豆柴の大群「MAMEQUEST」特集|新しい冒険が始まる!レオナエンパイア&モモチ・ンゲール加入後初インタビュー

豆柴の大群は今、変革期を迎えている。彼女たちは昨年12月に新メンバーオーディション「豆柴の大群なりの合宿」、ヒューリックホール東京でのワンマンライブ「WE MUST CHANGE TOUR FiNAL」を行い、そのタイミングで既存メンバーのカエデフェニックスが脱退。入れ替わるように新メンバーのレオナエンパイア、モモチ・ンゲールの加入が決まった。

既存メンバーは昨年9月から12月にかけて行われた新メンバーオーディションを含む企画「MUST CHANGE PROJECT」に参加。アドバイザーであるクロちゃん(安田大サーカス)とWACK代表・渡辺淳之介がスタッフと審議した結果、彼女たちには1年間の猶予期間が与えられたが、今後の活動次第ではグループを去る可能性がある。

音楽ナタリーでは新メンバーの加入およびニューアルバム「MAMEQUEST」の発売を記念して、6人にインタビュー。激動のここ数カ月で起きたポジティブな変化、Hi-yunkことKENJI03(BACK-ON)、木幡太郎(avengers in sci-fi)、大森靖子、須藤寿(HiGE)、ヒャダインこと前山田健一、清竜人ら多彩な作家陣が参加したアルバムの全容について話を聞いた。

取材・文 / 田中和宏撮影 / 星野耕作

根性ある新メンバー2名

──アドバイザーのクロちゃんは最近、新グループの都内某所にゾッコンな印象もありますが、仲よくしていますか?

ミユキエンジェル お年玉もらいました!

──よかったです(笑)。昨年12月に豆柴の大群は、「豆柴の大群なりの合宿」を行い、ヒューリックホール東京でのワンマンライブ「WE MUST CHANGE TOUR FiNAL」でカエデフェニックスさんが脱退。その日の公演の終わりに、新メンバーとして合宿に参加したレオナエンパイアさん、モモチ・ンゲールさんの合格が発表されました。1月には代官山UNITでお披露目ライブを行い、新体制での活動をスタートさせました。新メンバーのお二人はどのような経緯で加入に至ったのでしょうか。

モモチ・ンゲール 私はもともと看護師でしたが、ずっとアイドルになりたくていろんなオーディションを受けていました。高校を卒業するタイミングで現実的な道として大学の看護学部に進むんですが、やっぱりアイドルになりたいと思っていて。そう思いながらも看護の国家試験を受けて、就職して東京に来て働いていました。

豆柴の大群

豆柴の大群

──それでもアイドルへの夢を捨てきれなかったんですね。

モモチ はい。本当に叶えたい夢を追いかけようと思ったタイミングで豆柴の大群のオーディションを知りました。正直に言うと豆柴が好きだったから受けたというよりは、名前を知っているアイドルグループが募集をしているというくらいの認識だったんですけど、オーディションを知った日が応募受付の最終日だったんです。夜勤明けに「今送らないとダメだ」と思って、急いで応募しました。

──書類選考を通過していろいろ調べたと思いますが、WACKに対する最初の印象は?

モモチ 強烈でした(笑)。オーディション合宿だと候補生がデスソース入りのごはんを辛いのに無理して食べて倒れちゃうシーンとか、ピリピリした空気の中でのコント、朝から腹筋対決とかがあって、体育会系なんだなーって。でもそんな過酷な試練を乗り越えてでも「WACKのアイドルになりたい」と思う子しかこの事務所にはいないと考えると、なんだかすごいところだなって思いました。

──「豆柴の大群なりの合宿」は毎年春にやっている「WACK合同オーディション」とは審査項目が違いましたが、そのあたりはどう思いました?

モモチ 真冬にガリガリくんをひたすら食べましたし、体力測定やドミノ倒し、運動会があって、根性勝負みたいな審査が多かったですね。普段のWACKオーデとは違った形で根性を試して、勝ち残った人だけが豆柴の大群に入れるんだなって感じました。事務所に入ったらみんな怖いのかなって思ったけど、実際はメンバーも事務所の社長(渡辺淳之介)もスタッフさんも温かい雰囲気で。一見穏やかに見えるけど、メラメラと闘志を燃やしているような人たちなんだろうなって思いました。

──レオナエンパイアさんはいかがですか?

レオナエンパイア 私は大学に通っていたんですけど、「絶対アイドルになりたいから就職はしない」と思っていたから、バイトをしながらオーディションを探しては受けるという生活をしていました。私はアイドルの中でも特にWACKのグループが好きだったので、どうしてもWACKのアイドルになりたかったんです。で、WACKオーデは過去に何度か落ちていたんですけど、豆柴の大群のオーディションでやっと合宿まで行けて。歌唱やダンスの審査はなく、体力測定やドミノ倒し、運動会、コントという音楽と直接関係のないものが中心で、パフォーマンス審査が最後のほうに1回しかなかったのにはびっくりでした(笑)。

左からレオナエンパイア、モモチ・ンゲール。

左からレオナエンパイア、モモチ・ンゲール。

ミユキ しかも候補生にはあらかじめ課題曲が共有されるんですけど、WACKオーデは数曲なのに豆柴の合宿の課題曲は「全曲」ですよ! 候補生は40曲くらいある課題曲を必死に覚えてから合宿に臨んだのにパフォーマンス審査はたった1回っていう(笑)。

