ナタリー PowerPush - みちゃおん
人気の歌い手2人が案内する、幻想的な絵本の世界
しばらくはこのアルバムの余韻に浸りたい
──今回のアートワークはCGイラストと2人の写真が融合しているのもポイントとのことですが、ジャケットやブックレットはかなり作り込んだ独特の仕上がりですね。
みーちゃん 今回、EXIT TUNESから出すってなったときに、EXITのCDで実写のジャケって見たことないなって思ったんです。それで「絵と実写を融合させられます?」って聞いたらすんなりOKで。普通のスタジオでは撮れない背景というか、あり得ないバックの絵と自分たちが融合したらどうなるんだろう?ってところからこのアイデアがスタートしました。
しゃむおん イラストレーターのハラダミユキさんが、とても素敵な絵を描いてくださったんです。その中に今回僕らが入ることになったわけですが、撮影のときは完全な白バックだったからポーズが大変!(笑)
みーちゃん しゃむおんの写真、けっこう無茶ぶりなポーズが多いよね。
しゃむおん ジャンプとか、イスに座りながら浮いてる感じとか。普段使わない腹筋がプルプルして大変でした(笑)。中のブックレットも1枚1枚、曲の世界観に沿ったものになってるので、よく見てほしいですね。
──改めて、みちゃおんとして2作目のアルバムが完成したことで、今後のユニットの可能性に新たに気付けた部分はありましたか?
しゃむおん うーん……。とりあえず今はまだ、しばらく余韻に浸りたいっていう(笑)。
みーちゃん これ、いつものパターンだよね(笑)。でも今回で曲がいっぱい増えたから、2人でライブとかもできたらいいなって。
しゃむおん まだ何も決まってないですけどね。でも、今回のアートワークの世界観をステージで再現するとしたら大赤字だろうなー。
みーちゃん 1人チケット1万円でも赤字だわ(笑)。
次の世代の道を作れるようにがんばりたい
──最後は、昨今の音楽業界における動画共有サイト出身アーティストの台頭について、お2人の意見を聞いてみたいと思います。オリコン週間チャートのトップ10にもどんどん歌い手やボカロPの作品がランクインしている現状をどう思いますか?
みーちゃん 最初のうちは、「思ったよりみんな(ランキングに)入れてるな」っていうのが素直な感想でした。でもやっぱりまだこのカテゴリーは、最初からメジャーでやってらっしゃる方々には全然及んでなくて。CDの売上枚数的に見ても。だからやっぱり自分たちはまだその先駆けだし、このカテゴリーはまだ確立されてるものじゃないんだなって感じます。
しゃむおん 僕も、歌い手やボカロPといった存在は若い人たちの音楽ツールの1つとして頭角を現してきてるとは思うんですけど、音楽業界全体でいうとまだ一部でしかないのかなって。でも卒業式でニコ動の人気曲を歌ったって話を聞いたり、カラオケランキングで上位に入ってるのを見たりもするんで、流行ってるところでは流行ってるんだろうなーと。
みーちゃん 少なくとも前よりは明らかに一般化してるよね。
──では今後、このシーンはどうなっていくと思います?
みーちゃん 僕は純粋に楽しみですね。例えば今は「歌ってみた」出身でドラマに出たけったろみたいなパターンもあるし、バラエティとかいろんなメディアに出ていく人もどんどん出てきたら面白いなって。
──お2人には、自分たちがこのシーンを引っ張っていくぞっていう気持ちもあったりします?
みーちゃん 僕はわりとそこに責任感を持っていて。今の僕らの世代が何も残せず失敗したら、今後も何もないんじゃないかなって。EXIT TUNESっていうプロジェクトも含め全体が盛り上がって、ここらでガーンと行っておかないと後ろにも続かないっていう気はしますね。だからその道を作れるよう、がんばりたいです。
しゃむおん 僕はまだみーちゃんほど責任を持てる立場ではないんですけど、ライブをやってお客さんの喜んでる顔や反応を見たりすると、誰かに夢を与えられてるのかなって感じます。「歌い手になりたい」って言ってきてくれる若い子も最近すごく多いんですよ。
この世界は意外と茨の道
──2人のような歌い手やボカロPを夢見る人が、今後はもっと増えていくんでしょうね。
みーちゃん これ、けっこうタブーだと思うんですけど「意外に稼げるんだぜ?」っていうのも俺は言っておきたいです(笑)。がんばってる人たちはちゃんと生活できてるし、そういう意味での夢というのも持ってもらっていいんじゃないかなって。スポーツ選手みたいに、自分の好きなことをやって、みんなに夢や力を与えながら生活できるんだぜっていうのももっと知ってもらいたいですね。じゃないと、目指す人もほんのひと握りになっちゃうと思うし。
──ちなみに2人が「歌ってみた」を始めたときは、いつかCDを出したいといった目標は持ってたんですか?
