ナタリー PowerPush - LUNA SEA

JとINORANが明かす“唯一無二”の理由

今年5月29日に結成25周年を迎えるLUNA SEAがその前日となる28日、ベストアルバム「LUNA SEA 25th Anniversary Ultimate Best THE ONE」とライブアルバム「NEVER SOLD OUT 2」を同時リリースする。この2タイトルにはLUNA SEAの歴史を語る上で欠かせない代表曲やヒットシングルの数々、この機会に改めて聴いておきたい隠れた名曲を凝縮。スタジオ音源とライブ音源という2方向から、LUNA SEAというバンドの個性をじっくり堪能することができる。

昨年12月には約13年5カ月ぶりとなる最新オリジナルアルバム「A WILL」を発表したLUNA SEA。彼らは25周年をいう節目を経て、どこへ向かっていくのか。今回ナタリーではメンバーのJ(B)とINORAN(G)にインタビューを行い、バンドの「これまで」と「今」、そして「これから」についてじっくり話を聞いた。

取材・文 / 西廣智一

“LUNA SEAタイム”で物事が進んでる

──2010年の“REBOOT”(再始動)から早いもので、もう4年近く経ちましたね。

J(B)

J(B) 早いですね。この4年の間にレコーディングの準備をしたり、そして長い長いレコーディングをしたり。でも僕らにとってはなんかこう普通の時間サイクルというよりは“LUNA SEAタイム”で物事が進んでるんです。僕ら的にはあっという間だったけど、人によっては4年のわりにそこまで表立った活動をしてないように見えるかもしれないですよね。これでも巻きで進んでるんですけど(笑)。

──なるほど(笑)。

J だいぶ密度が濃い4年間だったと思います。

INORAN(G) そうだね。すごくいい状態で活動できてるなとは思います。ライブや作品リリースはほかのバンドと比べて不定期かもしれないけど、「作品を作らなきゃいけない」とか「ライブをやらなきゃいけない」とか、そういう“変な無理”をしてないですからね。

──冷静に考えて25年も……途中7年間の空白はありますが、同じメンバーで1つのバンドとして活動することってやっぱりすごいことだと思うんです。

J バンドを始めた頃は、とにかく天下を獲ってやるぞみたいなところがエネルギーとなってたんですよね。いろんな局面に全力でぶつかっていったことの積み重ねの結果、気が付いたらこれだけの時間が経っていたというか。

INORAN 7年間活動していなかった時期はLUNA SEAを俯瞰で見ることができたんで、戻ってきたタイミングでその大切さを実感した部分があって。LUNA SEAというバンドとその活動に対して、すごく愛情と責任を持って動けるようになったのも大きいですね。

J でもいまだにやんちゃな面も多いんで、もうちょっと大人になれみたいなところもありますけどね(笑)。つくづく面白いバンドだなと思いますよ。

──外から見てる僕たちがこんなに面白がって見てるんですから、中にいる人たちはもっと面白いんだろうなと思うんですが?

J そうですね。LUNA SEAってこれまでも予想外の出来事やトラブルに見舞われることが多かったけど、僕らがそれらすべてを受け入れて楽しんでる部分はすごくあると思うんです。そうやって楽しみながら新しい音を作り、新しい道を歩き、それが今でもずっと続いているというか。そういう最高の瞬間を僕たち5人は心の底から楽しんでるんです。

昔ながらの手法を守り続けるのがLUNA SEAの役目

──昨年12月には“REBOOT”後初のオリジナルアルバム「A WILL」もリリースされました。1曲目の「Anthem of Light」からラストの「Grace」まで、「これぞLUNA SEA」と呼べる、聴いた瞬間に誰もがLUNA SEAの音だと気付くものになっていたと思います。

INORAN この5人がそろえば絶対にLUNA SEAの音になるという確信は、アルバムを作る前からありましたからね。そこに対しては不安の「ふ」の字もなかったかな。

──それは制作に入る前にツアーをガッツリやったのが大きかった?

