アイドルの子たちを勝手に心配してたんです

──「チャーミング勝負世代」ってなかなかインパクトの強いタイトルですよね。

吉川　すごいですよね？ 私、今までのアカシックさんの楽曲もタイトルがすごく好きなんですよ。インパクトしかないですもん。びっくりするくらい。

理姫　えへへ。そうですかね。

──インパクトは強いけどキャッチーなんですよね。この歌詞の内容からどうしてこのタイトルがひらめいたんでしょうか。

理姫　今は「ミスiD」とか、アイドルになれるチャンスって昔に比べるといっぱいあるじゃないですか。チャンスの幅は広がったけど、濃いところから薄いところまでグラデーション化していて。その分、美しさやかわいさだけではない何かで勝負しなきゃいけない場面がいっぱいあって大変なのかなとか、アイドルの子たちを勝手に心配してたんです（笑）。この歌詞を書くにあたって、美しさやかわいさは前提としてあって、ダメな部分もいい部分もひっくるめた“愛嬌”をテーマに歌ってもらいたいと思ったので、このタイトルにしました。

──なるほど。確かに今はアイドルも多様化していますし、最近はグループアイドルが多い中で、ソロアイドルならではの“勝負”というのもあるのかなと思いますが。

吉川　ありますねー。インパクトを残すためにいろんな格好をしていろんな歌を歌ってきたので。17分25秒の曲を歌ったりとか（参照：吉川友、17分25秒に及ぶ新曲「花」作詞に大森靖子ら）。戦ってますね。

フィットしてます！

──理姫さんと奥脇さんは、自分が作った曲を歌う「ボーカリスト吉川友」についてどういう印象を持ちましたか？

奥脇　たまげましたね。1人のシンガーとしてすごいなと。アイドルは歌がヘタなのも売りや個性になると思うので、必ずしも歌がうまくなきゃいけないとは思わないんですけど、吉川さんはうまいんですよね。完璧超人だなと。

理姫　シンガーソングライターになってほしいと思いました。そのほうが似合うかもしれない。

吉川　うれしい！

奥脇　デモテープを作ってるとき「これ、アイドルが歌うにはムズくない？」って言ってたんですよ。誰が歌うにしても難しいよなって。

──そうですね。メロディが素直な進行じゃないところが細かくあって。吉川さんは歌っていて難しくなかったですか？

吉川　音的なことは大丈夫なんですけど、リズムが走っちゃうんですよ。Aメロのところ。でもサビなんかは、今までで一番、歌ってて気持ちいいキーなんですよ。だから毎回歌っていて楽しいです。

──ライブで歌っていてもしっくりくる感じですか？

吉川　はい。気持ちいいです。

奥脇　それはよかった。実はあれより少し低くしようともしてたんですよ。でも「いやー、ここは気合いでなんとかなるでしょ」って（笑）。フィット感があったようでよかったです。

吉川　フィットしてます！

大森靖子が手がけた「歯をくいしばれっっ！」

──今作はアカシックが手がけた「チャーミング勝負世代」のみならず、大森靖子さんによる「歯をくいしばれっっ！」との両A面というかなり攻めた内容ですよね。

理姫　「歯をくいしばれっっ！」、すごくいい曲でしたねー。出だしの数秒で引き込まれました。大森さんの色がすごく出ていて。これを歌いこなすのって相当難しいと思うんですよ。

──あの大森さん独特の濃い世界を、ちゃんと自分の中に取り込んで歌っていますよね。

奥脇　そうそうそう。なかなかできないですよ。

吉川　レコーディングは大変でしたよ。泣きそうなくらい。

──大森さん本人のディレクションなんですよね？ どういう指示を受けたのでしょうか。

吉川　Aメロは松浦亜弥さんっぽく歌ってほしいとか、ギャルっぽく「あ・え・て・の」って歌ってほしいとか。それ以外は自由に歌ってほしいと言われましたけど、引き出しにない歌い方だったので、とりあえず大森さんのデモをひたすら聴いて、モノマネから入りました。その中で自分の色が出せればいいなって。