「マジカミ」ジ・アブソリュートリー・パーフェクト・ワン×渡辺淳之介 プロデューサー対談|主題歌はGANG PARADE、魔法少女が活躍するPCブラウザゲームがついに完成

PCブラウザゲームで異例の製作費12億円

──「マジカミ」は製作費12億円と、PCブラウザゲームとしてはかなりの予算がつぎこまれてますよね。

渡辺 12億!?

ジブ そうなんですよ(笑)。

渡辺 ヤベーな(笑)。

ジブ けっこうな額……だと思いますね。ぶっちゃけると、開発を始めた時点ではここまで予算を切ってなくて(笑)。もともと今の半分から1/3くらいで作る予定だったんです。渡辺さんに最初ご提案しに行ったときはたぶん「開発費は4億」と書いていたと思うんですよね。開発を進める中でいろいろこだわりたい部分が出てきたこともあるし、ビジネス的にも成り立つ算段があったので、「ちゃんとお金をかけていいものを作ろう」という方針になった結果、予算が膨れ上がってしまったという裏話があります(笑)。

──クオリティを上げるためには必要だったということですもんね。

「マジカミ」ホームシーンのサンプル画像。

ジブ そうですね。もちろん想定外でかかっちゃったところも正直あります。PCゲームなんですけど、3Dがこれだけ動いてるタイトルはかなり珍しいんですよ。ブラウザで3Dを動かすこと自体そもそも難しいんですけど、どうしても3Dにしたかったんですよね。熱いバトルの演出は2Dでももちろんできますけど、3Dのほうがよりリッチにできますし。ブラウザでどう3Dを動かすかというところの検証と開発には時間がかかりましたけど、結果的には今の国内のブラウザゲームであれば、最も3Dが動いてるゲームにできたかなと思ってます。その分、予算はかかっちゃいましたけど(笑)。

──渡辺さんもこれまでに大胆なプロモーションを展開してきていますよね。

渡辺 広告だけはけっこうかかってますね。ゲームに比べたら恥ずかしい額なんですけど、音楽業界ってやっぱり市場規模がすごく小っちゃいので、広告費500万くらいでもけっこうな大金ですから。WACKは小っちゃい事務所のわりには投資しているほうだと思いますけど、想定より予算かかっちゃったってケースはあんまりなくて、どちらかというと切り捨てますね。ジブさんの話を聞いてすごくうらやましく思いました(笑)。予算を超えてできないことがあったら、もちろんそれ以上にどうすればいいかというのは模索するんですよ。でもプロデューサーとして予算以外にもいろんな取捨選択があって、「じゃあこれどうやってやる?」というのを考えてこれまでやってきたんです。

ジブ なるほど。

渡辺 投資予算の3倍になっても大丈夫なゲームってすげーなと単純に思いました。あと僕はもともとサラリーマンだったので、会社員としてどのような社内政治をしたのかが気になる(笑)。なかなかないですよ、最初に4億だった予算が12億になるって。

ジブ 僕もできるだけコストを抑えたい気持ちはありますよ。「マジカミ」のチームは「Studio MGCM」というスタジオでやっているんですけれども、代表を含めて、うちのプロジェクト自体を応援してくれているので、猛反対されるようなことは今までなかったですね。

渡辺 すげー。信頼されているってことですよね。

ジブ ということなんですかね? だといいですけど(笑)。

普通のプロモーションじゃ箸にも棒にも引っかからない

──「マジカミ」はプロモーションに関しても尖った部分がありましたね。“例のプール”という通称で知られる屋内プールから発表会の模様を生中継していましたし。

ジブ なんであんなことやってるか気になりますよね(笑)。まず僕ら“ノンIP”(IP=知的財産)なんです。最近のゲームはすでにマンガやアニメで人気になっているものをゲーム化しましたとか、昔人気だったゲームのリバイバルの続編とか、そういうコンテンツをゲーム化していくことが基本的には多いんです。当然そこにファンが付いているので、普通にそのコンテンツのよさをしっかりアピールしていけばプロモーションとして最低限成功するというベースがあるんですけど、「マジカミ」の場合は完全にゼロから作ったコンテンツなので、何かアクションを起こさないとまず人の目に留まらないこともあるなと思っています。R18の要素があるのもフックにしながら、「変なことやってるゲームがあるぞ」でもいいからちょっと気にしてもらって、それで内容に触れてもらえたら「あ、ちゃんと作ってるんだ」「中身は真面目にやってて面白そうだな」とユーザーに思わせたくて、ちょっと変わったこともやっているんです。

