ナタリー PowerPush - MAGIC PARTY
サイケポップなニューカマー登場 渡和久(風味堂)と奇跡のコラボ
今年9月のインディーズデビューに続き、11月にはドラマ「深夜食堂」の主題歌となる「Believe in Paradise」でメジャーシーンへと進出し、大きな話題を集めているMAGIC PARTYがナタリー初登場。
ユニット結成の経緯から、さまざまな音楽にインスパイアされたサイケデリックポップというサウンドスタイルについて、そして風味堂の渡和久をフィーチャーした12月2日リリースの2ndシングル「奇跡の夜」の話まで、ボーカルのAIRIとコンポーズ&ベースの本田光史郎に話を聞いた。
取材・文/もりひでゆき
ハスキーな声の女性ボーカリストを探していた
──お2人の出会いは?
本田 まず僕は東京でバンドを組んだりとか楽曲制作とか、いろんなことをやってたんですけど、その中で女性ボーカルに曲を書く機会が1回あって。それをやったときに、自分の曲って女性に合うんだな、すごく気持ち良いなと思ったんです。そこで、それなら女性ボーカルと一緒にユニットを組みたいなと。で、いろんな知り合いに声を掛けたりとか、楽器屋に募集を貼ったりとかしてる中で、滋賀県にいい女性ボーカリストがいるから1回会ってみないかって言われて。すぐに会いにいったんです。
──それがAIRIさんだったわけですね。AIRIさんはどんな活動をしていたんですか?
AIRI 大阪と滋賀のライブハウスで歌わせていただいたりとか、路上で歌ったりしてました。前に組んでたバンドが解散して、そのベースさんがアコースティックギターを弾いてくれて。2人で活動してました。
──そこにいきなり本田さんがやってきたと。
本田 まぁ連絡はしてましたけどね。ちゃんとアポは取って(笑)。
AIRI 私としては予期せぬことだったんで、すごく驚きましたね。でも、やっぱりちゃんと聴いてくれてる人や見てくれてる人はいるんだなと思って、すごくうれしかったです。
本田 で、すぐにスタジオに入って、歌ってもらったんですけど、その感触がすごく良くて。自分としてはハスキーな声を探してたっていうのもあって、声質にまずピンと来たんですね。あとは、歌に対しての情熱というか、歌ったときの世界観がものすごく良かった。で、すぐに一緒にやりたいなと。
AIRI 私も、光史郎さんが作ってきてくれた楽曲がすごく気に入ったんですよ。歌ってても気持ち良かったですし。なので、私も一緒にやりたいってすぐに思いましたね。
本田 それが2008年の5月~6月くらい。で、会ってから3カ月後くらいに彼女が東京に住み出して、そこから本格的に曲を作り始めた感じですね。
ポップな曲にハスキーな声が乗るのがいい
──ユニットとして、どんな方向に行きたいと考えていたんですか?
本田 いろんなジャンルの曲を作って、それを歌ってもらうことで、自分たちのユニットとしてどんな曲が一番いいのかなっていうのはかなり模索しましたね。その中で、2人とも60年代とかの古い音楽好きなんで、ちょっとサイケデリックな感じを取り入れながら、それを軸にしていろんなジャンルをやっていったらいいんじゃないかなって思ったんです。例えば、インドのシタールの音だったりとか、ギターのリバースさせた音だったり、そういうサイケ感が曲の中にあるのが自分はすごく好きなんで、そこは外せないかなって。
──そういうものをエッセンスとして加味していこうと。
本田 そうですね。そういうものが楽しいなって思えるんで。
──そもそも60年代の音楽に惹かれる理由っていうのは、どんなところにあるんでしょうか?
AIRI すごいシンプルな構成なのに、力強いっていうか。やっぱり芯がある感じがするんですよね。素朴なのに、すごく心に直接伝わってくるところですかね。
──お2人が共通して好きなアーティストっているんですか?
本田 共通してだと、みなさんそうだと思うんですけど、やっぱりビートルズはまず外せないですね。
──なるほど。で、サイケデリックポップという方向性が決まったと。
本田 はい。ポップっていうところも重要なんですよね。基本、自分はポップスが好きなんで、そういう曲が多くなるんですけど、そこにAIRIのハスキーな声っていうのがいい具合にミックスされるんです。ハスキーな声にはちょっとロックなイメージもあると思うんですけど、そこにあえてポップな曲で挑戦するっていうのがいいんじゃないかなって。
AIRI 私もポップスはすごく好きなんですよ。光史郎さんよりはややロック寄りな曲が好きなところもあるし、やっぱり声でロックっぽいねって言われることも前はあったんですけど、光史郎さんが作ってくれる曲を歌うことによって、いい感じでポップ寄りになってるんじゃないかなって思いますね。
MAGIC PARTY(まじっくぱーてぃー)
AIRI(Vo)と本田光史郎(B、Compose)の2人からなるポップユニット。2008年春結成。ライブハウスを中心に活動をスタートさせ、2009年9月にインディーズから初音源「エリナリ」を発表。11月にリリースしたメジャー1stシングル「Believe in Paradise」はドラマ「深夜食堂」主題歌に抜擢され話題を集める。12月2日には風味堂の渡和久をフィーチャーした2ndシングル「奇跡の夜」をリリース。60~70年代のサイケデリックロックをベースにさまざまなジャンルの音楽を取り入れた最新型のサウンドは、AIRIが手がける歌詞の世界ともあいまって、独自の魅力を作り出している。