今でもまだ試行錯誤の途中

──Candy or Whipの皆さんは、神聖かまってちゃんのニューアルバム「ツン×デレ」を聴いてどう感じました？

の子　感想などあればズバッとなんでも言ってください！

ちばぎん　聞きたい聞きたい！

SY　僕は「26才の夏休み」がすごく好きなんですよ。聴いていると孤独の中にいる情景が見えてくるんですけど、最後のほうでその世界観をぶっ壊しに行くようなイメージが見えてきて、なんか印象的でした。

みさこ　ジャスコって知ってる？

ちばぎん　ああ、そうか。ジャスコなんて知らないかもしれない。

SN　僕、知ってます。

みさこ　今のイオンって、だいたいはもともとジャスコって名前だったの。だから「ジャスコな町にもイオンができたのさ」っていう歌詞は、自分たちの住む町がどんどん変わっていく様子を歌ってるんだけど。

の子　確かに若い子は知らなくてもおかしくないか。当然誰でも知ってることみたいな感覚になってたけど。

SN　僕は「33才の夏休み」が好きですね。ストーリーがあって、聴いてて引き込まれました。

S&R　僕は、全部大好きなんですけど「犯罪者予備君」がめっちゃカッコよかったです。何回も聴いちゃいました。

の子　ありがとうございます！

S&R　特にこの「深呼吸を 深呼吸を 深呼吸をしてよ」ってところ。

の子　言いたいことが自分の中にあると、僕はそのワードをずっとしつこく繰り返すんですよ。「わかれよ！」って感じで（笑）。

YU　アルバム全体を通して、ほかの人たちにない唯一のものがたくさん詰まってる感じがして、聴いてて楽しいです。

の子　でも俺は、年月繰り返して作り続ければ、誰でも絶対に自分だけの音楽が作れるはずだと思います。マジで。俺なんかも、十代から二十代前半まではずっと試行錯誤の連続だったし。俺は10年前、音楽シーンでは全部の手法がやりつくされてると感じてて、その中で自分だけの新しい表現ってなんだろうっていうのをずっと模索して、それがネットとの融合だったんです。そして今でもまだ試行錯誤の途中段階だし、まだ完成には程遠いと思ってます。

YU　なるほど。

の子　Candy or Whipの曲はもうすでに完成度が高いように聞こえちゃうけど、ここからまだまだ進化していくはずだからね。

音楽の話なんて正直どうでもいいんだよ

──かまってちゃんのメンバー自身は今回のアルバムに手応えを感じた部分はありますか？

ちばぎん　2曲目の「塔を登るネコ」が自分的には一番手応えを感じてます。の子が作ったデモを一旦monoくんが整えて、それをバンドでさらに練り直したので、“みんなで作り上げた感”が今までになく強かったです。

みさこ　「塔を登るネコ」は“破壊的なかまってちゃん”の集大成と言うか、みんながイメージするかまってちゃんのアグレッシブなサウンドが音源だけでめちゃくちゃ出せてよかったです。あとこれはの子さんに対してなんだけど、「33才の夏休み」を持って来たときに、「このタイミングでこんないい曲を書けるのは、やっぱの子さんすげえな」って思った（笑）。

ｍono　僕は今回は、家で作業させてもらうことが多かったのでよかったです。

ちばぎん　新作についてのコメントが「家で作業できてよかった」って、「マジかよコイツ？」って感じですよね（笑）。10年やってきてそれって。

ｍono　リラックスできてやりやすかったんだよ（笑）。今回は自分のやりたいようにレコーディングさせてもらったんで。

の子　……っていうかさ、音楽の話なんてくだらねえから正直どうでもいいんだよ！ 俺はもっとCandy or Whipと真髄について語り合いたいんだよ！

YU　ははは（笑）。

ちばぎん　君は興味ないかもしれないけど、ナタリーは聞きたいっておっしゃってるわけだから（笑）。

の子　まあ、よいアルバムだよ。いい曲そろってるよ（笑）。

みさこ　10周年にして、集大成じゃなくて通過点みたいなアルバムを作れたのがよかったなと思ってます。ここで終わりじゃなくて、この続きが見えるアルバムって感じで。

ちばぎん　タイトルも今までない感じで、新しいかまってちゃんが出せてると思うけど、一方で「33才の夏休み」なんかは10年経った今でないと作れない曲だし。「10周年だからこういうアルバムにしよう」っていうのは別になかったんですけど、できてみたらそういう要素がところどころにちりばめられた1枚になったと思います。

