LOW IQ 01「Stories Noticed」特集 LOW IQ 01×TOSHI-LOW|SUPER STUPID復活劇を経て生まれた、渾身のミクスチャーアルバム

書いたのは俺だけど、これ全部イッちゃんの言葉だよ

──泥臭いところも隠さず見せるのは、アルバム収録曲の「青い鳥」の歌詞に顕著ですね。

LOW IQ 01 これはTOSHI-LOWに書いてもらった歌詞。自分のアルバムで人に歌詞を頼むのは初めての経験だったけど、TOSHI-LOWが今一番、僕の気持ちをわかってくれてるんじゃねえかと思えたし。でね、もっと難しいニュアンスの言葉をいっぱい使って僕に教えようとするんだろうなと思ってたら、まったく逆だった。どストレートでびっくりした。

TOSHI-LOW いや、書いたのは俺だけど、これ全部イッちゃんの言葉だよ。イッちゃんが言ったことをうまく俺が並べただけの話で。結局、幸せに気付いてるのかどうかってことだよね。自分の掌の中に幸せがあるのに、恨みつらみを言ってると見えなくなる。それはみんなそうじゃない? 大人になると余計に頑固になっちゃう部分もあるし。で、イッちゃんなんか40半ば超えてるでしょ? 今になって素直になるんだよ? すごくない? ホントに最初に言った「お帰りなさい」って言葉そのまんま。

LOW IQ 01

LOW IQ 01 でもこれ、原点回帰じゃないんだよね。原点回帰だと、1990年代の懐かしさだけだし、それでいいんだったら「尽未来際」をきっかけに再結成してると思う。そうじゃなくて、原点回帰もありつつ、18年経っての進化と言うか。いい意味で昔にすがらないようにしたかったし、さんざん「僕は1人で行く」って言ってきたんだから、ソロでいい作品を胸張って作んなきゃと思った。

TOSHI-LOW これは代表作になるんじゃないの? ホントに。

──数あるLOW IQ作品の中でも、やっぱり一番グッときましたね。

LOW IQ 01 そうだろうね。今までって、ホント“音楽”なの。もちろん音を楽しむっていうのは一番大事なところなんだけど、それ以外のところを絶対入れないようにしてた。でも今はそれプラス、泥臭さとか、青臭さとか。そういう感情のミクスチャーだよね。

TOSHI-LOW もともとミクスチャーの人だもんね。今思い出したけど、俺、この人のミクスチャーが好きなのよ。

今、バンドって楽しいなってつくづく思ってる

──TOSHI-LOWさんが思う、イチさんのミクスチャーとは?

TOSHI-LOW マルチの人ではないの。ただなんでもできるんじゃなくて、いろんなものをなんでも混ぜ込んでいく、そのミクスチャーのセンスがすごいんだと思う。アイリッシュな感じとかロカビリーっぽい感じとか、人によっては「ルーツ知らないのにやってるな」みたいになるじゃん。レゲエ調の歌を真似して歌っても気持ち悪いだけ、みたいな人もいる。ちゃんと愛情を持ってミクスチャーできる人って意外に少ないと思う。イッちゃんにはイッちゃんだけのミクスチャーがあって、いろんなものが集まって化学反応を起こしていく感じ。

──「A+B」みたいなミクスチャーではなかったですね、SSは。

左からLOW IQ 01、TOSHI-LOW。

LOW IQ 01 今出てきたレゲエとかラップにしても、ちょっとかじってる程度じゃ本気でやってる人たちに失礼にあたるわけ。やるなら自分の解釈をうまくできてないと。ただかじるんじゃなくて、ちゃんとミックスしてないとダメだし、ミックスのさじ加減っていうのもあって。その道で本気でやってる人たちに失礼にならないように筋を通すっていうのが僕流のやり方かな。どんなときでも自分の軸にはミクスチャーっていう言葉があって。もともとThe Clashだってミクスチャーじゃない。最初はパンクだったけど、レゲエとかダブをいち早く取り入れて。もちろんファンからは「なんだよ、パンクじゃなくなっちゃった」って言われるんだけど、その感覚ってわかるのよ。1stアルバム「白い暴動」(The Clash)と2ndアルバム「動乱(獣を野に放て)」(Give 'Em Enough Rope)っていうのは、例えて言うとSSっぽいの。で、次の「London Calling」からはMASTER LOWのソロ1枚目みたいになって。そんで「Combat Rock」になって、最後「This is England」になっちゃったらちょっとよくないぞ、と(笑)。でも「Stories Noticed」が出たことでまたフレッシュな空気が生まれて。うん、ファンが離れていったThe Clashのやり方と、僕のやってきたことってなんか似てる気がする。

──「Stories Noticed」のようなアルバムが、The Clashの最後にあったら最高だろうなと思います。SSのファンで、途中からLOW IQ 01ソロから離れていった人たちも、これ聴けばたまらないと思うし。

TOSHI-LOW そうだよね。ホントに。

LOW IQ 01 1stアルバムから今までを全部足したような感じのね。The Clashはメンバーが変わっちゃったし、もう再生不能だった。でも僕は1人でやってるし、自分のやってきたことは全部自分で再解釈が可能なの。軌道修正も自分でできる。それはソロのよさでもあると思う。いろんな経験ができたから、こういうアルバムになったのかなって。

TOSHI-LOW うん、「AIR JAM」世代だけじゃなくて、もっといろんなところに届いてほしいよね。意固地になって殻に閉じこもってるとみんな離れてくけど、今は細美武士とかTokyo Tanakaとかが自然に集まってきて。イッちゃんが開かれたことによって、当たり前だけど人って寄ってくるのよ。

LOW IQ 01 今すごい楽しいもん。もう言ってもしょうがないけど、SSの頃って楽しい思い出がなかったの。もうつらい思い出しかなくて。「バンドってキツいな、疲れるな」って思ってた。でも今、バンドって楽しいなってつくづく思ってる。だから今、“Don't Forget Our Youth”です。

TOSHI-LOW おお!

