売りしてました。4曲入りで500円(笑)。
miwa 少し物価が上がってますね(笑)。その頃の曲で、リリースされているものもあるんですか?
幾田 高校生のときに書いた「ロマンスの約束」という曲があって、それはのちにABEMAオリジナル恋愛番組「今日、好きになりました。」の主題歌に使用していただいたんです。もちろん録り直したんですけど、当時書いた歌詞のみずみずしさにちょっとやられそうになりました(笑)。
好きなことをやればいいよね
──お互いのライブの印象についても聞かせていただけますか?
miwa 実はYOASOBIのライブを最前列で観たことがあるんですよ。2023年にColdplayの東京ドーム公演(※YOASOBIがスペシャルゲストとして出演した)のチケットを取ったら、最前列で。そのとき初めてYOASOBIのライブを観させてもらったんですけど、めちゃくちゃカッコよかったです! ワンマンライブもぜひ観たいです。
幾田 ありがとうございます! 私は学生のときに観たmiwaさんのフェスの映像がすごく印象に残っていますね。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」だったと思うんですけど、miwaさんが「ヒカリへ」をギター1本で弾き語りしている映像を観て、「すごい!」って感動して。弾き語りでライブをやり始めた身からすると、シンガーソングライターの中で頂点に立っているのがmiwaさんなんですよ。ご自身の歌とギターだけで音を轟かせて、あんなにたくさんの人がじっと聴いていて。「シンガーソングライターって、カッコいいな」と心から思いました。
miwa 恥ずかしい……。
──miwaさん自身も「アコギの弾き語りで、どれだけのことができるか?」という意識があったんでしょうか?
miwa いえ、その頃は考えてなかったです(笑)。今年デビュー15周年なんですけど、去年リリースしたアルバム「7th」でやりたいことをやり切った感じもあって。今はカナダに住んでいて、日本のトレンドみたいなものを意識しないで生活していると、「好きなことをやればいいよね」という気持ちになってきました。
幾田 素敵です。
miwa カナダにはいろんな人種の人が暮らしているし、何が流行ってるのもよくわからなくて、みんなが好きなものを聴いてるんですよ。その中で自分の強みを見つめ直すことができたというか、「ギターで素直に曲を作るのもいいな」と思ったり。幾田さんもいろんな国でライブをやってますよね。
幾田 そうなんですけど、ライブをやったらすぐに帰ってくることが多くて。でも、海外に行くといろんな景色が目に入ってくるし、遠征中にメロディが浮かんでくることもあるんです。刺激が多い場所に行くとクリエイティブにつながるんだなと思いますね。私も海外に住んでみたい、留学をしてみたいという気持ちがあります。
miwa 住みたい国はありますか?
幾田 ちゃんと音楽活動をしつつ、緑の多い街ということでは、ニューヨークやロンドンの郊外かなって思っています。理想ですけどね……。もともと自分が欲している環境はもっと穏やかな場所で、スイスの山のふもとみたいなところでパン屋さんを開きたいんです(笑)。
miwa かわいい(笑)。私、パン大好きですよ。
幾田 ホントですか! 自分で焼いたパンを毎日食べられたらいいだろうなって。
miwa 私もパンを作ってみたくて、YouTubeの動画とかもたまに観てます(笑)。部活でお菓子は作ってたんですけど、パンは作ったことがなくて。
幾田 けっこう大変ですよね。ちゃんと発酵させるのも難しいし……話が逸れてしまいました(笑)。
苦しかったときがあるから今の自分がある
miwa YOASOBIはデビュー6年目ですよね?
幾田 はい。デビュー5周年を迎えて、今年は6年目です。
miwa 階段の駆け上がり方がすさまじいですよね。忙しくなるのもわかります。
幾田 今年はソロとYOASOBIの割合を自分の中で半分半分にするのが目標なんです。miwaさんはデビューから15年の間、どうやって変化を受け入れたり、気持ちを切り替えたりしながら活動を続けてきたんですか?
miwa どうだろう……最初の5年くらいはたぶん、あまり何も考えずにやっていた気がします。その後、20代後半になった頃からいろいろ考えることが増えて。「これから先の人生、何を軸にするのか?」「キャリアや自分の人生をどう進めていこうか?」と考えていた時期は、ちょっと苦しいこともあったかな。そういう時期を超えて、この5年くらいは楽曲制作にしても、自分のあり方にしても「自分らしさ」をテーマにしてきました。最近やっと、過去の自分も笑って受け入れられるようになってきたのかなと思ってます。苦しかった時期があるから今の自分があるし、自信を持って歌と向き合えているのかなと。
幾田 素敵です。しんどい渦中にいるときはそんなふうに思えなくても、がんばっていけば、過去の自分を受け入れられるようになる……そう言ってもらえて、すごく救われました。
──miwaさん自身もデビュー15周年を迎えて、1つの区切りを感じていますか?
