天才と会えたなと思いました
──「一億人の恋人(feat. 乃紫)」でフィーチャーした乃紫さんのことはどういうふうに知って、どう声をかけたんでしょうか?
TikTokを通して「初恋キラー」や「全方向美少女」は知っていたんですが、スタッフから「乃紫ちゃんはどうだろう」という話があって、声をかけさせてもらいました。最初にお会いして話したときも面白かったですね。「TikTokでバズりたいから自分のことを呼んでくれたんですか?」とズバリ言われて。そういう直球の質問は僕もすごく好きだし「いや、それだけではないな」という話をしました。確かにそうなったらうれしいけど、それよりもメロディラインがキャッチーで、ライブの後半にみんなで走り出したくなるような、みんなが絶頂になる一番盛り上がったシーンにハマる曲を作りたいんだと。あと、昔で言うデュエットソングのような、掛け合いがある曲を作りたいからとか、そういういくつかの思いがあって乃紫とやりたいんだよと伝えたんです。で、「推し活」をテーマにした曲はどう?という話をしたら、一発で「一億人の恋人」というタイトルワードが送られてきたんです。なんてキャッチーなんだ!って、その瞬間に撃ち抜かれる感覚でした。しばらくして「曲ができました。一度聴いてください」と曲が届いたら、最初から歌詞も曲もアレンジもすべて完璧で。「最高です」と返して、次の段階ではレコーディングという感じでした。すごかったです。天才と会えたなと思いました。
──「夢々Ticket(feat. 緑黄色社会)」はいかがでしょうか。緑黄色社会とはつながりがあったのですか?
緑黄色社会さんは前に自分の番組にゲストで来てくれて、そのときにも「いつか一緒に何か作れたらいいね」とは言ってたんだけど、なかなか機会がなかったんです。今回「今だな」と思い、声をかけさせてもらいました。緑黄色社会さん、本当にメンバーみんなで曲を作っているんですよ。リモートでも直接会ったときでも、みんなでアグレッシブに意見の言い合いをしていて。「普段からこんな感じでやってんの?」って聞いたら「はい、いつもこうです」と。細かい音1つを決めるにしても、全部みんなで話し合って作っていました。
──この曲はどんなイメージをもとに作っていったんでしょう?
この曲に関してはライブの最後に流れることを想定して作っていったんですけど、ライブで歌っている人と客席にいる人が、時空を超えてつながるようなイメージなんです。なんだかつまらなく日々を過ごしている子供が、歌っている人がふわっと投げた“夢々Ticket”を拾って、ステージに立つことを夢見る。だけどうまくいかなくて。あるとき自分が観に行ったライブの最後のほうで、この「夢々Ticket」という曲を聴いて「やっぱり私はこのステージに立ちたいんだ、こんな夢の世界が好きだ」と思う。そうやって夢を目指した人が、そのステージで歌っている人だった……みたいな。そんな話をして最終的に歌詞が完成した感じです。
それでも楽しくて、最高の人生を生きてる
──そして、最後に収録されている「Not Too Good Not Too Bad(feat. Yaffle)」は、エンドロール的な曲という感じがしました。
それこそ「エンドロール的な曲を作りたいんだ」と、Yaffleと話をしました。彼からは「もし可能だったらスタジオに来てくれないか、その場で一緒に音を出したほうがいい」と言われて、僕はそういう方法が大好きだから「じゃあすぐ行く」とスタジオに行って。「どんな音が好きですか?」みたいなところから実際に音を出していって、ある程度のループができたところで「これをベースにしていこう」と。その合間合間にも、いろんな話をしたんですね。音楽も含めて、僕のこれまでの話をちょいちょいしたんです。そうしたら、第1稿のデモで僕の話したことが全部歌詞になってた(笑)。「これはダメだよ、なんであのときに話したことが全部歌詞になってるの」と彼に言ったら「いや、すごい面白い話だったんで」って。ただ、そのニュアンスも残しながら歌詞は作っていきましたね。この「Not Too Good Not Too Bad」っていうのは、“こんな生き方を僕はしてきた”ということなんです。「最高でもないんだけど」って口では言いながら、それでも楽しくて、最高の人生を生きてるという。「Circus Funk」という作品全体を見ても、ノリノリで声を出していたと思ったら、ふらっと終わっちゃうような曲。「このまま幕が閉じるのちょっと寂しいな、またこのサーカスに来たいな」と思ってもらえる曲になったと思います。
