音楽ナタリー PowerPush - 倉木麻衣×小松未可子
ボーカリストとファンにして ボーカリスト2人の“一期一会”
倉木麻衣、小松未可子を取材する
倉木 学生の頃の未可子ちゃんはその夢を実現するためのアクション、こういう世界に入るためのアクションってどういう感じでやっていたんですか?
小松 実は自分からアクションを起こしたわけではなく、当時の私は「こういう世界に入るためにはオーディションを受けなきゃいけないんだ」っていうことすらわかっていなくて(笑)。そこに母親が手を差し伸べてくれたんです。
倉木 へえっ! お母さんは娘さんの芸能活動OKだったんですね。バックアップしてくれていた?
小松 「こういうのがあるみたいだよ」って、いろんなオーディションのことを教えてくれたのは母親でした。あと倉木さんの所属している事務所の連絡先を調べてきてくれたりとか(笑)。ただ、母のおかげもあってユニットの一員として活動させてもらったり、ドラマやアニメでお芝居をやらせていただいたりするようになったんですけど、音楽の世界にはなかなかたどり着けなくて……。もちろん役者の仕事はすごく大切に思っているし、すごく充実しているんですけど、一昨年にソロデビューするまでは心のどこかでずっと「音楽もやってみたい」っていう気持ちがくすぶっていました。それはなぜかというと、やっぱり倉木さんみたいになりたいっていう思いがあったからなんです。
倉木 じゃあ歌手としてデビューするまでは役者さんをしながら、作詞や作曲の先生についたり、スクールに通ったりしながら音楽のレッスンを? それとも独学で?
小松 独学ですね。
倉木 それも少し意外というか。未可子ちゃんの書く詞って、本当に詩的で美しい上に、未可子ちゃんならではの世界観みたいなものがはっきりと表現されてるから「誰かのレッスンをちゃんと受けてるのかな」って思ってたんです。
小松 いやいやいや! もし師匠がいるんだとしたらそれは倉木さんです(笑)。
倉木 ホントに?(笑)
小松 ホントです! ホントです!
倉木麻衣、まだまだ小松未可子を取材する
倉木 私もデビューする前には作詞なんてしたことなかったからそうだったんだけど、独学だと最初はすごく大変じゃなかったですか?
小松 大変でした! まず「何を書けばいいんだろう?」っていうところから始まって、いざ書き始めてみたら今度は言葉の響きで悩んでしまって。歌詞って自分の思いや頭に浮かんだ風景をただ言葉にすればいいと思っていて。でも初めて作詞した曲をレコーディングするときに作曲家さんから「この音を伸ばすとキレイに聞こえるよ」って教えていただいて「あっ、音に乗せたときの言葉の響き方も考える必要があるんだ」って気付いて、また悩んだりもしました。
倉木 私も詞を書き始めた頃、音の響きには悩んだけど「何を書けばいいんだろう?」っていう悩みはなかったかなあ。
小松 その悩みっていうのは作詞するときだけじゃなくて、アーティストデビューして間もない頃にもあって。それまで声優としてキャラクターソングを歌ったことはあったんですけど、キャラクターソングは自分じゃない誰かを演じて歌うものなので。改めて「小松未可子として歌いましょう」ってなったとき「小松未可子ってどういう人だっけ?」って悩んでしまったんです。
倉木 なるほど。私は未可子ちゃんの逆かもしれない。自分のことを表現したくて音楽を始めたから「もっと違う誰かの気持ちを歌いたい」「もっと違う自分を発見したい」って葛藤したり、行き詰まったりしがちなんですよ。で、話が戻っちゃうんだけど、未可子ちゃんはスクールに通ってたんじゃないか?って思ったのにはもう1つ理由があって。
小松 「もう1つ」ですか?
倉木 うん。アルバム(「e'tuis」)の中の未可子ちゃんが作曲した曲(「エメラルドの丘を越えて」)を聴いたとき、特にコーラスワークが印象的だったから誰かに教わったのかな?って思って。私もデビュー当時からずっとコーラスワークを大事にしてきたからかもしれないんだけど「このコーラスワークってどうやって思い付いたんだろう?」ってすごく気になったんです。
小松 実はあのコーラスワークは苦肉の策というか……(笑)。本格的に作曲したのはあの曲が初めてだったんですけど、初めてということもあって自分の書いたメロディにハマる楽器の音色を重ねていくことがなかなかうまくできなくて。それで「私が気持ちがいいと思う声を重ねて録っておけば、一緒に編曲するアレンジャーさんやエンジニアさんに曲のニュアンスが伝えることができるかな?」と思って、まずはコーラスワークを考えてみることにしたんです。
倉木 じゃあ最初のデモテープってメロディとコーラスだけが入っているゴスペルみたいな状態だったの?
小松 そうですね(笑)。あとはギターでコードを入れておいたくらいです。で、そのメロディとコーラスを軸にアレンジャーさんと曲を構築していった感じなんです。
倉木 あと、アルバムの中ではいろんなジャンルの曲を歌っているけど「このジャンルが一番好き」とか「今、一番歌いたいのはこういう曲」みたいなものってあったりする?
