神はサイコロを振らないインタビュー|7年間を凝縮したメジャー1stフルアルバムを携え、誰も見たことのない地平へ (3/3)

柳田らしい“弱いからこそ書ける曲”

──「初恋」ではBiSH、PEDROのアユニ・Dさんとヨルシカのn-bunaさん、「愛のけだもの」ではキタニタツヤさんとコラボされています。n-bunaさんやキタニさんのような同世代とのコラボは刺激になりましたか?

柳田 そうですね。奇跡的なぐらいグルーヴが合いました。n-bunaさんはボカロPの印象が強かったから、あまり共通点がなくて盛り上がらなかったらどうしようと思ってたけど、ギターの音が好きで、ギターを買って音楽を始めたというルーツも一緒で、根本は僕らと一緒なんだなと感じられたのもうれしかった。キタニも、昔の彼の曲はポストロック寄りで、通ってきた道が似ていてうれしくなったり。最近のキタニはよりファンクですよね。お互いに音楽の始まりが似ていて、違うルートを通りつつも目指している地点が近いというのも面白いなって。キタニとはツーマンでライブもやりましたけど、「お前らライブうめえな」とか声をかけてきてくれて。あいつ、華があるキャラだし、フロントマンとしてもカッコいいじゃないですか。ちょっと嫉妬もするし尊敬もしています。そういう存在に出会えたのは本当にうれしいですね。すげえいいライバルができたなと俺は勝手に思っています。

──「イリーガル・ゲーム」「あなただけ」「夜永唄」にはピアノで、「プラトニック・ラブ」にはサウンドプロデューサーで伊澤一葉さんが参加されています。レコーディングはどんな雰囲気でしたか?

柳田 めっちゃ楽しかったです。「プラトニック・ラブ」ではボーカルディレクションもしてもらったんですが、俺の知らない歌の表現を次々と引き出してくれて。何より伊澤さんがピアノを弾く姿がカッコよすぎた。伊澤さんって弾きながら少し首にクッて角度がつくんですけど、それがカッコよすぎて移っちゃったみたいで。たまに歌録りしながら首がクイってなってる自分がいます(笑)。

──アルバムのラストを飾る「僕だけが失敗作みたいで」はかなり重要な曲ですね。

柳田 神サイというバンドというか自分という人間をすべて詰め込んだような曲ですね。そういう曲でアルバムを締めようと決めて作りました。20曲ということで曲順も試行錯誤したけど、最後にどう締めたいかだけは自分の中に明確なイメージがあったんですよ。それを具現化した曲です。

黒川 本当に柳田らしい曲。さっき桐木も話していたけど、僕らも柳田も、強いか弱いかで言ったら決して強い人間ではない。でもその分、柳田は弱い人間の気持ちがわかる。そんな柳田が書いた“弱いからこそ書ける曲”は、すごくカッコいい。

黒川亮介(Dr)

黒川亮介(Dr)

──本当にいい曲ですね。神サイのこれまでの軌跡における葛藤と、これからへの宣誓や希望が込められているようなリリックのようにも感じられました。

柳田 7年間の思いをぎゅっと凝縮しました。あと、フルアルバムじゃないとできないような仕掛けもあるので、楽しんで聴いてもらいたいですね。

──では最後に、今後の神サイについてひと言いただけますか。

黒川 ともかくぜひアルバムを聴いてほしいですね。このメンバーだから出せたグルーヴも、バンド特有のヒリヒリとした感じも随所に出ていると思うので。

吉田 ひさびさの全国ツアーも決まったし、とにかくライブをしたいですね。まだコロナ禍なので限られた範囲内にはなるけど、お客さんを存分に楽しませたい。アルバムの曲を早くみんなに歌ってもらえるようになってほしいですね。

柳田 このツアーでは俺の地元と桐木の地元(宮崎と島根)でライブするんですよ。

桐木 「なんで地方に来てくれないの?」みたいな声もSNSでたくさん見かけていたのでようやくです。島根でやるのは自分の目標の1つでもあった。チヤホヤされたいです(笑)。

柳田 たぶん俺のじいちゃんばあちゃんも観に来ると思う。2人とも俺のステージを観たことがないので早く観てほしくて。あと、地元で世話してくれた人たちとか友達みんなにも来てほしいし、ありとあらゆるみんなに恩返しがしたい。でもって、支えてくれているスタッフさん全員に車買ってあげられるくらい、マジでバカ売れしたいと思います。

神はサイコロを振らない

神はサイコロを振らない

ライブ情報

東阪野音Live 2022「最下層からの観測」

  • 2022年3月20日(日)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)
  • 2022年4月10日(日)大阪府 大阪城音楽堂

Live Tour 2022「事象の地平線」

  • 2022年5月21日(土) 福岡県 UNITED LAB
  • 2022年5月22日(日)宮崎県 LAZARUS
  • 2022年5月28日(土)山口県 周南RISING HALL
  • 2022年5月29日(日)島根県 LIVE&STUDIO 松江B1
  • 2022年6月4日(土)宮城県 Rensa
  • 2022年6月11日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2022年6月18日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2022年6月19日(日)香川県 高松festhalle
  • 2022年6月25日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2022年6月26日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2022年7月3日(日)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2022年7月10日(日)大阪府 なんばHatch
  • 2022年7月16日(土)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
  • 2022年7月17日(日)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

プロフィール

神はサイコロを振らない(カミハサイコロヲフラナイ)

柳田周作(Vo)、吉田喜一(G)、桐木岳貢(B)、黒川亮介(Dr)からなるロックバンド。2020年にミニアルバム「ラムダに対する見解」の収録曲「夜永唄」がバイラルヒットし、同年7月にはメジャーデビューを果たす。「夜永唄」はSpotifyの国内バイラルチャート年間トップ10にランクインするなど話題を呼んだ。2021年には東京・Zepp Tokyoを含む5都市を回るライブツアー「Live Tour 2021『エーテルの正体』」を開催。10月にはテレビアニメ「ワールドトリガー」3rdシーズンの主題歌「タイムファクター」を配信リリースした。2022年1月にテレビ朝日系金曜ナイトドラマ「愛しい嘘~優しい闇~」の主題歌「イリーガル・ゲーム」、2月に同ドラマの劇中歌「あなただけ」を配信リリース。3月にはメジャー1stフルアルバム「事象の地平線」を発表した。3月20日には東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)、4月10日には大阪・大阪城音楽堂でライブイベント「最下層からの観測」を行う。5月からは全国ツアー「事象の地平線」の開催が控えている。