ナタリー PowerPush - 蜜

“似てない2人”が奏でる絶妙ハーモニー

小柄でコケティッシュな魅力を放つ木村ウニと、どこか飄々とした雰囲気を漂わせる橋詰遼の2人から成る奇跡の唄合戦ユニット・蜜。エネルギッシュで表情豊かな木村の歌唱とパフォーマンス、そして澄んだ歌声と優しくも力強いギターの音色が溶け合って抽出される“蜜”なる音楽は、2007年の結成以来、着実な歩みで支持を集めてきた。インディーズからのリリースを経て、2012年6月にシングル「初恋かぷせる」でメジャーデビューを果たした彼らに、出会いから現在に至る“蜜”な関係について語ってもらった。

取材・文 / 宮内健 撮影 / 広川智基

2人の出会いはコンテスト

──蜜は2007年7月に初めてライブを行ったそうですが、そもそも2人はどんな形で出会ったんですか?

インタビュー写真

木村ウニ(Vo) あるコンテストがあって、元々2人とも別々の出演者として出ていたんです。橋詰くんはソロで、私は3人組のバンドでステージに立って、そこで知り合ったんです。で、それから2年ぐらい経ってから、ソロでイベントに出てみないかって誘われたことがあって。以前、橋詰くんがソロで歌ってた曲を歌わせてもらえないかなって思って、2年ぶりに連絡を取ったんです。

──そのときから男女2人でボーカルを分けあうスタイルだったんですか?

橋詰遼(Vo, G) そうですね。あとから知ったんですけど、木村さんから最初誘われたときは、僕にただギターを弾いてくれって言われてたみたいだったんです(笑)。

木村 そう(笑)。私は橋詰くんの曲を彼の伴奏で歌いたいって考えてたんですけどね。

橋詰 それに気付かないで、僕がボーカルパートの割り振りをつけちゃったんですね。僕も自分がギタリストだと思ってなかったんで、2人で歌うっていう相談だと思って受諾したんですけど(笑)。

──じゃあ、初めてリハで歌うときに「あ、なんか入ってきた」って思った?

木村 そうですね。あ、もう何も言えないって。そうか、そうだよね。橋詰くんも歌いたいよねって(笑)。

橋詰 勝手にコーラスもしちゃうし。

木村 それで、最初のライブでは2曲しか歌わなかったんですけど、結構評判が良くて。周りからも続けなよって言われて、続けてやってみようかなって。

相手が違う切り口でくるのが面白い

──最初は一度きりと思っていたのが、2人でやっていこうと思ったのはどういうきっかけからなんですかね?

橋詰 最初は僕も何をやっていいのかわからなかったので、試行錯誤してたんですけど、いつかは忘れたけど吹っ切れたときがあって。自分が楽しいと思うことを、アコギ1本でできる範囲で曲を作ってみたりとか。それが楽しめるようになった時期から、蜜としての活動が面白くなりましたね。

木村 私は曲作りというより、橋詰くんと歌うことが楽しくなってきた頃から、蜜が面白いなって思うようになりました。

──男性と女性で歌うことの面白みってどういうところにあると思います?

インタビュー写真

木村 お笑い芸人じゃないですけど、1人がボケだったら、もう1人がツッコむみたいなこととか。2人ともボケとか、2人とも攻めてるとか。1人のときよりも、相手が違う切り口で応じてできたりするから。

橋詰 そういう意味でも、歌に広がりが出せますからね。でも、最初は男女が2人いる体で曲を書いたりもしようとしてたんですけど、あんまり考えすぎるとうまいこといかないことも結構あって、そこから吹っ切れて。ボーカルについても、僕が結構女性っぽいって言われることがあったり、木村さんのほうがパワフルに歌ってたり。だから、なんでもやりたいことをやってみようって思いは強まって。

──例えば歌詞で1人称で語っていることでも、声の質が変わることで心の裏表とか、陰影みたいなものがついたりしますもんね。

橋詰 特に木村さんは、僕が書く男性目線の歌詞でも、その詞の中のキャラクターに応じてそういう発声であったり歌い方だったりを、演者として自然にできてる感じはするので。それは面白いなって。

木村 合ってるかどうかは全然わからないんですけど(笑)。

ギター1本と2人の声で全部を鳴らしたい

──蜜の基本スタイルであるアコースティック編成というのは最初から考えていたこと?

木村 今までに何度かバンドでやったりもしたんですけど、今は2人でやってますね。

橋詰 ギター1本と2人の声で全部鳴らせたらいいですよね。基本的に僕らが発する音楽の芯はそこでありたいと現状では思ってますね。

──ゲストが入ることで蜜の音楽を別の角度から照らしてもらうっていう面白さがありますしね。

橋詰 そうですね。知らないことも山ほどあるので、先輩にいろいろ教わりながら深めていければと思うんで、毎回良い経験になってますね。

デビューシングル「初恋かぷせる」 / 2012年6月6日発売 / 1000円(税込) / EMI Music Japan / TOCT-45048 / Amazon.co.jpへ

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CD収録曲
  1. 初恋かぷせる
    ~蜜×西海孝(acoustic guitar)~
  2. HE
    ~蜜×佐野岳彦(harp)×松井泉(percussion)~
  3. 私がオバさんになっても
    ~蜜×小倉博和(electric guitar)×森 俊之(organ)~
レコチョクにて 着うた(R)、着うたフル(R)配信中! EMI Music SHOPへiTunes storeへ

プロフィール写真

(みつ)

木村ウニと橋詰遼の2人からなる男女ユニット。木村はロックバンドのボーカリストとして、橋詰はソロアーティストとして活動していたが、コンテストでの出会いをきっかけにユニットを結成。アコースティックスタイルを基本に、大阪でライブ活動を行う。どこか懐かしさを感じさせるキャッチーなメロディ、美しく伸びやかなツインボーカルの妙、躍動的なパフォーマンスが繰り広げられるライブなどでリスナーを獲得。2011年10月に「いくつかの恋」、2012年3月に「ひとひらの時」というミニアルバムをインディーズレーベルからリリースしたのち、2012年6月に「初恋かぷせる」でEMIミュージック・ジャパンからメジャーデビュー。7月14日には自主企画イベント「voice dinner」を東京・渋谷7th FLOORで開催する。