最大のポテンシャルを出し切る、進化の幅
──「reflected」の歌詞以外についてもお話を聞かせてください。メロディやサウンド、彼女の歌声など、最初に聴いた印象っていかがでしたか?
小林 第1音から壮大な景色が広がっていくような感覚で。かつ、今回はそれがよりクリアに感じられました。
白井 第1声から「いい!」って思いましたね。カズミナナらしさがその1音に凝縮されていると言いますか。
小林 日本で活動している、世に出ているミュージシャンの中で、こういう表現ができる人はあまりいないんじゃないかなっていう。それこそ、またさっきの話題と重なりますけど、「これ、洋楽じゃない?」と思うほどで、ちょっとフォークロアチックなジャンルにも入れるだろうし、海外のオルタナインディロックっぽい空気感もありますからね。今みたいに日本語ベースで活動しながら、そのまま世界にいけるんじゃないかなという。僕、いつもナナちゃんに「いつかポートランドでライブやろう!」と言ってるんですけど、「reflected」を聴いたらそれも夢じゃないなと思いました。
町田 現地のコーヒーショップとかで聴いたら、すごくフィットしそうですよね。
小林 もう、俺の頭の中ではその光景がイメージできてますから(笑)。
白井 「reflected」は後半でテンポが速くなったりと、サウンド的な展開もありますけど、だからこそ感じたのが、歌声を変に歌い分けているわけじゃないのに、心情の変化みたいなものを的確に伝えてくるナナちゃんのすごさ。最初は自分の中でうまくいかないことに対して閉じこもってるときの姿が見えたのに、終盤に向けて彼女の歌声がどんどん走り出して、息切れしているように聞こえるんですよ。それをわざと抑揚を付けて歌うことなく表現しているのが、この曲の魅力の1つで。聴いているだけで、曲の主人公と一緒に感情が高まっている感覚を味わえるんです。
小林 それも、カバーをやりまくった成果なんじゃないかな。
白井 過去の経験がそうさせたんですかね。
町田 今日の話題のすべてに通ずると思いますけど、結局ナナちゃんはオタク気質なんですよ。いろいろ研究した結果を、この1曲に詰め込んだという。
小林 今カズミナナが持っている最大のポテンシャルを出しきってる。
白井 そういう意味では、前作からの進化の幅がすごいですよね。
町田 ジャケットは彼女自身がデザインしたそうで。パッと見よくわからないジャケットですけど、曲を聴いてから改めて目にしたら、建物のガラスブロックみたいだなと気付いたんです。外が晴れていることをガラスブロック越しに感じて、「あっち側に行きたい。自由な世界に早く飛び出したい」と思っている。そうイメージしながら聴くと、頭の中が青色で満たされていくような感じになったんです。なので、曲同様にジャケットも解放とか許しを象徴しているものなのかなと解釈して。なので、今の若い子たちはこの曲を聴くことで「私、間違ってないんだ」と背中を押してもらえたり、すべてにおいての“プラス”をこの曲からは感じ取れたりするんじゃないかなと思いました。
──「gleams」から間が空いたこともありましたが、その期間の間に彼女の中でいろんな変化を迎えた結果、頭ひとつ抜けた感じが伝わってくる。今彼女がどんな心境なのか、すごく気になりますね。
白井 確かに。じっくり話を聞いてみたいですね。
町田 「よし、今年はやってやるぞ!」というタイプじゃないけど、内に秘めたものがたくさんあるんでしょうね。
カズミナナビギナーに送る、オススメの1曲は
──今回の座談会がきっかけで、「reflected」に触れる方も多いかと思います。そういう“カズミナナ・ビギナー”に向けて、皆さんのオススメ曲を挙げていただけるとありがたいです。
白井 ZIP-FMでも反響が大きかった「rainbow rain」は、彼女にとって象徴的な1曲ですよね。
小林 確かに。俺は「you, the wind」が好きだな。
白井 ああ、いいですね!