みーちゃん いや、それはまったくなかったです。当時はただの遊びだったんで(笑)。
しゃむおん 自分の投稿にコメントが付くっていうシステムを知って、「何これ、面白そう!」っていう興味本位だけ(笑)。
みーちゃん 初期に始めた人はたぶんみんなそうだったと思います。俺、最初に同人CDを出したとき自分で300枚くらい刷りますって言ったんですけど、知り合いに「バカじゃないの? 5000枚刷りなさい」って言われて。それ売れる!? って思ったんですけど、実際は2日で完売して、そこで初めて「こんなに見てくれたり買ってくれてる人がいるんだ」って気付いたんですよ。それまでは、自分のただの遊びに興味を持ってくれてる人がこんなにいるなんて思いもしなかったです。
──今後はどんな人が歌い手、ボカロPとして残っていけると思います?
しゃむおん 本人の意思次第ではあるけど、とにかく人を楽しませたいって気持ちが強い人が残るというか、評価されると思いますね。
みーちゃん 意外と茨の道なんですよ、僕ら。アドバイザーもいないしすべてがセルフプロデュースなので、自分の力でどこまでできるか?ってところが肝になってくるんです。だから自己プロデュース力のある人がやっぱり強いのかなって。なんでもいいんですけど、Twitterの文章が面白いとか、動画の見せ方が上手で再生回数を伸ばす人もいますし。
しゃむおん 決して歌のうまさだけじゃないと思います。
──要は個性が大事ってことですね。
しゃむおん 伸びる人ってみんなものすごい個性を持ってます。ちょっと変わってるって言ってもいいかも(笑)。
みーちゃん みんな変だよね。僕が見ても普通じゃないなって思いますから(笑)。
収録曲
- MEET YOUR ONLY WORLD / みきとP feat.みちゃおん(作詞/作曲:みきとP)
- カンタレラ / 黒うさP feat.みちゃおん(作詞/作曲:黒うさ)
- いーあるふぁんくらぶ / みきとP feat.みちゃおん(作詞/作曲:みきとP)
- ラブラジール / すこっぷ feat.しゃむおん(作詞/作曲:すこっぷ)
- 過食性:アイドル症候群 / スズム feat.みちゃおん(作詞/作曲:スズム)
- 桜前線異常ナシ(DATEKEN arrange)/ ワタル feat.みちゃおん(作詞/作曲:ワタル arrange:DATEKEN)
- 悪ノ娘 / mothy_悪ノP feat.みちゃおん(作詞/作曲:mothy)
- 悪ノ召使 / mothy_悪ノP feat.みちゃおん(作詞/作曲:mothy)
- 夢喰い白黒バク / Nem feat.みちゃおん(作詞/作曲:Nem)
- インビジブル / kemu feat.みちゃおん(作詞/作曲:kemu)
- BLUE SALVIA / SCL Project(natsuP)feat.みーちゃん(作詞/作曲:natsu(SCL Project))
- WAVE / niki feat.みちゃおん(作詞/作曲:niki)
- 吉原ラメント / 亜沙 feat.みちゃおん(作詞/作曲:亜沙)
- ネコミミアーカイブ / 糞田舎P feat.みちゃおん(作詞/作曲:糞田舎P)
- え?あぁ、そう。 / 蝶々P feat.みちゃおん(作詞/作曲:papiyon)
- Black&White / みきとP feat.みちゃおん(作詞/作曲:みきとP)
みちゃおん
みーちゃん、しゃむおんの男性歌い手2人からなるユニット。2010年に「え?あぁ、そう。」を歌った音源を動画共有サイトで公開し、翌2011年に同曲を収めたミニアルバム「Stoic Party」を同人で発表した。2013年には埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催された音楽イベント「EXIT TUNES ACADEMY -EXIT TUNES 11th ANNIVERSARY SPECIAL-」でライブパフォーマンスを披露。同年7月に初のフルアルバム「MEET YOUR ONLY WORLD」をリリースした。