INORAN 今振り返ると、それは大きいでしょうね。非常にLUNA SEAっぽい、正しいやり方だったと思います。みんなたくさんの経験を積んできてるからいろんなことができると思うけど、やっぱりLUNA SEAというのは正真正銘のバンドというか。曲作りもデータのやり取りではなくて一緒にスタジオに入らないといけないみたいな、「これがLUNA SEAのやり方なんだ」っていうものがあるので、そういう意味では先に精力的にライブをやったのはすごく正しかったと思います。

J やっぱりライブを通じて自分たちの居場所や向かう場所を理解することができたことで、「A WILL」っていうアルバムにものすごい刺激を与えられたと思うんです。なんて言うのかな、触れたらヤケドしたり傷付いたりしそうな、ちょっといびつな要素がゴロゴロ入ってるアルバムというか。それこそが僕たちの知ってるロックであり、僕たちがずっと信じてきたロックなんです。僕たちを変えてくれたロックミュージックが持っていたものを、曲作りやレコーディングの前にライブを通じて再認識できたのはすごく大きかったですね。

──今回LUNA SEAがアルバムを完成させるまでに取った手法というのは、とてもアナログですよね。

INORAN そうかもしれないですね。僕らはそういうアナログな手法でずっと音楽を作り続けてきたし、そこには失っちゃいけないものが絶対にあるというか。それがこのバンドに課せられた使命でもあると思うんです。この昔ながらの手法を守り続けることで、後ろから付いて来るバンドたちに対してもいい影響を及ぼすと信じてます。

ベストアルバム「LUNA SEA 25th Anniversary Ultimate Best THE ONE」
[CD2枚組] 2014年5月28日発売 / 3542円 / ユニバーサルJ / UPCH-1982~3
ライブアルバム「NEVER SOLD OUT 2」
[CD2枚組] 2014年5月28日発売 / 3121円 / ユニバーサルJ / UPCH-1980~1
CD BOX「LUNA SEA 25th Anniversary Ultimate Best THE ONE +NEVER SOLD OUT 2」
[CD4枚組+ブックレット] 2014年5月28日発売 / 7441円 / ユニバーサルJ / UPCH-9944
LUNA SEA(ルナシー)

RYUICHI(Vo)、SUGIZO(G, Violin)、INORAN(G)、J(B)、真矢(Dr)からなるロックバンド。1989年にこの5名がそろい、ライブ活動をスタートさせる。1991年にYOSHIKI(X JAPAN)主宰の「Extasy Records」から1stアルバム「LUNA SEA」をリリース。翌1992年には2ndアルバム「IMAGE」でメジャーデビューを果たした。1994年のシングル「ROSIER」がロングヒットを記録し、東京ドームや横浜スタジアムなどでライブを行うなど日本を代表するロックバンドに君臨する。以降、「MOTHER」「STYLE」「SHINE」といったアルバムを大ヒットし、1999年5月には東京ビッグサイトで10万人を動員した野外ライブを実施。しかし2000年11月に“終幕”を発表し、同年12月26、27日に行われた東京ドーム公演をもってバンドの歴史に幕を下ろした。

終幕以降も各メンバーはソロアーティストとしてのキャリアを重ね、精力的な音楽活動を展開。2007年12月24日には東京ドームで一夜限りの復活ライブを行い、好評を博した。翌2008年5月にはhide(X JAPAN)のメモリアルライブにも出演。正式な再結成を望む声が高まる中、2010年8月に“REBOOT”と称して本格的な再始動を発表した。同年11月からは東京ドーム3DAYS公演を含むワールドツアーを敢行。2011年3月には1stアルバム「LUNA SEAのセルフカバーアルバム、2012年3月には20分を超える大作1曲のみを収録したシングル「THE ONE -crash to create-」をリリースし、音楽ファンを驚かせた。そしてシングル「The End of the Dream / Rouge」「Thoughts」「乱」の発表を経て、2013年12月に13年5カ月ぶりのオリジナルアルバム「A WILL」を発売。結成25周年を迎える2014年5月29日には国立代々木競技場第一体育館でスペシャルライブ「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE -The Unfinished MOON-」を実施し、同年6月7日からは約9カ月におよぶ全国ホールツアー「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE TOUR THE LUNATIC -A Liberated Will-」をスタートさせる。