LOW IQ 01 青春忘れんなよって。それはSSのメンバーに教えてもらいました!

LOW IQ 01「Stories Noticed」
2017年5月24日発売 / MASTER OF MUSIC RECORDS
LOW IQ 01「Stories Noticed」

[CD]
3024円 / MOM2

Amazon.co.jp

収録曲
  1. Delusions of Grandeur feat. 細美武士(the HIATUS / MONOEYES)
  2. Inconstant
  3. MI-O-TO-SHI feat. 細美武士(the HIATUS / MONOEYES)
  4. Hold Your Head Up
  5. 1958
  6. The Data feat. Tokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION)
  7. 青い鳥
  8. Big Blue Sky feat. TOSHI-LOW(BRAHMAN / OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)
  9. Snowman from THE BOP / MIGHTY BEAT MAKERS
  10. Luster feat. Tokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION)
  11. tokeru
  12. 39-46497
  13. Bajamar
  14. T.B.C.

ライブ情報

LOW IQ 01 LIVE TOUR 2017 "Stories Noticed Tour"
  • 2017年7月11日(火)東京都 赤坂BLITZ
  • 2017年7月12日(水)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2017年7月13日(木)大阪府 Music Club JANUS

<出演者>
LOW IQ 01 & MASTER LOW(LOW IQ 01[Vo]、TDC[Dr]、TGMX[G, Cho, Tp]、KENZI[G, Cho]、MURATA SHIGE[B]、CHABE[Per]、NARI[Sax, Cho])

LOW IQ 01 LIVE TOUR 2017 "Other Stories Noticed"
  • 2017年7月21日(金)福岡県 Queblick
  • 2017年7月22日(土)岡山県 CRAZY MAMA 2nd Room
  • 2017年7月23日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
  • 2017年8月24日(木)福島県 LIVE STAGE PEAK ACTION
  • 2017年8月25日(金)宮城県 HooK SENDAI

<出演者>
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS(LOW IQ 01[Vo, B]、DAZE[Dr]、フルカワユタカ[G, Cho])

LOW IQ 01(ロウアイキューイチ)
LOW IQ 01
10代の頃から数々のバンドでベース、ボーカルなどを担当。アポロスのSax奏者、會田茂一(EL-MALO、FOE、ATHENS)とのアクロバットパンチを経て、1994年にパンクロックバンドSUPER STUPIDを結成する。1996年にアルバム「WHAT A HELL'S GOING ON」でメジャーデビューを果たし、精力的な活動を展開した。1999年にSUPER STUPIDが活動休止すると同時に、ソロ活動を開始。2007年1月発売のミニアルバム「THAT'S THE WAY IT IS」で、ソロ名義でもメジャーデビューした。2009年にはソロ活動10周年を記念し、彼の名曲をさまざまな世代のアーティストがカバーしたトリビュートアルバム「HELLO ! LOW IQ 01」が発売。さらに2010年には自身の愛する名曲カバーをコンパイルしたアルバム「MASTERPIECE MUSIC MAKES LOW IQ 01」もリリースされた。2014年にソロ活動15周年を記念し、アルバム「Yes,LOW IQ 01」を発表。2016年には自主レーベル「MASTER OF MUSIC」を立ち上げ、LOW IQ 01、渡邊忍(G, Cho / ASPARAGUS)、福田"TDC"忠章(Dr / FRONTIER BACKYARD、SCAFULL KING)、日向秀和(B / ストレイテナー、Nothing's Carved In Stone)からなるLOW IQ 01 & MIGHTY BEAT MAKERSとしてミニアルバム「THE BOP」を、2017年にはLOW IQ 01名義のニューアルバム「Stories Noticed」をリリースした。ライブではサポートメンバーを従えたバンドスタイルのLOW IQ 01 & MASTER LOW、DAZE(Dr / COUNTRY YARD、fam、THE FIREWOOD PROJECT、The Yasuno N°5 Group)とフルカワユタカ(G, Cho)を迎えたLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSなど、さまざまな形態でのパフォーマンスを行っている。
BRAHMAN(ブラフマン)
BRAHMAN
1995年に東京で結成された4人組ロック / パンクバンド。ハードコアと民族音楽をベースにしたサウンドを特徴とする。1996年に初めての作品として「grope our way」をリリース。1998年に発表した1stアルバム「A MAN OF THE WORLD」はトータル60万枚以上のセールスを誇り、90年代後半に1つの社会現象になったパンクムーブメントにて絶大なる人気を集める。2011年3月11日の東日本大震災以降よりライブ中にMCを行うようになり、震災の復興支援を目的とした活動を積極的に展開。2011年9月にシングル「霹靂」、2012年9月にシングル「露命」を発表し、いずれも強いメッセージと圧巻のサウンドがリスナーに受け入れられた。2013年2月に5年ぶりとなるアルバム「超克」をリリース。結成20周年の2015年にはベストアルバム「尽未来際」の発売、千葉・幕張メッセで開催したライブイベント「尽未来祭」を含むライブシリーズ「尽未来際」の開催、初のドキュメンタリー映画「ブラフマン」公開などの活動を展開。今年4月にシングル「不倶戴天 -フグタイテン-」を発売した。