「ヤマイ」としての活動経歴

──KANANさんに初めてお話を伺うということで、やはり気になるのが「ヤマイ」としての活動です。元々「ヤマイ」名義でニコニコ動画に投稿され人気を得ていたということですが、いつ頃から投稿を始められたんですか？

ニコ動は2007年8月にやりはじめました。それ以前からボイスブログという、声をアップできるブログをやってたんですけど、ニコ動も同じように声を表に出せる場所っていうことで面白そうだなと思って。歌も、ボイスブログで、音源をお借りして歌ってましたし。あと「-1Track（マイナスワントラック）」っていう、オリジナル曲を投稿する掲示板があったんです。作曲した人が投稿した曲を聴いて、それを歌いたい人が歌って、そこの掲示板に返すんです。そういうやりとりをして、そこで知り合った作曲家の方とは今でもお付き合いがあります。ニコニコ動画で再会して、「あれー、あのときのあの人ですよね!?」なんてこともあったり。

──ヤマイという名前の由来は？

当時やっていた仕事がハードだったこともあって、いつも体調が優れなくて、風邪ばっかり引いてたんです。1カ月で調子が良いときが1週間あるかないかくらいだったんですよ。だから、病気がちなところから「ヤマイ（病）」ってつけました。そういう場に歌を公開するのには別にちゃんとした名前なんかいらないんじゃないかと思ってて、適当に（笑）。

──曲によっては再生回数が200万回にもなるということですが、最初からそんなにアクセスがあったわけではないですよね？

そうですね。最初は再生が1000回行って「やったー！」みたいな感じだったんですよね。最初から1000回も再生されることもあまりなかった時代なんですけど。でも2007年頃は、ただ歌いたくて仕方がなくて、3日に1回とか、1日おきとかのペースで動画をアップしてて。今は、音源が恥ずかしいのでその動画は非公開にしてるんですけどね。最近は流行を気にせず自分の好きな曲を見つけては歌ってって感じなので、そんなに再生数も伸びず。好きな歌を好きなように歌える場所なので、あんまりそういうのにこだわらずにやってます。

──昔の動画が恥ずかしいのはどうしてですか？

自分が未熟な部分があふれてるし、ちょっとやりすぎたかなっていうのもあるので。

──余計気になって、その頃の動画を観てみたくなっちゃいます（笑）。で、最初は1000回とかだったのが、200万という桁違いのアクセス数になるのに、何かキッカケなどはあったんでしょうか？

最初にみんなが見てくれるようになったのは、ネタ曲、だったかな？ ちょっとコメディ色の強い、替え歌を作ったんですよ。それを投稿したら、物珍しかったのか、バーってみんなが見てくれて、その日は「ええーっ!!」ってただ驚く感じだったんです。で、そういうのをずっと続けてたら、だんだん、だんだん増えてきて。

──最初にネットに自分の歌をアップするのは、勇気が必要だったのでは？

最初はしゃべってるだけだったけど、やっぱり歌が好きなので、歌える場があるなら挑戦してみようかと思って。最初はヘッドセットマイクで、アカペラで歌いはじめたんですけど、音質が悪いなあと思って自分でいろいろ調べて機材を買って、音質を良くしていって。編集もがんばろうと思って音楽のフリーソフトをダウンロードして自分で編集して、っていう感じで、やりはじめたら凝りだしちゃって。それをニコニコ動画でもやって……2008年くらいまで自分で動画を編集して投稿してました。

音楽は空気みたいになくてはならないもの

──音楽経歴についても訊かせてください。まず、大きな質問ですが、自分にとって音楽、歌とはどんなものですか？

生活の一部でした。ずっと歌が好きで、小学生のときはお小遣いじゃCDを買えなかったので兄に借りて、それを聴きながら一緒に歌うのが楽しかったんです。いろんな趣味があるんですけど、一番長続きしてるし、歌だけはずっと好きなんだろうなと。空気みたいな、生活になくてはならないものです。

──では、影響を受けた音楽、好きなアーティスト、好きな歌は？

最初に聴いたのが大黒摩季さんだったんですよ。すごく高い声もきれいに出るじゃないですか。自分では、あの高い声がどうしても出なくて、すごく意地になって練習してました。ほかにも天野月子さんだったり、柴田淳さんだったり、倖田來未さんだったり、女性アーティストばっかり聴くんですよね。男性アーティストで影響を受けたのはポルノグラフィティさんですね。

──すごくいろんなタイプの声で歌われてますが、そのために努力してることはありますか？ 先程、風邪を引きやすいというお話もありましたが、喉のために努力してることとか。

マスクして寝ることはもう絶対ですね。お茶も、知り合いに教えてもらったハーブティにしてます。歌声を変えるのは、元々歌にいろいろ取り入れたくて、セリフとかを拾ってきてブログに投稿したりした影響なんですよ。声の演技の経験は歌にも生きるかなと思って。