音楽ナタリー Power Push - MINUE

日本で叶えたい夢とファンへの思い

韓国人アーティスト・MINUEの日本デビューシングル「GRAVITY」が11月16日にリリースされる。

ドラマ「フルハウスTAKE2」や「私の残念な彼氏」などにノ・ミヌ名義で出演し、俳優としても活躍しているMINUE。かつてはX JAPANのYOSHIKIがプロデュースするバンド・TRAXのドラマーとして日本で活動していたこともある彼は、今作「GRAVITY」で全曲にわたって作詞作曲を手がけたほか、ギターやドラムの演奏も担当している。パワフルかつセクシーな歌声をスケール感あふれるロックサウンドに乗せた「GRAVITY」のミュージックビデオでは、彼がギターやドラムを演奏するシーンを観ることができる。今回のインタビューでは韓国や日本におけるこれまでの活動のことや、デビューに向けての思いなどを語ってもらった。

取材・文 / 上野三樹 撮影 / 後藤倫人 スタイリスト / 手塚陽介 ヘアメイク / 仲田須加

X JAPANと同じ東京ドームのステージに立つために

──アーティストとしてだけではなく俳優としてもファンが多いMINUEさんですが、今回こうして日本デビューすることに対してどんな思いがありますか?

かねてからの夢が叶って、すごくうれしいです。実は以前、バンドのドラマーとして日本で活動していたことがあるんですけど、今回は自分がプロデュースした曲でソロデビューをするわけですから、その分、喜びも大きいですね。

──X JAPANのYOSHIKIさんがプロデュースするバンド・TRAXのドラマーとしてデビューされたのが2004年でした。今回の「GRAVITY」でのソロデビューまで、どんな変遷がありましたか?

MINUE

小さい頃にピアノを習っていたんですけど、そのときは習い事ですからやらされている感覚が強くて。その後、13歳くらいのときにX JAPANのラストライブのビデオを母にプレゼントしてもらって、YOSHIKIさんのパフォーマンスに衝撃を受けたんですよね。僕もああいうドラムを叩きたいと思うようになって、ドラマーに憧れたんです。

──X JAPANの影響があって音楽活動に興味を持ったんですね。

その後、憧れのYOSHIKIさんにプロデュースしてもらっていたTRAXというバンドの一員になることができて。YOSHIKIさんからは「『ENDLESS RAIN』はこんなふうに作ったんだよ」とか「ライブでTOSHIがね……」みたいな貴重な話をたくさん聞かせてもらって、ものすごく光栄でした。バンド内では僕がメロディメイカーだったこともあって、彼と1カ月くらいロサンゼルスで音源を制作したことがあったんですけど、そのときの経験は今でも忘れられないです。ただ活動を続けるにつれて僕がやりたい音楽とバンドの方向性が合わなくなって、バンドを辞めて韓国に帰ることになって。その頃から、例えば福山雅治さんとか木村拓哉さんみたいに演技もやって音楽もやる、というスタイルに憧れるようになったんです。

──韓国ではなく日本でバンド活動をしていたことには何か理由があったんですか?

アジアのバンドでもこんなにカッコいいロックができるんだ、というのを思い知ったのがX JAPANだったからです。1997年12月31日のX JAPANのラストライブみたいに、彼らと同じ東京ドームのステージに立つというのが、僕の夢なんです。もちろん、今の僕ではまだ東京ドームのステージには立てないんですけど、X JAPANだって最初から東京ドームでライブができたわけじゃありませんから。僕は少しずつ夢を叶えながらこれまで活動を続けてきたので、いつか「東京ドームでライブをする」という夢が叶う日も来るんじゃないかなって思っています。

演技をしながら、サントラを作る

──ソロデビューシングル「GRAVITY」はご自身で作詞・作曲を手掛けたセルフプロデュース作品で、歌唱だけでなく、ドラムやギターをご自身で演奏しています。徹底して自分のやりたいことを打ち出したい、という意気込みを感じました。

