Mia REGINA|大人アニソン系ユニット、5年目の決意表明

アニソンボーカルユニット・Mia REGINAが9月16日にニューアルバム「MIAUSEUM -キュレーション-」をリリースした。

本作には、Q-MHz、Tom-H@ck、R・O・N、田中秀和(MONACA)といった作家陣の手による新曲4曲に加え、既発シングル曲やタイアップ曲など全12曲が収録されている。ロック、メタル、ポップス、ジャズなど、ジャンルを問わず幅広い音楽性を縦横無尽に行き来するという意味においては、一見いつも通りのミアレジらしい“幕の内弁当的”な作品。でありながら、シリアスなムードに寄せてアダルトな一面を押し出した、彼女たちにとっての決意表明のような要素も内包している。

音楽ナタリーでは、霧島若歌、上花楓裏、ささかまリス子の3人に初のインタビューを行い、本作に込めた思いや制作の裏側、ボーカリストとしての作品への向き合い方を聞いた。さらにはユニットとして目指すべき方向性やその葛藤についても、率直に語ってもらっている。また特集の後半にはQ-MHzによるコメントを掲載する。

取材・文 / ナカニシキュウ

4年くらいはやっとかないと

──音楽ナタリー初登場ということで、まず1人ずつ簡単に自己紹介をお願いします。

Mia REGINA。左からささかまリス子、上花楓裏、霧島若歌。

霧島若歌 霧島若歌です。アニメとかマンガがすごく好きなので、アニメソングに携われて幸せな人生を送っています(笑)。ライブなどでは盛り上げ役みたいな感じで、Mia REGINAの切り込み隊長です。

ささかまリス子 ささかまリス子です。私は昔から音楽が好きで、音楽に関わるお仕事をしたいなと漠然と思っていたんですけども、まさか歌を歌う道を歩めるとは思っておりませんでした。Mia REGINAではいろんなジャンルに挑戦できるのがすごく楽しいです。グループでの役割としては、企画や発案など、イマジネーション係を担当しています。

上花楓裏 上花楓裏です。私はゲームと競馬が好きで……(しばし考え込んで)以上です(笑)。

──ははは(笑)。切り込み隊長、ブレーン的存在と来て、楓裏さんの役割は?

上花 なんだろう……?

リス子 楓裏さんは、マイペース担当ですね(笑)。すごくゆったりとしていて、いつでもブレない。どこへ行っても楓裏さんは楓裏さんなので、とても安心します。

霧島 見た目的にはマスコットキャラっぽい感じもあるんですけど、一番謎が多いです。

リス子 あと、意外とちゃんとしてる(笑)。

──意外と(笑)。そもそもお三方は秋葉原ディアステージで出会って、2016年にMia REGINAを結成したんですよね。当時、4年後も続いていると予想していましたか?

リス子 「アニソン1000曲を歌う」を目標に掲げているので、4年くらいはやっとかないと(笑)。世襲制にするという案も出ていたくらいなので、長く続ける気持ちは最初からありましたね。

霧島 1000曲やるとしたら、仮に毎クール歌ったとしても100年くらいかかるっていう試算があって(笑)。

──なるほど。実際に4年間活動してきて、グループの変化や成長をどんなふうに感じていますか?

リス子 最初は3人共が「2人に合わせなくちゃ」と思ってたんですけど、だんだん合わせようとしなくなりましたね。それぞれが個性を存分に出してもちゃんといい方向へ進むということが一昨年くらいからわかってきて、今はそれが楽しいなって思っています。

霧島 3人とも個性がバラバラなんですけど、それゆえにいろんなジャンルの歌が歌えるだろうなとは当初から思っていました。たとえばリス子が得意な曲ではリス子をメインにしつつ、あとの2人がそれを支えるみたいな。最初の頃はそれをどう表現したらいいのかわからない部分もあったんですが、ここ最近はメインの1人を立たせながら残り2人の個性も埋もれない見せ方がわかってきて、そのあたりに成長を感じています。

──では、逆に変わらないなと思うことは?

リス子 3人の関係値みたいなのはたぶんずっと変わっていないような気がしています。それこそ10年ぐらい前から。

霧島 それぞれの立ち位置みたいなものは変わらないんですけど、パラメータが強化されて、より特化していったみたいな感じはありますね。

毛色の違う作品が展示された“ミュージアム”のようなアルバム

──では、ニューアルバム「MIAUSEUM -キュレーション-」について伺います。そもそもこのタイトルはなんと読むんですか? 「ミアウジアム」でいいんでしょうか。

霧島 そのまま「ミュージアム」ですね。造語的な感じで。

リス子 アルバムに収録されるであろうシングル表題曲やタイアップ曲を並べてみたときに、「ゴチャゴチャじゃないか」ということになって(笑)。それをどういうふうに1枚のアルバムにまとめるかというところで、「いろんな種類の絵画が展示されているミュージアムを見て回る」みたいなイメージにしようと。なのでミュージアムを題材にすることは最初に決まりました。あとはMia REGINAを上品なイメージにしていきたいと思っているので、アー写やジャケ写の衣装は大人っぽい感じになっています。

霧島若歌

霧島 衣装は美術館へ来た人に「こういう絵画を用意しましたよ」と順路を案内するキュレーターのような役割をイメージしていて。白手袋とか、万博パビリオンのコンパニオンみたいですよね(笑)。それがタイトルの“-キュレーション-”の部分です。

──収録曲はどのように決めていったんですか? 新曲とシングル表題曲はさておき、それ以外は。

霧島 どれを入れるかいろいろ迷ったんですけど、ほかの収録曲の中に混じって違和感のないもの、あまり差が激しすぎないものを選びました。例えば、アニメ「せいぜいがんばれ!魔法少女くるみ」の楽曲なんかは、ほかと毛色が違いすぎて整わないかもしれないみたいな理由で収録しなくて。

──とはいえ、完成したアルバムも相当なバラバラ具合ですよね。

霧島 はい(笑)。ただ、それぞれ毛色は違うけど、「美術館を回っていたのに突然ライブハウスが現れた」みたいな急すぎる方向転換だけはしないように気をつけました。あくまで水族館の中で急に暗いクラゲのゾーンに入ったり、そこから突然サメのいる大きな水槽のゾーンに出るみたいな感じで。

──景色が大きく変わりはするけど、ストーリーとしては破綻しないように。

霧島 そうです。そのうえで、例えば「ピンヒール・ムーン」は近年のミアレジっぽさが如実に表れている楽曲なので外せなかったですし、「暁歌」はアニメ「閃乱カグラ SHINOVI MASTER -東京妖魔篇-」のイメージソングとして作られたもので、アニメのサウンドトラックCDには入っているんですけど、私たちの作品としては出ていなかったので入れておこうみたいな感じで選んでいきました。

──今おっしゃった「ピンヒール・ムーン」は、ゴージャスなビッグバンドアレンジのスウィングジャズ系楽曲ですよね。皆さん的には、この曲のどういうところを「ミアレジっぽい」と捉えているんですか?

リス子 「ショー!」っていう感じですね。昨年リリースしたカバーアルバム「RE! RE!! RE!!!」でもスカを取り入れたり、そのテイストを盛り込んでいて。「ちょっと大人のムードが漂うエンタテインメント」といったイメージです。

──なるほど。確かに、そこに「くるみ」の曲とかが入ってくると一気に子供っぽくなっちゃいますもんね。

リス子 そうですね(笑)。