ナタリー PowerPush - MEANING

2年ぶり新作で戦う人々の未来に光を照らす

MEANINGの2ndアルバム「Shine Our Journey」がリリースされた。約2年ぶりに発表されたアルバムには、このバンドの個性である「複雑な展開を持つハードコアサウンド」がより激化した楽曲が満載。強烈な熱量で聴き手のハートを揺さぶる、エモーショナルな作品集に仕上がっている。

ナタリーでは今回、メンバーのHAYATO(Vo, G)、YOKKUN(G, Cho)、YUICHI(B)、INOMAN(Dr)にインタビューを実施。アルバム制作の話題はもちろんのこと、メンバーが個々で積極的に行っている震災復興支援活動、9月に行われた「AIR JAM 2012」などについてじっくり話を訊いた。

取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 高田梓

復興支援活動が日常になっていった

──皆さんは昨年の東日本大震災以降さまざまな復興支援活動を行ってきましたが、皆さんにとって2011年はどういう1年でしたか?

INOMAN 2011年初頭からツアーが始まって3月5日がファイナルだったんですけど、その直後に震災があって。震災から1週間も経たないうちに北海道でF.I.Bと一緒にライブの予定が入って、ちょうどそこから突っ走ったままいろいろ続けてきた感じです。復興支援活動には僕とKAWAGUCHI(G, Cho)も何回か一緒に行かせてもらっていて、その中でも中心になってやっていたのはボーカルの日高さん(HAYATO)なんでダントツで忙しかったと思います。

インタビュー写真

HAYATO 震災があってからは鬼のような忙しさで、気付いたら2011年が終わってた気がして。いろんな復興支援活動をやらせていただいて、一度始まると本当に四六時中考え続けて終わりが見えなくなるんです。家にいるときも「次は何しよう?」って考えて準備をするからどんどん時間が経ってしまう。ライブのときくらいはそこを切り離して考えることができるといいんですけど、意外とそれができなかったんです。それに僕ら、仕事もしてるから物理的に時間が足りなくなってきて。でも充実してたことには違いないです。

HAYATO これをバンドで始めちゃうと、何をするにしても5人全員の足並みを揃えないといけなくなるのがちょっと大変になりそうだったので、1人でやり始めたんです。

──ましてや支援活動は「ここまで」という終わりの見えるものではないから、続けるための体力や精神力が必要になってきますし。

HAYATO とりあえず何かやらなきゃなと思って始めただけで、やり始めたときはどれくらい続くかは何も考えてなくて。続けていくうちにどんどんといろんな人とつながっていって、逆にこっちも元気をもらって、それが日常になっていったんです。だから自然に続けることができたのかな。

震災後、知名度があればと初めて思った

──今年に入ってからはMEANINGとしてチャリティシングル「THE UNBROKEN HEART」もリリースしました。これはどういういきさつで制作することになったんですか?

HAYATO いろいろと物資を運んでいくうちにだんだん物が足りているところも増えてきて、仮設住宅の人たちも「物ではなくて会いに来てくれたり、バンドだったら演奏とかそういう催し物をしてくれたらうれしい」と言ってくれて。そこから物資支援以外にもライブハウスを作る動きがあるならそれに協力できないかなと思って、「東北ライブハウス大作戦」という活動に参加するようになったんです。で、僕とKAWAGUCHIとINOくんと、あと3人くらいで東北に物資を届けた帰り道、「チャリティCDを作りたいんだけど、どうかな?」って話をして。そのあとでPIZZA OF DEATHのスタッフに相談して、基本そういうのってNGなんですけど今回は事情が事情だからということですんなりOKをもらって、出すことになったんです。

──そういう経緯があったんですね。震災から1年経って、こういった音楽でのチャリティ活動も以前より減ってきていたのでかなりインパクトがありましたし、大きな意味のある作品だと思いました。

HAYATO 震災のあと、いろんなバンドマンが「音楽をやってることにすごく無力感を感じる」と言ってたと思うんです。僕らなんか特別有名でもないし、そこは余計に感じていて。そのとき初めて、バンドとして知名度とか人気とか集客とか持っていたかったなって思いましたね。

「AIR JAMのステージはいつもどおりで良かったよ」

──9月には東北で「AIR JAM 2012」が行われ、MEANINGも出演しました。

HAYATO あのフェス自体が僕らの世代にとっては特別なものだし、それをこの1年半の間に一番足を運んだ場所でできたのは本当にうれしかった。例えば今回もまた横浜でやるんだったら、またちょっとわけが違っただろうし。

──そうですよね。

HAYATO あの規模でできるっていうことにすごい夢があるというか、巨大な移動遊園地が横浜スタジアムからそのままポンと移動してきた感じがして。あの場所にあんだけ人が集まるっていうことだけでもグッときました。

──その環境の中で演奏することは、皆さんにとっても得るものが多かったんじゃないでしょうか?

YOKKUN 意識的にはいつもライブをやってるときとみんな同じだったかな。本当にいつもどおりにやれたんで。

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HAYATO 褒め言葉かどうかわかんないですけど、AIR JAM後のライブでお客さんから「AIR JAMのステージはいつもどおりで良かったよ」って言われて。

一同 あははは(笑)。

HAYATO 僕もなんて返していいかわかんなくて、「う、うん。ありがとう」みたいな(笑)。いつもどおりってどうなんだろう? いつもどおり微妙だったのかな。

INOMAN そういうことだったんじゃない?(笑)

──いつもどおり素晴らしいライブをありがとう……と捉えればいいんじゃないかと(笑)。

HAYATO 単純に物理的な距離はあったんですけど、気持ち的にはライブハウスでやってる距離感と変わらなかったし。まあAIR JAMの歴史の一部になれたのはすごく誇りに思いますね。

ニューアルバム「Shine Our Journey」 / 2012年10月24日発売 / 2300円 / PIZZA OF DEATH RECORDS / PZCA-58
ニューアルバム「Shine Our Journey」
収録曲
  1. Brave Heart
  2. Hero
  3. Here For You
  4. Keep Our Faith Alive
  5. Infection
  6. Pain
  7. Stand Up
  8. Moral
  9. Letter From TOKYO
  10. MEANING to be here…
  11. Smile
MEANING(みーにんぐ)

HAYATO(Vo, G)、KAWAGUCHI(G, Cho)、YOKKUN(G, Cho)、YUICHI(B)、INOMAN(Dr)からなる5人組バンド。2004年にツインギターを擁する4人編成で活動を開始し、都内を中心にライブ活動を展開する。2005年にYOKKUNが加入。国内外のバンドとの競演や東南アジアツアーを経て着実に知名度を高めていく。2009年にYUICHIが加入し現在の編成となる。2010年5月にPIZZA OF DEATH企画のコンピレーションアルバム「The Very Best of PIZZA OF DEATH II」に参加。これがきっかけとなり、同年11月に1stフルアルバム「BRAVE NEW WORLD」を同レーベルからリリースした。2012年に入ると東日本大震災チャリティシングル「THE UNBROKEN HEART」を自主制作で発売。同年4月には初の映像作品と10分を超える大作シングルのカップリング作品「MEANING to be here... / To the Future」を発表した。9月には東北で開催された「AIR JAM 2012」にも出演。続いて10月に2ndフルアルバム「Shine Our Journey」をリリースした。