「暗い」と不平を言うよりも、進んで明かりをつけましょう
安井 昨日のライブで発表されて知ったんですけど、氣志團さんは来年の1月からもう次のツアーをやるんですね……!
綾小路 スケジュール感がおかしいんだよね。
安井 「YES! FES!」の頃は、ちょうど次のツアーに向けての準備が忙しい時期ですよね……本当にすみません。
綾小路 いやいや、むしろこの時期なんて寂しいもんですよ。誰のクリスマス会にも呼ばれませんから。こんな素敵な予定が入って俺はうれしい。ありがてえ話です。そもそも僕らは対バンライブが好きなんです。友達が欲しいんですよ。
安井 「僕らも一緒です」と言うのはおこがましいんですけど、僕らも本当にずっと横のつながりだったり、仲間が欲しくて。でも、7ORDERとして活動し始めてからすぐにコロナ禍になってしまったんです。あと、僕らのバックボーン的にもイベントに呼んでいただく機会があんまりなくて。いろいろアピールしても呼ばれないな、みたいな。どうしようと思ったときに、それなら自分たちでそういう場所を作っちゃえばいいんだと思って。
綾小路 まったく同じ!
安井 そう考えたときに、アーティスト発のイベントとして最初に頭に浮かんだのが「氣志團万博」だったんです。たくさん学ぶことがあるだろうなと思って、それで今回お声がけさせていただいたところもあります。
綾小路 ありがたいです。「自分たちでそういう場所を作っちゃえばいい」というのは本当に同じ志ですね。「暗い」と不平を言うよりも、進んで明かりを点けましょうという。ちょっといじけてるところもあるんですけどね。夏になると毎週末、僕らの同期ぐらいのバンドたちが各地のフェスとかイケてる音楽特番で、いろんな世代の人気者たちと楽しそうに写真を撮ったりしていて。そういう写真がタイムラインに流れてくるんですよ。俺たちも仲間のつもりでいたけど、そういえばこういうフェスや特番に呼ばれることはあんまりないな、みたいな。だから、大きなフェスの日は心を閉じて、携帯を閉じて……。
安井 そんなそんな(笑)。
この間までセコンドやってくれてた人たちが、今度は対戦相手
安井 僕らは今までずっとワンマンライブばかりやってきて、今年ようやく少しずつフェスにも参加できるようになったところなんです。そこで翔やんに聞きたかったんですけど、対バンライブやフェスならではの楽しみ方や、大事にしたほうがいいことはありますか?
綾小路 単純にいいパフォーマンスをすることですよね。うちのメンバーも普段はそこまで人と話すのが得意なタイプではないんだけど、音楽が好きだから、競演してライブを観て「この人たちすごい!」と思うと、がんばって話しかけたりしてる。近年で印象に残ってるのは、くるりとの対バンライブ(2022年4月開催の「THE TAIMAN ~極東ロックンロール・ハイスクール 第参章~」)。岸田(繁)くんと僕は同学年で、誕生日も1日違い。向こうは“キシダ”、こっちは“キシダン”でほとんど同一人物なんですよ。
安井 (笑)。
綾小路 なのに今まで絡む機会がなかった。でも、あの日のくるりの演奏にちょっとド肝を抜かれましたね。あまりにもすごかった。うちのメンバーたちも大騒ぎ。本番前だったけど、「モニタで観るのはもったいない。外で観てくる」って楽屋から出て行って、「うわー、食らった!」って言ってた。向こうは褌一丁と言ってもいいくらいシンプルなスタイルで、片や俺らは鎖帷子を着てるような完全武装スタイル。真逆ですよ。でも、あの日はお互いにすごく分かち合えた気がするんです。コロナ禍の影響でまだ打ち上げをするのはちょっとはばかられる時期だったから、Zeppの袖で軽くみんなで缶ビールを持ち寄って飲んだんだけど、あの感じはひさしぶりだった。本当に殴り合いをしたな、みたいな。これが対バンの面白いところだと思います。先月、湘南乃風の対バンツアーに参加させてもらったときもそんな感覚でした。湘南とはずっと一緒にフェスやってるんだけど、対バンライブは初めてだったんだよね。
安井 意外です!
