ナタリー PowerPush - JAPAN-狂撃-SPECIAL
パンキーロックは死ぬまで有効!ウワサの仏恥義理バンドが衝撃デビュー
呪いのハードコアパンク
——音楽性やファッションのコンセプトは結成時から決めていたんですか?
よーかい 特に何も決めてないです。なんとなく今みたいになりそうな雰囲気はあったけど、こういうスタイルで行こうみたいな話し合いをしたわけじゃないですし。
過激 その前にやってたバンドで囚われとった部分を振り払って、新しいバンドではメチャクチャやってやろう、みたいなことだけは決めてた。
よーかい そのときのオレら、パンクとかハードコアに呪われとったからな。THE EXPLOITED、DISCHARGE、LIP CREAMとか、あらゆるハードコアをオタクみたいに研究しまくって。昔はそういう音楽が好きすぎて、ほかのものが見えなくなるくらい夢中になってた。でも狂撃はパンクだけじゃなく、その延長線上でもっと独自の音楽がやりたくて始めたんです。「オレらがホンマに好きなことを全部バンドで表現しようや!」って。
——狂撃はただハードコアなだけじゃないですからね。日本のトラディショナルなセンスというか、昭和の歌謡曲っぽいところもあったりして。
JUNZØ そうっすね。そういうのもめっちゃ好きだから。最初、小さい頃にテレビで見た記憶の中の音楽を、オレらが実際やったらどうなるかなって。むちゃくちゃシブいんちゃうかなって。それで実験的に「パンキー パンキー パンキー」って曲を作ってみて。
よーかい 完成したその曲がむっちゃシブくってなあ。輝きまくっとってん。4人ともつい興奮しすぎて筋肉ムキムキんなって、着てた服が全部ビリビリーて破けて(笑)。
ラン坊 「北斗の拳」か(笑)。
JUNZØ ポップにしようとか聴きやすくしようとか意識したことはないですね。音楽もファッションも、ただホンマにカッコいいと思うことを全部やったらこうなった。それだけ。
——さっき名前が出た横浜銀蝿もそうですけど、これまでヤンキーファッションのバンドってロックンロール・バンドがほとんどだったと思うんです。狂撃をみているとぜんぜん違和感がないんですが、実はヤンキーがハードコアパンクをやるってかなり特殊なパターンなんじゃないかなって。
過激 似たようなバンドがおったらオレらはやってないよな。おらんからこそオレらがやってる。
よーかい やっぱり周りに差を付けたかったですね。オレらが子供の頃、パンクって他の何にも似ていなくてカッコ良いなと思ってたんだけど、自分がパンクのシーンに入ってみたら同じようなやつらばっか集まっとってん。ほんなら、こいつらと差ぁつけな、こいつらの中で一番シブくならなあかんと思って。日本で一番なら世界に行けるやろ?
——狂撃を観たら外国の人はすごく喜ぶような気がしますよね。
JUNZØ いや、外国行ったらたぶんすごいで。
よーかい SEX PISTOLSみたいになりたいなあと思ってます。あれはイギリスから発信されて世界に広まったけど、今度は日本から発信して世界中のやつらビックリさせたろって。世界中でこの髪形を流行らせるのがオレらの計画ですわ。
——外人がこのファッションを真似して狂撃みたいな音楽をやってたら、相当おもしろいですねえ(笑)。
よーかい 下手な日本語で「ナメンナヨ!」とか言って(笑)。
過激 それ見てオレら「あほやー!」言うて指差してな(笑)。
ラン坊 せやけど金髪でこんなんやってたらどんなんやろな。カッコええんかな?
JUNZØ サイモン&ガーファンクルとかそんなんちゃうかったっけ?
