ナタリー PowerPush - 川嶋あい

I WiSHデビューからを振り返る「自分との闘い」10年史

歌いたい──そんなシンプルな思いを胸に、聴き手の心を惹きつけてやまない“天使の歌声”を響かせ続けてきたシンガーソングライター・川嶋あいが、来年2月14日でデビューから丸10年を迎える。

今年8月20日に開催された渋谷公会堂でのライブを収めたDVD「My Room~8月20日10回記念~」のリリースをはじめ、記念すべき10周年イヤーをさまざまなトピックとともに駆け抜けている彼女に、ナタリーでは初のインタビューを実施。「最後の賭け」として16歳でスタートさせた路上ライブのことや、大ヒット曲「明日への扉」を世に送り出したI WiSHとしてのデビューにまつわる話など、「常に自分との闘いだった」という10年分の歴史を一気に振り返ってもらった。

取材・文 / もりひでゆき インタビュー撮影 / 佐藤類

あきらめなければいつかゴールにたどり着ける

──本題に入る前にどうしてもお訊きしたいんですけど。川嶋さんは11月25日に開催された「神戸マラソン2012」に出場し、4時間10分というすごい記録をたたき出しています。フルマラソンは初めての挑戦だったんですよね?

川嶋あい

はい。歩かずに最後まで走れたのは自分でもビックリでした。タイムのことはあまり考えていなかったし、体調があんまり良くなかったのでどっかで歩いてやろうと思ってたんですけど(笑)。根性で走り切った感じですね。

──どんなことを考えながら走っていました?

本当にもうキツいので、早く終わらないかなっていう(笑)。それだけでした。

──あはは。でも走り切ったときには相当な達成感があったんじゃないですか?

達成感はありましたね。ここまで自分がやれるとは思っていなかったし、フルマラソンを走ってもとりあえず死なないことがわかったので(笑)、我慢してがんばれば人間ってできるものなんだなってすごく思いました。

──なるほど。その思いは生きていく上でも役に立ちそうですね。

そうですね。自分のスピリッツでもありますからね、それは。路上ライブをやっていた頃から私は根性で生きてきたようなものなので、あきらめなければいつか自分が目指すゴールにたどり着けるんだっていう思いが自分の芯になっているんです。そういう価値観を今回、マラソンを通して改めて思い返すことができましたね。

──デビューしてからの10年間、ずっとそういった思いを胸に抱いて前に進んできたと。

はい。キツいからやめることは一番簡単な選択かもしれないですけど、そこを我慢して自分を奮い立たせるのが大事だと思うんです。難しいことではあるんですけど、そこは自分との闘いだと思って、強い精神力を常に持っていたいなって。

守りに入るのではなく、攻める姿勢を忘れずに

──川嶋さんにはものすごくストイックな印象があります。つらいことを乗り越えることが音楽活動を続ける中でのモチベーションやパワーの源になっているのでしょうか?

川嶋あい

そうだと思います。苦しいことを乗り越えられたときにはものすごく達成感や充実感がありますし、そこからまた次の目標が生まれますからね。今回のマラソンにしても、給水のときにモタモタしないで、もうちょっとペースを上げとけば3時間台に行けたかもなって、反省とともに次の目標が見えてきたりもしたんです。そうやって目標の向こうに次の目標を見つける、夢の向こうにまた次の夢を見つけるということを繰り返す人生が自分には合っていて、そこにすごく生きがいを感じます。

──全てに満足して、落ち着いてしまうことを良しとはしない性格なんですね。

活動を続けていく中で、気付かないうちにぬるま湯に浸かってしまいそうになることもあるとは思うんですよ。でも私はそれを日々、戒めていきたいんです。守りに入るのではなく、攻める姿勢を忘れずに。そうしないと次の成功や達成感は絶対生まれないと思いますからね。それはもうアーティストだからとかそういうことではなく、1人の人間として闘っていきたいところです。

目標を高く設定して自分を奮い立たせた

──では、改めてこの10年を振り返ると、それはどんな時間でしたか?

幸せな時間でしたね。デビューする前は孤独と闘って、1人で完結してた部分が多かったんですけど、支えてくれる仲間やファンの皆さんに出会えたことで自分の世界が一気に広がった10年でした。

──その全てのきっかけが、川嶋さんにとっての原点である路上ライブになるわけですよね。

そうですね。16歳から始めた路上から全てが始まっています。当時いろいろなオーディションを受けてみたことはあったんですけどいい結果にはつながらず、最後の賭けとして始めたのが路上だったんです。そこで誰にも聴いてもらえなかったり、自分でダメかなと思ったらもうあきらめようっていう気持ちで。

川嶋あい

──16歳で最後の賭けと思うのって、ちょっと早いような気もするのですが。

そうかもしれないですね(笑)。でも上京してきてすぐに当時の事務所をクビになったこともあって、挫折感や絶望感がすごくあったんですよ。しかも、地元には私を一番に応援してくれている母がいたので帰るに帰れない。そういういろんな思いが交錯して、崖っぷちに立たされているような感覚に追い込まれていたんだと思います。

──なるほど。結果、路上に出たことが大きな転機になり、前へ進めたわけですね。

少しずつですけどね。路上ライブを1000回やるという目標を立てたので、そこに向かってライブに明け暮れていた感じでした。

──その当時、自主制作CDを5000枚売る、渋谷公会堂でライブをするという目標も立てていたんですよね。

はい。目標を高く設定して、自分を奮い立たせるやり方ですね。とは言え、路上を始めたばかりの頃は、誰も立ち止まってくれない中で歌っていかないといけなかったので、ものすごくつらかったです。でも、そういった中で応援してくれる方や活動をサポートしてくださる方との出会いがあったので、がんばろうという気持ちが生まれて、目標を達成していけたんだと思いますね。

川嶋あいデビュー10周年記念イベント
「I WiSH」

2013年2月14日(木)
東京都 Zepp Tokyo
OPEN 18:30 / START 19:15
料金:指定 4900円 / 立見 4300円

  • チケットぴあ
    0570-02-9999(Pコード:184-504)
  • ローソンチケット
    0570-084-003(Lコード:78844)
  • CNプレイガイド
    0570-08-9999
  • イープラス

チケット予約はこちら

川嶋あいデビュー10周年記念&誕生日ライブ
「I WiSH」

2013年2月21日(木)
大阪府 大阪BIG CAT
OPEN 18:30 / START 19:15
料金:指定 4900円 / 立見 4300円

  • チケットぴあ
    0570-02-9999(Pコード:185-917)
  • ローソンチケット
    0570-084-005(Lコード:56676)
  • CNプレイガイド
    0570-08-9999
  • イープラス

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川嶋あい(かわしまあい)

1986年福岡県出身の女性シンガーソングライター。2001年に単身上京し、翌2002年から電子ピアノの弾き語りスタイルでストリートライブを開始。同時に音楽ユニット・I WiSHのボーカルaiとしても活動する。2003年5月には路上でのCD手売り枚数が5000枚に到達。同年8月20日には渋谷公会堂で初の単独ライブが実現する。2005年にはストリートライブ1000回を達成し話題に。2008年にはデビュー5周年を記念したベストアルバム「SINGLE BEST」「COUPLING BEST」を同時リリースした。2012年8月20日には渋谷公会堂で、10年前と同じセットリストでライブを敢行。近年はランニングを趣味とし、2012年11月の「神戸マラソン2012」では4時間10分で完走を果たした。