──素敵な幕の閉じ方だと思います。
自分の根本には「香取慎吾はアイドルとして生きてきた」という部分があるんです。それを僕は大事にしているし、いつまでもなくしたくない。「夢々Ticket(feat. 緑黄色社会)」や「一億人の恋人(feat. 乃紫)」は曲単体として好きなのはもちろん、“そういう自分”に合った曲で、その盛り上がりはやっぱり楽しいんですよね。でも、今回の「Circus Funk」はこの「Not Too Good Not Too Bad(feat. Yaffle)」みたいなニュアンスで終わりたいなという。そういう感じなんです。
──最後にライブについても聞かせてください。12月3、4日には「"Circus Funk" Festival」も開催されます。こちらはどんなステージになりそうでしょうか。
ライブを想定していろんな人とアルバムを作って、結局両日でアルバムに参加してくださった方のうち7組来てくれることになったんですね。だけど、僕が今まで想定していた「ライブ」と「フェス」というのはちょっと違ったみたいで。SNGバンドもいるし、ダンサーも12人いるし、そこにゲストの皆さんがいて……そうなると、踊るスペースの確保が難しかったりする。だから今はそこをどうするか、がんばって考えているところです。皆さんと何日も一緒にリハーサルを重ねられるわけではないし、はたまた僕は今、連ドラ(フジテレビ系「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった」)の撮影が始まって自分のリハの時間もほとんどない。だからこそ楽しみです(笑)。どうなるか、めちゃくちゃ楽しみにしています。
公演情報
"Circus Funk" Festival
- 2024年12月3日(火)東京都 国立代々木競技場 第一体育館
OPEN 16:00 / START 17:00
<出演者>
香取慎吾
ゲスト:SHOW-GO / LEO from ALI / Chevon / Night Tempo / 村田陽一 / 在日ファンク / SOIL&"PIMP"SESSIONS / 乃紫 - 2024年12月4日(水)東京都 国立代々木競技場 第一体育館
OPEN 14:00 / START 15:00
<出演者>
香取慎吾
ゲスト:SHOW-GO / Chevon / Night Tempo / 村田陽一 / Kroi / SOIL&"PIMP"SESSIONS / 乃紫
プロフィール
香取慎吾(カトリシンゴ)
1977年1月31日生まれ、神奈川県出身。1991年にCDデビュー。主なドラマ出演作にNHKの大河ドラマ「新選組」(2004年)やフジテレビ「西遊記」(2006年)、主な映画出演作に「THE 有頂天ホテル」(2006年)、「座頭市 THE LAST」(2010年)、「こちら葛飾区亀有公演前派出所 THE MOVIE~勝鬨橋を封鎖せよ!~」(2011年)、「凪待ち」(2019年)などがある。2017年12月、稲垣吾郎、草彅剛とともに新しい地図として「72」を、2018年3月には「雨あがりのステップ」を配信リリースする。2020年1月、1stソロアルバム「20200101」を発表。2022年4月に2ndアルバム「東京SNG」をリリースし、2023年1月には香取慎吾×SEVENTEENとして草彅の主演ドラマ「罠の戦争」の主題歌「BETTING」を配信リリースした。アート分野でも活躍し、2018年9月にはフランス・パリのルーブル美術館で初個展「NAKAMA des ARTS」を開催。2019年3月には国内での初個展「サントリーオールフリーpresents BOUM! BOUM! BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展」を実施した。2024年11月に3rdアルバム「Circus Funk」を配信リリース。2025年1月より、フジテレビ系ドラマ「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった」に主演する。
香取慎吾 Shingo Katori (@katorishingo_official) | Instagram