miwa これは内輪の話なんですけど、ずっと一緒にやってきたスタッフの方が今年で定年退職なんです。まだデビューが決まってなかった頃からずっと見てもらっていたから、今回のベスト盤も「一緒に作ってきた」という感覚が強くて。15周年までずっと同じチームで走ってきたので、そういう意味では区切りですね。
幾田 YOASOBIもそうなんですけど、ずっと同じチームで活動できるのは心強いですよね。
miwa そうですね。デビュー前の曲作りもそうですけど、自分の原点を知ってくれている人が周りにいてくれるのは本当にありがたいです。
幾田 バディみたいな感じですね。
miwa そうかもしれない。実はずっと反抗期みたいな感じなんですけどね。照れもあって、何か提案されても「そうですか?」とか言っちゃう(笑)。もちろん感謝はしてるんですけど、恥ずかしいんですよ。
幾田 わかります。私も近いスタッフの方にはなかなか素直になれないので(笑)。今日は本当にありがとうございました。miwaさんは想像していた通りの方というか、シンガーソングライターとしても女性としても理想のお方だなと改めて感じました。15年経っても自分らしく活動されているのも素敵だし、「私もがんばらなきゃ」とすごく思いました。
miwa こちらこそ、たくさんうれしいことを言ってもらって幸せでした。世界に羽ばたいている幾田さんとお話しできて、勇気をもらえたなって。
幾田 そんなそんな……! 10代の頃にmiwaさんの曲を聴いて、自分も曲を書いたり、ライブをやり始めて。今度は私の曲を聴いた中学生、高校生がアーティストを目指すこともあるかもしれないし、そうやって歴史がつながっていくのは素敵だなと思います。私にとってもとても貴重な時間でした。
miwa 本当にいい時間でしたね。夢のような対談でした!
プロフィール
miwa(ミワ)
1990年生まれ、神奈川県出身のシンガーソングライター。高校時代に音楽活動を開始し、下北沢や渋谷を中心に弾き語りライブを行う。2010年3月にシングル「don't cry anymore」でメジャーデビュー。伸びやかで透明感のある歌声と等身大の歌詞で注目を浴びる。2011年4月には1stフルアルバム「guitarissimo」を発表。2012年にリリースしたシングル「ヒカリヘ」がヒットを記録し、翌年に初の日本武道館公演を行った。2013年から4年連続で「NHK紅白歌合戦」出演を果たす。2015年3月には女性アーティストでは史上初めて、ギター1本の弾き語りで日本武道館公演2DAYSを開催した。その後も「NHK全国学校音楽コンクール」の課題曲「結 -ゆい-」など、数々のオリジナルソングを発表しながら精力的なライブ活動を展開。2024年に7thオリジナルアルバム「7th」を発表した。8月にカナダに移住したことを報告。2025年1月にアニメ「もめんたりー・リリィ」のエンディングテーマ「リアル」を配信リリースした。2月から1stアルバム「guitarissimo」の再現ライブツアー「miwa 15th anniversary 再現ライブツアー“guitarissimo”」を実施。3月にデビュー15周年記念ベストアルバム「miwa」を発表した。
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衣装協力
GYAN×2スタイル
問い合わせ先:info@gyan2style.com
SAHO(DENYEN)
幾田りら(イクタリラ)
シンガーソングライター。YOASOBIのボーカリスト・ikuraとしても活動している。小学6年生のときに初めて作詞作曲を行い、中学2年生から路上ライブを実施するなど本格的に音楽活動を開始。多数のテレビCMやドラマへの書き下ろしを行う中、2022年1月には、ABEMAオリジナル恋愛番組「今日、好きになりました。」への書き下ろし楽曲「スパークル」を配信リリースし、自身初となるストリーミング再生1億回を記録した。2024年公開の映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」では、主人公の小山門出役として主演を務め、同じく主演を務めたanoと互いにフィーチャリング参加をして主題歌を担当し、ano feat. 幾田りら「絶絶絶絶対聖域」と幾田りら feat. ano「青春謳歌」を配信リリース。2025年3月にアニメ「薬屋のひとりごと」第2期オープニングテーマ「百花繚乱」をリリースした。