——違うと思います(笑)。
素直になったらみんな狂撃みたいな人になると思いますよ
——今はまだ若い人たちに昭和のヤンキー文化が好きな人って少ないと思うんですが、狂撃の活動を通して、今後そのカッコ良さに気付く人が増えていくんじゃないでしょうか。
よーかい ヤンキー文化がどうこういう話じゃなくて、オレらJAPAN-狂撃-SPECIALのシブさに気付くでしょうね。
過激 まずハッキリ言うときたいねんけど、オレら別にヤンキーでも何でもないです。自分がカッコいいと思ってやってることが他人の勝手なイメージで「ヤンキー」って語られてるだけ。昔の不良文化は好きやけど、あんま関係ないね。
よーかい 別に古くてカッコええもんを紹介したいわけちゃうからね。そら好きやけど、古いもんに興味持ってもらおうとは思わへん。
——ヤンキーのルーツを掘り下げるんじゃなくて、狂撃そのものに夢中になってくれればという。
JUNZØ そうですね。
過激 今までなかった新しいものを作ろうと思ってやってるから。
——昔の流行をリバイバルしようという意識ではないと。
過激 あー、ちゃいますちゃいます。
JUNZØ 今までの人生で好きになったものすべてを出したらこうなっただけで。
よーかい オレらは言うたら現代の若者やねんけど、現代にはカッコええと思うものがほとんどなかった。でも自分らが生まれた時代やそれ以前の日本を知ったときに、実際は古いもんなのかもしれへんけど、オレらにとってはむっちゃ新しくてカッコええもんに思えて。だからこういう文化に夢中になったんです。とはいえ結局それはすでに昔あったもんやし、真似してるだけじゃあかんとオレは思ってて。昔を掘り下げて見つけたものは現代に持ち帰って、それを新しく作り直してます。
——でもやっぱり、同世代の流行と全然違うものを「これカッコいいでしょ!」って言って薦めても、なかなか周りには理解されにくいですよね。
よーかい うーん、そやね。なんでわからへんのやろなあ。カッコええのはカッコええのになあ。
JUNZØ 古いっていうだけでちゃんと見いひんやつもおるしな。でも、カッコええもんは古かろうが新しかろうがカッコええやろ。もちろん何をカッコええと感じるかは人それぞれ違うけど、自分がホンマにカッコええと思ったら他人がどう思ってようが関係ないやろ。
——同じものをカッコいいって思える4人が集まったのはすごいことですよね。日本にそんなに何人もいないと思いますけどね。
過激 たぶん素直になったらみんなこうなると思いますよ。
JUNZØ 実はいっぱいおるはず。ぜんぜん別のジャンルに見える人らの中にも、オレらと似たような気持ちを持ってる人が。
——たとえば昔のレコードを聴かせてピンとこないっていう人も、狂撃を聴いてその良さに気が付いたりするかもしれませんね。
過激 これからはそういう人が増えていくはずだと思います。オレらがやってることは「誰よりも先を歩いて、みんながメチャクチャできる道を作ったろ」ってことなんですよ。
よーかい みんなと一緒の土俵やったらそいつらと勝負して、そいつらの中で一番にならなあかんでしょ。でもオレらのまわりには誰もいないから、最初から一番やしずっと不戦勝(笑)。トーナメントの決勝で対戦相手が現れるのを待っときますわ。
——普通だったら、対戦相手が誰もいない自分だけの場所を探すのが難しいんだと思うんですけど。
よーかい そう考えたらホンマすごいな! なんか嬉しなってきた!
ラン坊 ラッキーなだけ(笑)。
よーかい シブいと思うことをしとっただけやのに、超ラッキーや!
過激 でもボクら誰かと争ったり競い合いたいわけじゃないからね。オレらはオレらでおりたいだけで、そしてオレらはそれが一番シブいと思ってるだけ。他の人は他の人で別の、自分が思う一番シブいことを追求してったらええやろうし。
ラン坊 だから最強の対戦相手は自分ですわ。
JUNZØ 「明日は今日よりシブいか」っていう自分との戦い。だから、もしかしたら次のCDを出すときに今とはまったく違う格好とか曲になってるかもしれへんけど、それはそのときに一番シブいことをした結果です。
プロフィール
JAPAN-狂撃-SPECIAL
(じゃぱんくるうすぺしゃる)
キワメミチJUNZØ:ヴォーカリスト 元ゴミ屋
なめんなよーかい:ベーシスト(?) 特攻隊長
ラン坊:ギタリスト 元ペンキ屋
昭和過激:ドラマー 無職屋
昭和?年に関西各地の府営スラム団地で産声をあげた4人。紆余曲折など、うんぬんかんぬんなど(長くなるので割愛)、その他もろもろあり(コレもカット)、遂に出会ったしまった4人。コブシを交わして築いた(気付いた)結束は固く、「なめんなよの精神」のもとに日本最強の暴走音楽結社を結成することを決意する。その名をJAPAN-狂撃(くるう)-SPECIALと名付けた。(正式名称は長いので割愛)
昭和78年、1st DEMO「THE PUNX(4曲入)」を自主レーベル「爆裂レコード」よりリリース。翌年、この世で最もイカしたファッション「ジャパトラ」、そしてこの世で最もイカしたヘアースタイル「ジャパトラ・パーマネント」を生み出す。マスコットキャラクター「なめぞう君」も誕生。
昭和82年-1st アルバム「I LOVE PUNKY NIGHT...(10曲入)」リリース。同年突如、キューンレコードの新人コンベンション ライブに彗星のごとく登場!そのイカしたパフォーマンスで話題をさらう。その後、パーマ代の支払いが原因でキューンレコードとの契約が難航中であったが、パーマ問題も無事解決して!?、晴れて08年11月26日 キューンレコードよりシングル「カミカゼロード」にてメジャーデビューが決定!!