──豆柴の大群に求められているものがエンタテインメント性ということなのかもしれませんが、パフォーマンスで審査される前に脱落した子たちもいたのはなんとも不憫な話です。

ハナエモンスター 「全曲覚えてくる根性を試す」という意味があったんですかね。

レオナ 合宿の1カ月くらい前に課題曲が40曲あるとわかって、1日1曲覚えても間に合わないという。

モモチ 私は看護師の仕事をしながらだったので、合宿参加の2日前で「あと20曲くらい覚えなきゃ」という状態で、泣きながら準備していました。合宿前から候補生はみんな必死で、移動のバスの中でもずっとダンス動画や歌詞をチェックしていました。

レオナ で、合宿が始まってみたらなかなかパフォーマンスできる場面がなく……。私はずっと自分のパフォーマンスを見てほしかったけど3日目で脱落しちゃって。4日目がパフォーマンス審査だとわかって、4日目早朝の救済スクワットを必死でやりました。

モモチ レオナは3日目に脱落したときに「絶対に救済措置で復活してやるぞ」っていう切り替えが早かったです。落ち込んでいる子が周りにいる中で。

レオナ 泣いている暇なんてなかったから。とにかく勝つっていう気持ちで食らいついて、今に至ります。

──ちなみになぜ“レオナエンパイア”なんでしょう?

レオナ 合宿のときにEMPiRE(現ExWHYZ)さんのTシャツばかり着ていたからです(笑)。

──既存メンバーはそんな出自の違う2人を迎えて、どうですか?

ナオ・オブ・ナオ 課題曲として40曲を覚えていたとはいえ、5人バージョンから今の6人バージョンにフォーメーションを作り直す必要がありました。1月の新体制お披露目ワンマンライブ「豆柴の大群のりりりスタート」で披露するのは18曲だったので、まずはその18曲の振付を爆速で作って、新メンバーだけじゃなくて6人全員が必死で練習しました。アルバムのレコーディングも並行して進めていたので、記憶が飛んでしまうくらいでしたけど、新メンバー2人が食らい付いてくる姿は頼もしく思えました。この6人で再スタートを切れたことにすごくワクワクしましたね。

アイカ・ザ・スパイ まだモモチはマイクを持つことに慣れてないから、練習中は「モモチ、マイク!」っていう声がよく聞こえます(笑)。

──短い時間で必死に準備して迎えた「豆柴の大群のりりりスタート」での新メンバーの様子は?

ハナエ もう終始、不安そうな顔をしていました。ずっと泣いてるし、「あ、これはヤバいかも」と思いながら本番が始まったんですけど、ステージに立ったら別人のようでしたね(笑)。緊張はもちろんあっただろうけど、しっかり前を向いて歌っていたし、堂々としていて。ちゃんとお客さんを見ていたし、ここまで食らい付いてくれてすごいなって、ステージで歌い踊っているときにも感じました。

左からハナエモンスター、ミユキエンジェル。

左からハナエモンスター、ミユキエンジェル。

不安な日々に別れを告げて

──「MUST CHANGE PROJECT」を経て、過去の豆柴と今の豆柴で変わった部分はありますか?

ミユキ メンバーそれぞれが積極的になったのは大きな変化ですね。今だから言えるけど、前は人に頼りっぱなしというか、「やってくれるでしょ」という気持ちがどこかにあって。思ったことがあっても自分は一歩引いちゃって言えないとか。でも今はできることをやれて、言いたいことを言えるようになりました。

アイカ 自分の思いをそれぞれが秘めていたから、すれ違いを感じるときもありました。その当時はライブ直前に「ここが違う!」とか急に溜め込んでいたことを爆発させちゃうことがあったんです。「今言っても間に合わないじゃん」ってタイミングで(笑)。でも最近は練習のたびに言い合えるようになったからパフォーマンス直前の不安がなくなりました。

──グループとしてのキャリアはもう3年以上ありますけど、本番前にそんな不安があったんですね。

ミユキ ありました……。

ハナエ 開演5分前に思い付きのように何かを指摘しちゃう流れは、確かに不安だったよね。

アイカ 積もり積もった不安が本番直前になって出ちゃうことがありましたけど、最近はそういう不安要素を先に潰せるようになりました。

左からアイカ・ザ・スパイ、ナオ・オブ・ナオ。

左からアイカ・ザ・スパイ、ナオ・オブ・ナオ。

ミユキ 新メンバーが入って、総じて後回しタイプだった既存メンバーがお姉さんになった。しっかりしなきゃ、今やらなきゃっていうことに全員が気付けたのもよかったですね。

モモチ 私とレオナは合宿前の豆柴の大群を知らないから、「このグループはなぜ大人たちから変化を求められているんだろう?」と思っていたんです。メンバーそれぞれ、候補生が合格できるように親身になってアドバイスしてくれました。

──「MUST CHANGE PROJECT」を経て、視野が広がった感じはありそうですね。

ナオ そうですね。それまでの5人はいいところもあったけど、それぞれがどこか自己中心的でグループ全体を俯瞰で見られる人がいなかったのかも。俯瞰で見られていても思ったことを言えないメンバーもいただろうし。今は6人で補い合いながら行動できる感じはありますね。

──ライブの本数は最近落ち着いていますが、どんな準備をしているんですか?

ナオ アルバムの新曲がたくさんあるので、ライブのたびに初披露の曲があるという状況です。

ミユキ だから新しい振付を考えて覚えて、初披露を挟みながら、次の曲も考えて覚えて……で、けっこう時間がないです。

ナオ だからみんな今も必死です(笑)。