ツアー中にミックスまで完成させた「Secret Whisper」

──なんでこんな質問をしたかと言うと、新作「Secret Whisper」が前作「REAR SIDES HERO」から大きな変化を遂げていたからです。自分たちとしては今回、意図的に何かを変えようという意識はあったんですか？

SHU→TA　自立心が芽生えた気はしますね。これまでは周りからいちいち指示をもらったり、話し合わないとできなかったことを各々が率先してやれるようになったし、今までは手探りだったけど、「こういう感じでやればいいんだ」っていうコツがつかめてきた気がします。

──キャシーさんもそういうところはありますか？

キャシー　そうですね。自分たちで企画をやったりもしたので、その場で自分が何をやらなきゃいけないかを考えられるようになったと思います。SHU→TAさんはいつも考えてると思うんですけど、僕とMiZUKiちゃんもそういうことを考えられるようになったんだと思います。

MiZUKi　今回のツアーはこれまでで一番短かったけど一番内容が濃かったので、そこで成長した部分が出てるのかなって思います。

──今回の制作はどんな流れだったんでしょう？

SHU→TA　ツアー中にはすでに曲を作ってました。僕たちは「活動を止めない」ということが前提としてあるので、「ツアーファイナルが終わったら次はリリースだよね」っていう、至って自然な流れで作り始めましたね。

──じゃあ、レコーディングはツアー後に？

SHU→TA　いや、ファイナルの半月前にはミックスまで終わってる状態でした。ツアーファイナルで新曲を披露したかったので、そういう事情もあって早く制作に入ってました。

──なるほど。今の話を聞くまで、ツアーで得たものが反映された音源なのかと思っていたんですが、そうでもないんですね。

SHU→TA　でも、ツアーの最中にいろいろと変わっていった部分はあるので、そこからの影響は十分受けていたと思います。

MiZUKiの経験をもとに展開されていくストーリー

──今作のテーマは「第六感」ということですが、これはどういう発想で浮かんだアイデアなんでしょうか？

MiZUKi　今回は1stミニアルバム「Five Days After Infection of Vampire」や2ndミニアルバム「CLOCKWISE HERO」と主人公が同じなんです。1stミニアルバムでバンパイアに噛まれて感染した主人公が、2ndミニアルバムで特別な力を手に入れてヒーローになり、今作「Secret Whisper」ではバンパイアによる秘密のささやきによって五感が研ぎ澄まされて、第六感が覚醒するというストーリーです。

──ストーリーの骨組みは早い段階からあったんですか？

MiZUKi　ぼんやりとしたアイデアは2ndミニアルバムの頃からあって、いざ書くぞとなった段階でしっかり考えました。

──この先のストーリーもすでに浮かんでるんですか？

MiZUKi　ちょっと頭の中にはあります。

──まるで作家さんじゃないですか。これを重ねていったら何かできますよね。

SHU→TA　これを原作にした何かが（笑）。

──そうそう。物語全体の構想もすでにあったりするんですか？ それとも自分たちの活動と共に変化していく部分があるんでしょうか。

MiZUKi　主人公が次にどう動くか考えるときは、それまでに自分が経験したことや感じたことを通じてアイデアが浮かんでくるので、これからの経験次第で主人公の動きは変わるかもしれません。

自分の子供のように成長を感じてます

──先ほども言いましたが、今作「Secret Whisper」はあらゆる面でかなりパワーアップした内容になっていると思うのですが、制作にあたって考え方ややり方を変えた部分はあるんですか？

SHU→TA　これまで作曲は青木ケビンさん、アレンジはROAのAKABAさんが担当するスタイルでやっていたんですけど、今回はまずケビンさんから曲をもらって、そこである程度僕らがアレンジしたうえでエンジニアと相談しながら作る、というやり方にしました。

──間に入っていた人が1人減ったんですね。どういう変化がありましたか？

SHU→TA　若干のプレッシャーはありましたけど、これまで3回ツアーをやって、3枚の作品をリリースした今の自分たちならある程度はできるんじゃないかという自信もあったので、みんなと自分を信じて取り組みました。

──でも、プレッシャーを感じていたとは思えないぐらい派手な作りになってると思います。

SHU→TA　そうですね。作品のコンセプトもそうですけど、曲調に関してもみんなの中にぼんやりとしたビジョンがあったので、そこにブレはありませんでした。

──あと、今回耳に留まったのがMiZUKiさんのボーカルで。ついに覚醒したなと。

MiZUKi　最近ほかの人にもそう言われました。今回は自分でも歌っててしっくりくる部分が多かったし、表現の幅が広がったと思います。

──本当にそうですよね。以前よりも声に表情があると思いました。「Silver」なんて1曲の中で表情がガラッと変わりますよね。

MiZUKi　うれしいです。ありがとうございます。ライブをたくさんやってきて、さまざまな人と関わることで感情を表現する場が増えたので、それが歌にも出てきているのかなと思います。

──前作までは声にキュートさが残っていましたけど、今回はロックボーカリストとしての力強さがより全面に出てきているように感じました。

MiZUKi　これまでの作品の自分と比べると自信の度合いが全然違うので、そのせいかもしれないですね。

──パワフルかつ妖艶で、息遣いまで聞こえてくる場面もあるし、表現者として一段も二段もステージが上がったと思います。

キャシー　声もそうですけど、彼女はパフォーマンスの面でもダイナミックになったと思いますね。だんだん成長しているんだなって自分の子供のように感じてます（笑）。

MiZUKi　子供……？（笑）

──そこはせいぜい親戚のお兄さんでは（笑）。SHU→TAさんはどうですか？

SHU→TA　エモーショナルになったと思います。ライブ中に後ろから彼女を見てて、「今のアクションいいじゃん！」ってこっちのテンションが上がることもあります。彼女だけでなく、メンバーそれぞれに対して「今のいいね」って思うことは増えましたね。