町田 僕は「again,」かなあ。
小林 「only in a dream」も欠かせないですよね。
町田 いいですねえ。
小林 今挙がった曲は少し落ち着きたいときにかけると、番組の空気感を一瞬でクリアにしてくれるんですよ。
白井 ナナちゃんの曲って、ラジオブースにいても雑踏の中にいても、曲が流れた瞬間に自分を内側に深く潜り込ませてくれるスイッチになっているんですよ。ここまで挙がった楽曲たちは最新EPの「gleams」に全部収録されているので、このEPと新曲「reflected」を聴いたらナナちゃんの魅力をわかってもらえるんじゃないかな。
──では、ライブパフォーマンスにおけるカズミナナさんの魅力はいかがでしょう。
小林 何度か話題に上がりましたけど、MCとのギャップですよね(笑)。
白井 それは間違いないですね(笑)。
小林 トークに関しては今後の課題になるんでしょうけど、でもあのたどたどしさがかわいいんだよね。
白井 このままでいてほしいなと思ってしまう自分もいるんですよね。だって、すごく上手にMCをし始めたら、ショックですもん。
町田 確かに(笑)。なんでしょうね、MCのときのあの自信なさげな感じって。
白井 いろんな人の目を気にしすぎて、むしろ人のことをちゃんと見れていない感じがしますし。
小林 ちょっとおどおどしているんだけど、歌い出した瞬間、1音鳴らした瞬間に堂々とした感じがあふれ出てきて、違う誰かがスッと乗り移ったかのようになる。あの瞬間を味わえるのが、彼女のライブにおける最大の見どころかもしれないね。
白井 目の感じも変わりますし。
町田 全然違いますよね。
──そういう表現をするアーティストって、歌に対して絶対に正直なんでしょうね。
小林 そう、歌に対してまったく嘘がないんですよ。歌で全部を表現してしまっているから、そこに自分の全部が詰まってるからこそ、本当はMCが必要ないのかもしれないですよね。
白井 一度、番組でサロンライブをやったときに、MCをしなきゃと思ったからなのか、曲と曲の合間に「蝉が苦手」という話を一生懸命してくれたことがあって。そんな彼女に対して、会場中がきょとんとしていたのが印象的でしたね(笑)。ああいうセンスは変わらないでほしいなあ。
これからのカズミナナへ
──皆さんは今後カズミナナさんにこうなってほしい、こういうことをしてほしいという願望って何かありますか? あるいは、ZIP-FMを通じてこんなことをしてみたい、こういう彼女を届けていきたいなど、それぞれ考えていることがありましたら聞かせてください。
小林 僕はさっき言った通りポートランドに一緒に行って、彼女のルーツが垣間見える場所で演奏してもらったり、最終的に現地の人を集めてライブをしたら、ナナちゃんの殻がもっと破れるんじゃないかなと思うんですよね。で、その姿をドキュメンタリーチックに追いかけたら、面白いんじゃないかと思っています。
白井 せっかくなら、広いところ……野外で聴きたいですよね。せっかく東海エリアを拠点に活躍するアーティストさんなわけですし、地元を大事にしているZIP-FMとしても、ここから日本の音楽シーンのメインストリームへと羽ばたいてくれると、すごくうれしいですね。あとは、ずっと今のまま、自由でいてほしいです。
町田 僕の役目としては、番組を通して化けの皮を剥がしていくことだと思っていて(笑)。だって、カズミナナってすごいじゃないですか。歌もすごいし歌詞もすごいし、でも当たり前に人間なんですよね。「ああ、カズミナナって人間なんだ、僕らと一緒なんだ」って気付けた瞬間に、僕は喜びがあると思っていて。音楽に関しては皆さんにお任せするので(笑)、彼女の人間性にフォーカスするのが、毎週彼女と会っている僕の仕事かなと思うんです。
白井 あと、ナナちゃんに映画やドラマの主題歌をやってほしくないですか?
小林 ああ、映画主題歌はいいね。本人も映画が好きだし、劇伴とかも合うんじゃないかな。こうやって皆さんといろいろ話していると、彼女に対する期待値がどんどん上がっていきますね。
白井 でも、それくらいの才能と可能性を秘めた存在だと思うので、どんどん羽ばたいていってほしいですね。
プロフィール
カズミナナ
名古屋市在住のシンガーソングライター。 小学生のときに作詞作曲を始め、アメリカ・ポートランドの高校を卒業後にロサンゼルスの音楽専門学校で学ぶ。 NEWSに楽曲「白」を提供するなどソングライティングの才能が注目される中、2023年末に本格的に活動を開始。2024年には名古屋のZIP-FMで楽曲「rainbow rain」がオンエアチャートで8位になり、大晦日の年越し特番で生ライブを行った。2026年2月に「reflected」を配信リリースした。
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小林拓一郎(コバヤシタクイチロウ)
愛知県豊川市出身。ZIP-FMでは「GET READY」のナビゲーターを担当。1999年、アメリカ・オレゴン州立大学エスニックスタディーズ(民族学部)在学中にキャンパスラジオステーションでDJを始める。2004年に「ZIP-FMミュージック・ナビゲーター・コンテスト」でグランプリを受賞。2008年9月から、Bリーグのシーホース三河ホームコートMCを務める。2010年6月には「豊川観光大使」に任命された。
小林 拓一郎 (@kobataku33) | Instagram
白井奈津(シライナツ)
愛知県名古屋市出身。ZIP-FMでは「FIND OUT」のナビゲーターを担当。小学校入学後にスウェーデンで約2年間の海外生活を送る。高校2年の春、オーストラリアに留学して英語を学び、大学進学後、授業の一環でラジオ番組を制作。2009年に「ZIP-FMミュージックナビゲーターコンテスト」で準グランプリを受賞。2011年、現役女子大生ナビゲーターとして、ZIP-FMミュージック・ナビゲーターとなる。ラジオのほか、テレビ番組のレポーター等でも活躍中。
白井奈津 (@shirai_natsu) | Instagram
町田こーすけ(マチダコースケ)
愛知県出身。ZIP-FMでは「SUPER CAST」のナビゲーターを担当している。2007年10月に名古屋出身の同級生お笑いコンビ・デラスキッパーズとしてデビュー。現在はピン芸人、番組やイベントの構成・脚本作家としても活躍中。クイズ作家の経験から知識豊富で、そこから生み出されるトークとキレのあるツッコミが持ち味。