綾小路 2006年に湘南とDJ OZMAで一緒に「東京ガールズコレクション」に出るというおかしなことはあったんですけど。
安井 あはははは。
綾小路 俺たちがギャルにモテたという、嘘みたいな時代があったんですよ(笑)。まあ、やっぱり対バンって真剣勝負ですよね。握手しながらも、腹の中では中指を立てていいと思うし。でも、お互いがいいパフォーマンスをして、それを認め合ったときって、それまでの付き合いの年数なんかどうでもいいというか、10年一緒にいたやつより仲よくなることがある。一瞬で分かち合えるんだよね。だから相手が強ければ強いほど、やっぱり燃える。ボコられて立ち上がれないぐらい落ち込んだこともあるけど、だからこそ今があるなとも思う。「YES! FES!」でも、こんな若い世代の皆さんたちのエネルギーに、昭和からタイムトラベルしてきたような僕らがどうやって立ち向かおうかなという思いはあるんですけど、キラキラ度では負けないようにがんばっていきたいです。
安井 氣志團の皆さんはスーパーマルチプレイヤーですから。踊るし、バンドもやるし、お芝居もできる。でも、僕らは「氣志團万博」で後ろから観てるので、相手の手の内を知ってるとも言える(笑)。
綾小路 そうそう。手の内は全部知られてるから。だって、この間までセコンドやってくれてた人たちが、今度は対戦相手ですよ。
安井 リハーサルも参加させていただいたので、リハーサルの進め方まで把握してます(笑)。ただ、ぶつかり合うのもいいけど、このイベントでしか観れないコラボはすごくやりたいな。「氣志團万博」でも、そこでしか味わえない空気感とか、そういうのがすごく大事なんだなと改めて思ったので。2日間参加させてもらって、いろんなアーティストのライブを観たんですけど、やっぱり生で観ると好きになっちゃいますね。僕は「氣志團万博」のプレイリストを作って聴いていて、「YES! FES!」の氣志團さんのセトリも楽しみにしてるんですよ。僕、「夢見る頃を過ぎても」がめちゃくちゃ好きで。昨日のワンマンでも待ってたんですけど……。
綾小路 やらなかったよね。ファンの人も知らないような、カップリングの2曲目とかアルバムの6曲目みたいな曲ばっかりやってるから。最近は求められてるものをやるのも大事かなと思い始めてます(笑)。
安井 でも、昨日「俺達には土曜日しかない」は聴けたので。今度、真田の誕生日会で「俺達には土曜日しかない」を使わせてもらおうと思ってるんです。「イエーイ、サナデーナイトー♪」って。
綾小路 サナデーナイト! それ、キャッチーでいいね。番組も作れそうだし、イベントもやれそう。
安井 メンバーの中でも真田だけが使えるっていうね。うらやましい(笑)。
公演情報
YES! FES! by 7ORDER×ナタリー
- 2024年12月23日(月)東京都 東京ガーデンシアター
OPEN 17:30 / START 18:30 / END 21:00(予定)
<出演者>
7ORDER / 氣志團 / WATWING
プロフィール
7ORDER(セブンオーダー)
2019年5月に始動したグループ。2019年8月よりプロジェクトの第1弾となる舞台「7ORDER」を上演。2020年3月に1stシングル「Sabãoflower」、5月に2ndシングル「GIRL」を主宰レーベル7ORDER RECORDSより発表した。2021年1月に1stアルバム「ONE」を日本コロムビアからリリースし、メジャーデビュー。東京・日本武道館と大阪・オリックス劇場で全8公演の1stツアー「7ORDER LIVE TOUR 2021 "WE ARE ONE"」を行った。その後も個々が舞台や映画などで活躍しながら、グループとしては積極的に音楽活動を展開。2023年3月に3rdアルバム「DUAL」をリリースし、4月からライブツアー「LIVE TOUR 2023 DUAL」を開催した。結成5周年の2024年より“第2章”を打ち出し、リーダーの安井謙太郎がCEOを務める会社L&L'sに所属する形となり、自主レーベル7ORDER RECORDSからに配信シングル「But (裏)」「But (表)」をリリース。2025年1月にミニアルバム「EGG」を発表し、日本武道館公演を含むライブツアー「7ORDER LIVE TOUR 2025 EGG ~笑顔で頑張る5人~」を行う。
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WATWING(ワトウィン)
6人組ダンス&ボーカルグループ。2019年に行われたホリプロ主催のオーディション「Star Boys Audition」で結成された。スラングで「何?」という意味の「WAT」と、「翼」を意味する「WING」を掛け合わせて付けられたグループ名には「誰に何を言われようと、自分達の想いを貫いて羽ばたいて行きたい」という思いが込められている。2021年9月にメジャーデビューEP「Take off,」をトイズファクトリーからリリース。2022年放送のTBS系連続ドラマ「君の花になる」に八村倫太郎が出演し、グループの名がさらに世に広まった。2024年2月に初の東京・日本武道館公演「WATWING Let's get on the beat Tour Special Edition in 武道館」を開催。8月にEP「lIve」をリリースした。11月に千葉・幕張メッセイベントホールでワンマンライブ2DAYS「WATWING LIVE TOUR 2024 - Get Em Back - at 幕張メッセ」を行い、新レーベル+WHAXへ移籍することを発表。今冬に移籍第1弾となる配信シングル、来春にはEPをリリースする。
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氣志團(キシダン)
1997年に千葉県木更津で結成。“ヤンクロック”をキーワードに、学ランにリーゼントというスタイルでのパフォーマンスが話題を集め、2001年12月にVHSビデオで“メイジャーデビュー”を果たす。「One Night Carnival」「スウィンギン・ニッポン」などヒット曲を連発し、2004年には東京・東京ドームでのワンマンライブも開催。2012年からは地元千葉県にて大規模な野外イベント「氣志團万博」を主催し、ほかのフェスとは一線を画すラインナップで多くの音楽ファンの支持を集めている。2023年1月にニューアルバム「THE YⒶNK ROCK HERØES」をリリースし、13年ぶりの東京・日本武道館単独公演を行った。2024年8月よりホールツアー「推しの子分 ~転生したら氣志團だった件~」を実施。11月9、10日に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールで「氣志團万博2024 ~シン・キシダンバンパク~」を開催した。2025年1月から4月にかけてライブハウスツアー「氣・志・解・声」を行う。
氣志團 MIDNIGHT SPECIAL THE KNIGHTS KISHIDAN FROM ROUTE 127 OF FAIRIES.
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