渡辺 面白いことしますよね。

「マジカミ」ガチャシーンのサンプル画像。

ジブ 普通のゲームが普通にやるプロモーションをやっても箸にも棒にも引っかからないので、あえてやってます。制作発表をああいう変わったロケーションでやりながらも、あそこは「中身はけっこう真面目に作ってるんですよ」という部分をアピールする場なんです。ゲーム自体は大真面目に作っているけど、ちょっとふざけてるところもある、みたいな。そういう感じでとらえてもらって、「変なことやっている奴がいるぞ」とちょっとでもTwitterとかでつぶやいてもらえてらうれしいです(笑)。

渡辺 僕たちもまずは見てもらわないとどうしようもないというところで、知ってもらう機会を作るために変なことばっかりやってきたので。

ジブ WACKさんはもう完全に突き抜けてますよね。グループの多くがメジャーにいかれてるので。

渡辺 今でも変なことばっかりしたいと思ってますよ。もはやただの性癖なんじゃないかという感じもしますけど。

ジブ はははは(笑)。

──ちなみに渡辺さんは日常でゲームに触れることってあるんですか?

渡辺 僕、実はあんまり触れたことがなくて。「ファイナルファンタジー VIII」で止まってます。そのあと「ファイナルファンタジー XI」がオンラインゲームになったあたりで気持ちが追い付けなくなっちゃって。しかもクリアの概念がなくて、ずっとやり込み要素のあるゲームも出てきて、もうわかんないなと思って。僕としてはゲームを始めたら最終的にクリアしたい気持ちがあるので、そこから遠のいちゃったんですよね。レトロゲームとしては「ファイナルファンタジー IV」が一番好きで、これはアプリでやってますね(笑)。今はやる時間があんまりなくて。

ジブ 渡辺さんの忙しさでめっちゃゲームやってたらもう、渡辺さんが3人ぐらいいるんじゃないかって(笑)。分身説が出てきますよね。

渡辺 でもせっかくゲームに触れる機会ができたので、「マジカミ」でひさしぶりにゲームをやってみたいなと思ってます。

遊び人にも楽しんでもらえたら

──現時点で「マジカミ」は事前登録期間中ですが、正式なローンチは?

ジブ はい、そうです。まだ事前登録中で、一応春から夏にリリース予定というふうに言わせていただいているんですけども。

渡辺 春から夏ってけっこうアバウト(笑)。

ジブ 一応、6月26日を目指しています。この記事が出たということはローンチできたということになりますね。

──ちなみにギャンパレのライブはご覧になりましたか?

ジブ 野音のライブに行きたかったんですが、本当に申し訳ないことに仕事で行けなかったんです。6月19日のTSUTAYA O-EASTは絶対に行きたいです! 「マジカミ」のタイアップ曲を披露してくださると伺ってますので、遊び人(ギャンパレファンの呼称)の方々の反応も楽しみです。遊び人の方々はTwitterなどで「ゲームを起動して作業用のBGMにしてます」「リリースされるの楽しみです」とつぶやいてくださってる方もいましたし、「マジカミ」を応援してくださっているようで、ありがたいです。本当に熱心にギャンパレを応援しているんだなと思いましたし、先行体験版を出したときも楽曲が聴きたいからという理由で毎日のようにアクセスしてくれた方もいらっしゃったみたいで、もう超うれしいっす。遊び人の皆さんありがとう。ぜひゲームを楽しんでください。そしてギャンパレさんありがとうと改めて伝えたいです。

渡辺 ギャンパレのファンは金持ちが多いんで、お金使いたくてしょうがないんですよ(笑)。ぜひハマって課金していただけたら。

左からジ・アブソリュートリー・パーフェクト・ワン、渡辺淳之介。