ナタリー PowerPush - mishmash*Julie Watai

勝負曲「起電力ロマンス」を紐解く

mishmash*のコンセプトは“寄せ集め感”

──タカハシさんとのコラボレーションによって、mishmash*の表現の幅も広がって。もともとmishmash*のアートワークには、どんなコンセプトがあるんですか?

2012年12月にリリースされたデビューアルバム「mishmash*Julie Watai」パッケージ。

マスヤマ 「mishmash」って“ごちゃごちゃしてて、要らないもの”っていう意味なんですよ。寄せ集め感っていうのかな。Webの英和自動翻訳をonにしたまま、mishmash*のYouTubeページなどを見るとユニット名が「寄せ集め」って出るんです(笑)。今までのビデオクリップを見てもらえればわかると思うんですが、全部テイストが違うんです。とにかく僕自身が飽きっぽいですからね(笑)。そこはもう、ノリというか。

タカハシ 大事ですよね、ノリって。

マスヤマ クリエイティブに民主主義は要らないので、mishimash*の場合は、シンプルに僕がいいと思ったことをやってるだけです。あとJulieちゃんは、ゲストヴォーカリストなので、あまり前に出したくないっていうのもあるんですよね。メインは、美島さんの音楽なので。

──あくまでも音楽が中心?

マスヤマ そうですね。mishmash*は「メディアミックス」と言われることも多いし、それはそれでいいんですけど、本当は音楽だけをやりたい。ただ、僕は過去に映像やゲームのプロデュースもやってきて、優秀なクリエイターの知り合いも多いので、気付いたらいろんな人に依頼していて、どんどんプロジェクトが大きくなっちゃうんですよ。美島さんも「こういう話じゃなかったんだけどなー」って言ってますね(笑)。「起電力ロマンス」に関しては、プロデューサーの醍醐味をすごく感じられました。自分で曲を発見して、権利をクリアして、世界で一番スゴいと思っているCorneliusのサウンドプログラマーにアレンジしてもらって、ビデオクリップも最高なのができた。しかも、少人数のプロダクションなので、予算もそれほど使っていない(笑)。

──素晴らしいと思います。mishimash*の次のビジョンも見えてますか?

マスヤマ ありますよ。すでにJulieちゃんの次のボーカルの曲を3曲くらい録り終えていて、3人目のボーカル──アメリカと日本のハーフで、19歳の女の子ですが──のレコーディングも進んでいます。でもゲストはボーカルとは限らず、デザイナーだったりダンサーだったり。身体が3つ欲しいくらい多忙です(笑)。

──ものすごい展開ですね! 

マスヤマ どんどん変わっていくと思います。mishimash*のアスタリスク(*)はコンピュータ用語で代入可能という意味ですからね。

タカハシ なるほどー。

──タカハシさんの今後の予定も教えてもらえますか?

タカハシ 7月にアメリカのマンガフェスに参加しようかなって思ってます。フランスには何度も行ってるんですけど、アメリカには行ったことがないので……。ただ、名古屋の美術系の学校で教えているから、それを1週間くらい休まなくちゃいけないんですよね。休んで行っちゃおうかな(笑)。

左からタカハシヒロユキ、マスヤマコム。
配信シングル「起電力ロマンス」 / 2013年5月27日配信開始 / 200円 / mishmash*
配信シングル「起電力ロマンス」
収録曲
  1. 起電力ロマンス

mishmash*(みしゅましゅ)

Corneliusのサウンドプログラマーを務める美島豊明と、ゲームや出版、映像などさまざまなカルチャーコンテンツを手がけてきたマスヤマコムによる音楽ユニット。作品ごとに異なるクリエイターをフィーチャーすることをコンセプトに掲げている。2012年12月リリースの1stアルバム「mishmash*Julie Watai」では、写真家として活躍する元アイドル / モデルのJulie Wataiをフィーチャーしている。

タカハシヒロユキ

カラフルな色使いのキャラクターやデザインを得意とするアーティスト。デザイン専門学校卒業後、数年間のデザイン事務所勤務を経てフリーに。テレビや雑誌などで注目を集め、2007年にテレビ朝日ミュージックと契約し上京する。その後、パリの国際テキスタイル見本市「Premiere Vision」に参加し、これを機に海外での活動を開始。現在は国内外で活躍しているほか、ファッション系およびデザイン系の専門学校で講師も務める。