ナタリー PowerPush - LUNA SEA
JとINORANが明かす“唯一無二”の理由
自分のイメージを超えてなかったことは一度もない
──ベストアルバムには再レコーディングしたものとはいえインディーズ時代の曲もあるし、“REBOOT”後に発表した楽曲も含まれています。時代による音質の違いはあるけど、こうやって年代をバラバラに並べて聴いてみると、どの楽曲も時代を感じさせない普遍性を持ったものばかりだと思いました。
J やっぱり曲を作っていく上で……曲を生み出していくバンドとして、軽い存在にはなりたくないって思うんですよね。今みたいなCDが売れないと言われる時代だからこそ、余計に思うのかもしれないけど。僕らは子供の頃にすごい影響力を持ったバンドやその音楽を聴いて、彼らに憧れていろんな夢を見てきた。そしてそういう人たちが今でも現役でその音楽を鳴らしてるという事実があって、そういう強い光を長く放ち続けられるアーティストだったから僕らは惹き付けられたんだと思うんです。それと同じように、LUNA SEAというバンドが作り上げてきた楽曲が多くのリスナーにとって今でもそういうふうに鳴り響いてくれているのはうれしいですよね。
──例えばJさん、INORANさんの中で、アルバム用とかシングル用とか意識して曲を書き分けることはあるんですか?
INORAN ほとんどないですね。ジャンルの違い……例えばビートが跳ねた曲だったりハードな曲だったり、そういった違いはあるかもしれないけど、基本となる部分はそんなに変わらないです。僕にしか作れない曲というのがあると思うので、それをただひたすら作るのみです。
J 僕の場合はケースバイケースかな。結局その曲をどうやって届けるかというイメージの違いなんです。例えばアルバム用に作った10数曲の中から1曲をシングルとしてリリースしようとする。アルバムからのリード曲として突っ走ってもらうには、やっぱり曲としてのパンチが必要だし、それ以上にわかりやすさも必要なのかもしれない。ときには正反対のわかりづらさや異物感が必要になってくるときもある。そのへんを意識して、僕はメンバーに「これはシングルになってもいいかな、なんて思って書いた曲なんだ」みたいな提案の仕方をするときはあります。
──なるほど。そこは5者5様というか。
J そうですね。でも今までやってきた経験から言うと、あんまり頭でっかちになってるとよくないんですよ(笑)。
INORAN あと曲作りで言うと、ほかの4人の色が混ざると絶対に自分が最初に考えていたものとは違った形になるので、最終的な完成図は事前に描かないようにしてます。そこは描いても無駄なんで(笑)。自分のイメージを超えたものができあがるし、超えてなかったことは一度もないですから。
同じ入り口でも入ってからの世界はまったく別モノ
──そしてライブアルバム「NEVER SOLD OUT 2」は、ちょうど結成10周年(1999年)のときに発表された「NEVER SOLD OUT」の続編になります。今回「NEVER SOLD OUT 2」を聴く際に、前作も一緒に聴いてみたんですが、驚いたことに冒頭の「LOVELESS」「Dejavu」という2曲の流れがまったく一緒なんですよね。
J たとえ同じ入り口でも、そこから先の世界は2作ともまったく別モノというか。そういうアルバムの作り方も実際面白いんじゃないかなって思ったんです。せっかくシリーズ的に続けてリリースできたんだから、そういう遊びもあっていいのかなと思って。
──実は2作品でかぶってる曲って5曲だけなんですよね。
J ですね。実は選曲に関しては大変なことも多くて。やっぱりライブアルバムなだけに、いつもライブで演奏してるような曲は入れたいし、各アルバムの鍵になるような曲たちも入れたい。もっと言えば、ライブで数回しかプレイしたことがないようなレアな曲も入れたいし……どういうバランスで曲をピックアップすれば、作品として成立させることができるのか、やっぱり悩みどころですよ。自分たちの思いもあるし、同時に客観視しなきゃいけない部分もあるし。いろんな人の意見を取り入れて、最終的にメンバーが決めたのがこの選曲なんです。
──今作の特色って、前作「NEVER SOLD OUT」以降の楽曲……終幕直前に発表された「LUNACY」の楽曲が含まれていることだと思うんです。実際に“REBOOT”以降のライブでは「gravity」や「TONIGHT」が欠かせない重要なナンバーになっていると思いますし。
J そうですね。2014年の今、自分たちを表現するにはどの曲がいいのかという視点でピックアップしたのもありますし、そういう意味ではおっしゃったような曲は必ず必要になるわけで。そういった曲が要所要所に入ることで今のLUNA SEAにとってのベストなセレクトになると信じてるし、実際にそういうベストな作品が作れたと思います。
ライブ音源を年代関係なく混ぜるのもいい手法だなと
──前作から15年経っていることもあって、収録時期も幅広いものになりましたね。
