ナタリー PowerPush - MAGIC PARTY
サイケポップなニューカマー登場 渡和久(風味堂)と奇跡のコラボ
渡さんとのコラボで自分のプレイにも火がついた
──メジャーでの2ndシングル「奇跡の夜」は、風味堂の渡和久さんがピアノとボーカルで参加されているのが大きな話題になっていますね。
本田 もともとこの曲は去年の冬にできあがってたんですよ。冬の切なさを持ちつつ、でもその中に疾走感とか力強さも入っているっていうイメージで作ったもので。でも結局、1年間寝かせることになってしまったんで、今回のタイミングでもう一度アレンジをし直してみたいなと思ったんです。そのときに、ちょっと大人っぽいジャジーなピアノが欲しいなと。で、誰かいないかなぁと思ったときに、昔一緒にライブをしたことのある風味堂の渡さんが思い浮かんで。彼ってピアノだけじゃなく歌も歌うんで、この曲を男女で歌い分けてみたら面白いかなとも思ったし。で、声をかけたら快くOKしていただけて。
──ほかのアーティストとのコラボレーションは、この曲が初めてなんですよね。
本田 初めてですね。すごくいい刺激になりました。レコーディングまでにいろいろとやり取りはしてたんですけど、本番になったら渡さんが想像以上に激しくピアノを弾き出したので、これはマズイなと思って。このままだと僕が目立たなくなるなと思って(笑)、自分も火をつけられた感じですね。
──渡さんらしいピアノソロの後、サウンドがグッと盛り上がっていきますけど、そこにはそういう現場でのテンションが反映されてるってことなんですね。
本田 まさにそうですね、うん。渡さんが入ったことで、冬の寒さを表現するギターを入れたりもしましたし。
──歌に関してはどうでしたか? 男性と一緒に歌うと、普段とは違った表情も引き出されるんじゃないですか?
AIRI そうですね。女性とは、カラオケで一緒に歌うこととかはあったんですけど、男性の方と一緒にっていうのは今までなかったので、すごく新鮮で。渡さんの声を聴くことで、曲の世界観により入ることができて、切ない歌が歌えた気がしますね。私はけっこうまっすぐに歌うタイプなんですけど、感情を込める表現力とか、そういうところはすごく勉強にもなりましたし。
歌詞を書くときは男性側の視点も考えて
──AIRIさんが手掛けている歌詞もすごくステキでした。男女で歌うことで、より伝わる内容ですしね。
AIRI お互い好きという気持ちを持った男女なのに、相手の気持ちがわからないから、まだ一歩が踏み出せないっていう。冬には切ないイメージがあるんで、そこから妄想を膨らませたらこういうイメージが浮かんできたんですよね。きっと誰もが経験したことのある内容だとも思ったので。
──第三者目線だともどかしい感じもありますけどね(笑)。
AIRI ですよね。当たって砕けろよ、みたいな(笑)。でも、なかなか言い出せないっていうところがピュアでいいかなって。私は詞を書く上でいつもそうなんですけど、主人公になってみて考えるんですよ。だから今回は男性側にも立ってみて、どうなんだろうとか考えつつ。光史郎さんにもちょっと聞いてみたりしながら書きました。
本田 ほぼ却下されましたけどね(笑)。
AIRI それは違う、みたいな(笑)。
本田 今回の歌詞には男女の気持ちの平行線っていうキーワードがあったんで、そこから間奏に男女の平行線をイメージしたコーラスをつけたりもしたんです。最初はただの間奏だったんですけどね。そういうところは歌詞ができてから、またすごくイメージが膨らんだんですよね。
──メロディもすごく気持ち良かったです。
AIRI やっぱり歌ってても気持ちいいですね。サビになってバーッと広がるところとか。
本田 MAGIC PARTYとしては、メロディを一番大事にしたいんですよ。今回のはかなり自信作ではありますね。そこに渡さんが加わってくださったことで、さらにいいアレンジにもなったと思うし。
MAGIC PARTY(まじっくぱーてぃー)
AIRI(Vo)と本田光史郎(B、Compose)の2人からなるポップユニット。2008年春結成。ライブハウスを中心に活動をスタートさせ、2009年9月にインディーズから初音源「エリナリ」を発表。11月にリリースしたメジャー1stシングル「Believe in Paradise」はドラマ「深夜食堂」主題歌に抜擢され話題を集める。12月2日には風味堂の渡和久をフィーチャーした2ndシングル「奇跡の夜」をリリース。60~70年代のサイケデリックロックをベースにさまざまなジャンルの音楽を取り入れた最新型のサウンドは、AIRIが手がける歌詞の世界ともあいまって、独自の魅力を作り出している。