MINUE

頭の中で鳴っているメロディをそのまま再現したかったんです。例えばバンドのメンバーとかスタジオミュージシャンの方と一緒に音源を作っていると、最初は赤い色をイメージしていたのに結果的には違う色のイメージの曲になってしまう、ということがよくあるんです。もちろん演奏者のおかげでさらにいい曲になることもあるんですけど、僕の本音としては頭の中にある曲をそのまま形にしたい気持ちが強くて。イメージを共有するために言葉で説明しても限界があるので、だったら自分で全部やればいいのかなと思ったんです。なので、今回の「GRAVITY」は、初めて自分が最初にイメージした音がそのままCDになった作品ですね。今回の制作はとてもいい経験になりました。

──MINUEさんはもともとドラマーだったわけですが、歌を始めたのはいつぐらいからだったんですか?

おそらく5年も経ってないですね。ファン向けのイベントで歌ったのが最初です。アーティストとして日本でのデビューを考えたときも、最初はボーカルを誰かにやってもらおうと考えていたんですけど、いいボーカルにめぐり合えなかったので、自分で歌うことにして。とは言えまだ慣れないですから、自分が歌っている曲を聴くとちょっと気恥ずかしさがありますね。

──すごくパワフルで色気のあるボーカルですよ。なぜそれまで「自分で歌う」という発想がなかったのかなと思うくらい(笑)。

そうですか、ありがとうございます!

──俳優業をしていたときは、あまり音楽とは向き合っていなかったんですか?

いえ、ずっと音楽には関わってきました。そもそも俳優になったのは、音楽活動をしていた頃に観た映画の劇判に感動して「主演の役者が音楽監督もやってたらすごいんじゃないか?」と思ったのがきっかけですから。俳優でありながら音楽監督も務めている人って全然いないんですよね。エキストラを何年もやってようやくドラマの主演を務めるようになって、実際に音楽監督をしながら演技をする機会もいただいて。時間はかかったし、演技と音楽の両方をキチンとやるのは大変ですけど、ものすごく充実しています。世界中の方から素晴らしいと思ってもらえるようなドラマや音楽をもっと作りたいです。

──俳優活動も音楽とは切り離せないものなんですね。ではMINUEさんの音楽への情熱ってどういうところからきてるんでしょうか。

MINUE

ひと言で言えば、楽しいからです。音楽をやっているときの自分が一番キラキラしているはずですから。毎朝起きるたびに「1回きりの人生だ」って言葉を頭の中で思い浮かべるんですけど、僕は生きているうちに自分がやりたいことは全部やりたいと思っていて。演技もしたいし、歌も歌いたいし、楽器も弾きたい。俳優として演技をこなしつつサウンドトラックまで手がけると本当に寝れなくなるし、周りの友人から「なんでわざわざ両方やって苦労してるの?」と言われることもありますけど、寝る間も惜しんで取り組んでいることで得られるものもあるし、これが僕にとっての青春だと思っていますから。

──MINUEさんはクリエイティビティとバイタリティにあふれた方なんですね。

そうかもしれません。何かを作ってるときは楽しいですから(笑)。まだまだこれからいろんなものを作りたいですね。

日本デビューシングル「GRAVITY」 / 2016年11月16日発売 / ポニーキャニオン
TYPE-A [CD+DVD] / 1944円 / PCCA-04460
TYPE-B [CD+DVD] / 1944円 / PCCA-4461
TYPE-C [CD] / 2160円 / PCCA-4662
TYPE-A CD収録曲
  1. GRAVITY
  2. WE ROCK
TYPE-A DVD収録内容
  • 「GRAVITY」プロモーションビデオ
TYPE-B CD収録曲
  1. GRAVITY
  2. Believe
TYPE-B DVD収録内容
  • MINUE スペシャルメイキングフィルム
TYPE-C 収録曲
  1. GRAVITY
  2. WE ROCK
  3. Believe
MINUE(ミヌ)
MINUE

X JAPANのYOSHIKIがプロデュースしたバンドTRAXの一員として、2004年にアーティストデビュー。バンド脱退後は俳優としても活躍し、「フルハウスTAKE2」「私の残念な彼氏」といった韓国のドラマに出演して人気を博す。2016年11月にMINUE名義でシングル「GRAVITY」をリリースし、ソロアーティストとしてメジャーデビューを果たした。