Meik|あなたも私も、前を向いて進んでいける

2016年11月にダンスボーカルグループJ☆Dee'Zを卒業し、2017年7月に1stミニアルバム「Make It Happen」でソロデビューを果たしたMeik。1980年代のディスコ、ファンク、R&Bなどをアップデートさせた楽曲、幼少期から現場で鍛えられたダンスパフォーマンス、豊かな感情を込めたボーカルによって注目度を上げている彼女が、7月25日に2ndミニアルバム「Make Cheer」をリリースする。ポップなダンスチューン「Feeling Good」、ブラックビスケッツの1998年のヒット曲「Timing」のカバーなどの配信シングル曲を含む本作には、高校3年生になった彼女の急激な進化が反映されている。アーティストとして大きなステップアップを遂げた本作についてMeikに語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 新元気

どんな状況でも常に全力でやることが大事

──デビューミニアルバム「Make It Happen」のリリースから約1年が経ちました(参照:Meik「Make It Happen」インタビュー)。

Meik

早いですね(笑)。この1年はデビューミニアルバムのリリース前後からたくさんのライブをしてきました。ソロになってグループ時代には出演できていなかった、「MINAMI WHEEL」や「SAKAE SP-RING」といったイベントにもお誘いいただいて、すごく充実してましたね。特に中京テレビ「24時間テレビスペシャルLive2017」名古屋会場のメインステージに立たせてもらったことは印象に残っています。ソロとしての作品作り、ライブ活動、プロモーションなどすべてが濃密に過ぎています。

──ライブを重ねる中で気付くことも多そうですね。

はい。私は5歳のときから本格的にダンスを学んでいて、パフォーマンスとして踊るだけでなく「伝える」という気持ちを込めることをずっと意識しています。今は「もっと踊りながら歌うレベルを上げないといけない」と思ってます。ライブのあとはマネージャーさんに撮ってもらった映像を観るんですけど、まだまだ課題が多くて。歌いながら踊るのは難しいけど、どう見せるか、どう聴かせたいのか? もっともっと研究して……でも自分のライブ映像を観るのは好きじゃないんですけどね(笑)。普段の私とライブのときの私は全然違うんですよ。ステージに上がるとスイッチが入って別の自分が現れるので(笑)、それを映像で観るのはちょっと恥ずかしくて。

──ソロアーティストとしての成長を実感できることもある?

あります! 1人でライブをやるのもだいぶ慣れてきたので。もともと緊張しがちなタイプなんですけど、最初の頃はお客さんがあまり盛り上がっていないと「どうにかしなきゃ」って焦ってしまって、あたふたしてたんです。最近は「今自分は何をすべきか」ということを少し冷静に考えられるようになって。とにかくお客さんに楽しんでほしいし、自分自身も一番輝きたいんですよね。イベントなどで初めて観に来てくれたお客さんに「あの子、すごかったね」と何か爪あとが残せるライブをやりたくて。そのためにはどんな状況でも常に全力でやることが大事なんですよね。

──前向きですね!

そう言ってもらえるとうれしいんですけど、実はそうでもないんですよ。中学1年から寮で1人暮らししているせいか、不安になることも多いし、1人で泣くこともあって。でもそういう弱い自分と向き合うことで、自分が強くなって作品やライブにつながっていくのかなと思います。

Meik

スニーカーで海岸を走るのって、青春感があるじゃないですか

──では2ndミニアルバム「Make Cheer」について聞かせてください。7曲ともすごく個性があって、いい曲ばかりですね。

ありがとうございます! ファンの方やライブのスタッフの方からも「楽曲がいいね」と言ってもらえることが多いんですけど、うれしくてニヤけちゃいますね(笑)。ライブで披露するのが本当に楽しみです。

──1曲目の「Feeling Good」はポップで華やかなナンバーです。ファンキーな雰囲気と明るいイメージが共存している楽曲だな、と。

こういう感じの曲を歌うのは初めてですね。1stミニアルバム「Make It Happen」は80年代のディスコファンク、ダンスミュージックを現代的にアレンジした楽曲が中心だったんですけど、「Feeling Good」はそのテイストを残しつつ、さらにキャッチーなところが加わっていて。ファンの方からも「新しいMeikを見せてもらえた」と言ってもらえることがあって、すごくうれしいです。この曲は本当に夏らしくて、開放感があって、好きな人との出会い、ワクワクするような恋愛を歌っている曲ですが、私自身はファンの方、応援してくださっている方に向けている気持ちが強くて。ソロになったときの期待と不安があった中で、デビューを迎えた去年の夏の日に集まってくれたファンの人を思うときのキュンとするような感情……ただ明るいだけではなくて、切なさや不安から解き放たれる気持ちなんですかね。この曲の歌詞を作るにあたって、曲から感じたインスピレーションで、私も「スニーカー」とか「海岸」といったキーワードを出させてもらったんですよ。