INORAN 1曲1曲聴くと、その頃のことをいろいろ思い出しますよ。「あ、この曲は何回目の武道館だったな」とか「香港のライブはこうだったな」とか。1曲聴くと、そのライブの前後のことも思い出すし。その会場に行く前とか終わったあととか、あるいは打ち上げのこととか(笑)。
──聴くと思い出すものなんですね。
INORAN 僕はミックスチェックしてるときに思い出しましたよ。「もうあれから何年経つんだ?」とか(笑)。特にここに収録されているライブを観に来てくれた人は、また違う楽しみ方ができるんじゃないかな。そういう意味では、ライブ音源を年代関係なく混ぜるのもいい手法だなと思いましたね。
──それこそ一番古いのは1992年の「IMITATION」で、そこから20年後の音源も入ってるわけですから。通常のライブアルバムではこういう形態はないですしね。同じアルバム収録曲でも、演奏された時期によってまったく違った印象を受けるし。
INORAN あとは自分的には「あのときはこのギター使ってたな」「このアンプだったな」っていうことも思い出したり。曲によってギターの音が全然違うから、そういう部分では僕なりの楽しみ方もありますね。
──ライブアルバムではあるけど、1曲1曲楽器やサウンドシステムを変えて録音に臨むスタジオアルバムみたいな?
INORAN そうですね。ほかのメンバーの演奏を聴いても「SUGIちゃん、あのシステム使ってたな」とか「真ちゃん、あの色のドラム使ってたな」とか「このときはドラムセットが回ったな」とか(笑)、そういう面白みもありますね。
- ベストアルバム「LUNA SEA 25th Anniversary Ultimate Best THE ONE」
- [CD2枚組] 2014年5月28日発売 / 3542円 / ユニバーサルJ / UPCH-1982~3
- ライブアルバム「NEVER SOLD OUT 2」
- [CD2枚組] 2014年5月28日発売 / 3121円 / ユニバーサルJ / UPCH-1980~1
- CD BOX「LUNA SEA 25th Anniversary Ultimate Best THE ONE +NEVER SOLD OUT 2」
- [CD4枚組+ブックレット] 2014年5月28日発売 / 7441円 / ユニバーサルJ / UPCH-9944
LUNA SEA(ルナシー)
RYUICHI(Vo)、SUGIZO(G, Violin)、INORAN(G)、J(B)、真矢(Dr)からなるロックバンド。1989年にこの5名がそろい、ライブ活動をスタートさせる。1991年にYOSHIKI(X JAPAN)主宰の「Extasy Records」から1stアルバム「LUNA SEA」をリリース。翌1992年には2ndアルバム「IMAGE」でメジャーデビューを果たした。1994年のシングル「ROSIER」がロングヒットを記録し、東京ドームや横浜スタジアムなどでライブを行うなど日本を代表するロックバンドに君臨する。以降、「MOTHER」「STYLE」「SHINE」といったアルバムを大ヒットし、1999年5月には東京ビッグサイトで10万人を動員した野外ライブを実施。しかし2000年11月に“終幕”を発表し、同年12月26、27日に行われた東京ドーム公演をもってバンドの歴史に幕を下ろした。
終幕以降も各メンバーはソロアーティストとしてのキャリアを重ね、精力的な音楽活動を展開。2007年12月24日には東京ドームで一夜限りの復活ライブを行い、好評を博した。翌2008年5月にはhide(X JAPAN)のメモリアルライブにも出演。正式な再結成を望む声が高まる中、2010年8月に“REBOOT”と称して本格的な再始動を発表した。同年11月からは東京ドーム3DAYS公演を含むワールドツアーを敢行。2011年3月には1stアルバム「LUNA SEAのセルフカバーアルバム、2012年3月には20分を超える大作1曲のみを収録したシングル「THE ONE -crash to create-」をリリースし、音楽ファンを驚かせた。そしてシングル「The End of the Dream / Rouge」「Thoughts」「乱」の発表を経て、2013年12月に13年5カ月ぶりのオリジナルアルバム「A WILL」を発売。結成25周年を迎える2014年5月29日には国立代々木競技場第一体育館でスペシャルライブ「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE -The Unfinished MOON-」を実施し、同年6月7日からは約9カ月におよぶ全国ホールツアー「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE TOUR THE LUNATIC -A Liberated Will-」をスタートさせる。