小松 なんでも楽しく歌えていますね(笑)。ある意味こだわりがないというか、逆に楽曲ごとに歌い方を変えたいと思っています。キーが低めのシリアスな曲ならビブラートを効かせてカッコつけてみようとか、ライブのときにみんなでハンドクラップできるような明るい曲ならビブラートはかけずに声のピッチも高めに明るくかわいらしく歌ってみようとか。楽曲のテイストやジャンルに合わせていろいろ考えるのがすごく好きなんです。
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- 倉木麻衣 ベストアルバム「Mai Kuraki BEST 151A -LOVE & HOPE-」 / 2014年11月12日発売 / ノーザンミュージック
- 初回限定盤A [2CD+DVD] 4200円 / VNCM-9024~5
- 初回限定盤B [2CD+DVD] 4200円 / VNCM-9026~7
- 通常盤 [2CD] 3200円 / VNCM-9028~9
DISC1「LOVE」収録曲
- Stay by my side
- Secret of my heart
- 冷たい海
- Time after time ~花舞う街で~
- 明日へ架ける橋
- 会いたくて...
- 白い雪
- Tomorrow is the last Time
- もう一度
- あなたがいるから
- Your Best Friend
- 恋に恋して
- 儚さ
- さくら さくら...
- STAND BY YOU
DISC2「HOPE」収録曲
- Love, Day After Tomorrow
- Delicious Way
- Reach for the sky
- Stand Up
- always
- Feel fine!
- Revive
- わたしの、しらない、わたし。
- Strong Heart
- Special morning day to you
- TRY AGAIN
- Wake me up
- You can
- 無敵なハート
- DYNAMITE
初回限定盤A DVD「LOVE -visual collection-」収録内容
- Stay by my side(Music Clip)
- Secret of my heart(Music Clip)
- 冷たい海(Music Clip)
- Time after time ~花舞う街で~(theater version)(京都学生祭典 平安神宮特設ステージ)
- 明日へ架ける橋(Music Clip)
- 会いたくて...(Mai Kuraki LIVE TOUR 2006 DIAMOND WAVE)
- 白い雪(Music Clip)
- Tomorrow is the last Time(HAPPY HAPPY HALLOWEEN LIVE 2010)
- もう一度(Music Clip)
- あなたがいるから(Mai Kuraki Symphonic Live -Opus 2-)
- Your Best Friend(Music Clip)
- 恋に恋して(Music Clip)
- 儚さ(Music Clip)
- さくら さくら...(MAI KURAKI LIVE PROJECT 2013 “ RE: ”)
- STAND BY YOU(Music Clip)
初回限定盤B DVD「HOPE -visual collection-」収録内容
- Love, Day After Tomorrow(Music Clip)
- Delicious Way(Natural Breeze 2001 happy live)
- Reach for the sky(Music Clip)
- Stand Up(Music Clip)
- always(Music Clip)
- Feel fine!(Music Clip)
- Revive(Music Clip)
- わたしの、しらない、わたし。(Music Clip)
- Strong Heart(Mai Kuraki Live Tour 2012 ~OVER THE RAINBOW)
- Special morning day to you(Mai Kuraki Symphonic Live -Opus 1-)
- TRY AGAIN(Music Clip)
- Wake me up(Music Clip)
- You can(15th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2014 BEST “一期一会” ~無敵なハート~)
- 無敵なハート(Music Clip)
- Love, Day After Tomorrow feat.15directors(Music Clip)
- 小松未可子 ニューシングル「Latimer road」 / 2014年11月5日発売 / スターチャイルド
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / KICM-91548
- 通常盤 [CD] 1296円 / KICM-1549
倉木麻衣(クラキマイ)
1982年生まれの女性シンガー。マイケル・ジャクソンやホイットニー・ヒューストンから影響を受け、音楽活動を開始。高校生の頃に現在のレコード会社のスタッフと出会い、デビューに向けて始動する。まず1999 年10月に、Mai-K名義でシングル「Baby I Like」にて全米デビュー。続いて同年12月に倉木麻衣としてシングル「Love, Day After Tomorrow」にて日本デビューを果たす。同曲はいきなりミリオンヒットを記録し、1stアルバム「delicious way」は400万枚を超える大ヒットに。透明感あふれる繊細な歌声、ポップかつキャッチーな楽曲で幅広い層からの支持を受け、これまで発表してきたシングル40作はすべてオリコンランキングにてトップ10にランクイン。また近年は音楽活動と並行して、被災地支援をはじめとする社会活動も積極的に行っている。そして2014年11月、デビュー15周年記念ベストアルバム「Mai Kuraki BEST 151A -LOVE & HOPE-」をリリースする。
小松未可子(コマツミカコ)
1988年11月11日、三重県生まれの声優、歌手。2010年にアニメ「HEROMAN」の主人公ジョセフ・カーター・ジョーンズ役で声優としてのキャリアをスタート。2012年1月より放送のアニメ「モーレツ宇宙海賊」では主人公・加藤茉莉香の声を務め、4月には同アニメのイメージソング「Black Holy」で個人名義による歌手デビューを果たす。7月にはミニアルバム「cosmic EXPO」、11月7日に2ndシングル「冷たい部屋、一人 / 夏至の果実」を、2013年2月13日には1stフルアルバム「THEE Futures」をリリース。同7月には3rdシングル「終わらないメロディーを歌いだしました。」を、12月には4thシングル「虹の約束」を発表する。またその一方で2012年、2013年には埼玉・さいたまスーパーアリーナでの「Animelo Summer Live」に、2014年1月には東京・日本武道館での「リスアニ! LIVE 4 SUNDAY STAGE」に出演するなど、大規模フェスにも数多く招聘される。そして同年11月、ナカムラヒロシ(i-dep)とサイトウ“JxJx”ジュン(YOUR SONG IS GOOD)を制作陣に迎えたシングル「Latimer road」をリリースした。