──それが「海岸を / 二人 step by step」「今日の気分スニーカー」というフレーズになってるんですね。

Meik

そうなんです。メロディやアレンジから青空や海辺が思い浮かんで、さわやかな曲にしたくて。スニーカーで海岸を走るのって、青春感があるじゃないですか(笑)。この曲はベトナムのビーチリゾート地、ダナンの観光局のオフィシャルイメージソングに使用されていて、MVもダナンの海岸で撮影したのですが、ちゃんとスニーカーで走りました! 私は普段ハイヒールを履いて踊ったりライブに出演したりしているので、撮影もヒールが多くて。ひさしぶりにスニーカーを履いたら楽でした!

──Meikさん自身のアイデアがMVの内容にもつながったわけですね。

意見は積極的に言っちゃうんですよ、私。MVの撮影のときも、洞窟内での撮影で光がきれいに差し込んでいたから「そこに手をかざすところを撮りたいです」と伝えて、自分の気持ちの強さだったり、もどかしさみたいなものが表現できるかなと思ったんですよね。実際にそのシーンが印象的に使われたのはすごくうれしくて、ダナンの景色、もちろんパフォーマンス含めて本当にすてきなMVになったのでぜひ観てほしいです。グループ時代と違って、ソロになってからはレコーディングでもハーモニー、フェイク、アドリブについては積極的にアイデアを出します。トラックダウンでの音のバランスなど、私の感覚をスタッフと共有して意見を交わしながら一緒に作品を作れることはすごく感謝しています。

Meik流の「Timing」になったかなって

Meik

──「Timing」はブラックビスケッツの1998年のヒット曲で、Meikさんが生まれる前の曲ですね。

はい。私は2000年生まれなのですが、この曲は知っていました。親がカラオケで歌ったりしていたので、自然と覚えていたみたいで。この曲はずっと仲良くしてくださっているダイノジさんとイベントでご一緒したときに、DJダイノジとしてフロアでよくプレイする曲だということで、大谷(ノブ彦)さんが「Meikちゃんこの曲カバーしたらすごく似合うよ!」とおっしゃってくれて。それでデモをレコーディングしたらすごくしっくりきて! じゃあ作品化しようとなったんです。原曲を聴き込んでしまうと歌い方に影響されてしまいそうだったから、ほどほどにしておきました(笑)。Meik流の「Timing」になったかなって。でも、歌うのはすごく難しかったです。もともと原曲は男性と女性が歌っているし、サビの抑揚の付け方もかなり苦戦して。勉強になりましたね。

──アレンジもブラックミュージックの濃度が高めになっていて。

ファンキーなところは大事にしましたね。間奏のベースとギターを派手にしてもらって、ベースはスラッピングをバキバキ入れてもらって踊りやすくしてもらったり。実際、ライブでもガッツリ踊ってるんですよ。やっぱりダンスは私の特徴だし、どの曲にもしっかり入れていきたいので。「Timing」はライブやイベントでも披露しているんですが、原曲を知っている世代の方が「お!?」って感じで立ち止まってくれたり、一緒に振り付けを踊ってくれたりして。そういう反応もうれしいですね。

Meik

──3曲目の「Boom Boom Baby ~愛はまだわからない~」は打ち込みベースのダンスチューンです。

この曲ではラップをやっていて。J☆Dee'Z時代もラップを担当していたし、ソロでも引き続きやっていきたくて。しかもこの曲、Aメロ、Bメロとサビは今まで通りの強い感じ、オラオラ系の歌い方なんですが、ラップパートはニッキー・ミナージュみたいなカワイイ雰囲気、遊んでるような感じも取り入れていて、キャラを変えてるんですよ。それも自分のアイデアですね。レコーディングのとき「こんな感じでやってみたいんですけど」と提案して、「いいね」ということになって。そういうことができるのもソロならではだと思います。