今日からメンバー同士でしゃべらないようにします

──かまってちゃんは今年で10周年なわけですけど、レイターズやCandy or Whipは10年後にどうなっていると思いますか？

YU　わかんないですね。興味がないです。とりあえず今やれることをやって。

SN　それでメンバーが仲良くしてたら満足です（笑）。

YU　生きてたらいいかなって。

の子　死んでるとは思わない？ 俺は十代の頃、30歳まで生きるなんて思わなかったんですよ。絶対その前に死んでるだろうなって（笑）。

──Candy or Whipに今後の参考にしてもらうために、かまってちゃんが10年活動してきて「これをやっておいてよかった」ということや、逆に「こうしておけばよかった」ということを聞かせてください。

の子　やってよかったのは、話し込まないこと。

ちばぎん　メンバーと？

の子　うん。メンバーと話し込まない。あくまで俺らの場合なんで、話し込むほうがいい人たちもいるとは思うけど。

ちばぎん　別のインタビューでも「バンドは仲がよすぎると解散する」って言ってたよね。

の子　いや、仲がいいのは別にいいんだけど、付き合い方の話だな。

YU　じゃあ今日から、もうメンバー同士であんまりしゃべらないようにします（笑）。

ちばぎん　僕らが世に出たとき、「天才・の子と、演奏がヘタクソで足引っ張ってる3人」って言われ方をずっとしてたから、僕らはその中で「自分にしかできないことを見つけておくことがすごく大事」って思ってたんですよ。「これは別に自分がやらなくてもほかのメンバーでもできる」っていうこともあるけど、そればっかりじゃなくて「この役割って自分じゃないとできない」ってことをしっかりと持っておくと、バンドが長続きしたり、メンバーそれぞれのキャラが立ってきたり、いろんないいことがあるんじゃないかなと思います。

ｍono　まあね。あとは、ほかのメンバーに多くを求めすぎないことですかね。何かに没頭して必死でがんばってると、「なんで俺がこんなにやってるのに、あいつはなんもやんねえんだよ」って気持ちになることがあるかもしれない。そういうときにあんまりメンバーに期待しすぎるのはよくないんじゃないかな。

みさこ　monoくんとは逆の立場の話になるけど、人間誰でもがんばれないときって絶対あると思うし、無理してがんばりすぎないで、がんばれないときは「ちょっと今は無理なターンだから」って言ってほかの人たちを頼ってもいいと思う。

の子　ちなみに今みさこさんが言ったように、誰か1人がダメになったり、いきなり頭おかしくなって荒れたりとかはないんですか？

YU　ないですね。

SY　今後あるかもしれないですね（笑）。

レッツゴー武道館っ！

──今回はあくまで「レイターズ主催フェス ～LATE ON SUMMER～」の出演者の1組ではありますが、かまってちゃんは「レッツゴー武道館っ！」という曲もありますし、日本武道館のステージで演奏することに対して思い入れが強いんじゃないでしょうか。

の子　いや、特にないですよ。大きいステージでやりたいっていうのは当然ありますけども。

ちばぎん　かまってちゃんは1回出演を断られてるんですよ。ダイブしたり脱いだりするようなバンドはダメって。それで両国国技館を押さえてワンマンすることにしたけど、それも東日本大震災でナシになっちゃったという。「レッツゴー武道館っ！」はそういう経緯でできた曲なんですよね。「武道館を目標にがんばってる」みたいな曲ってよりは、「クソ、やりたかったな」って気持ちの曲で。

の子　そうそう。そういう感じ。

YU　正直僕らも武道館に対して、思い入れっていうほどの思い入れはないんで、いつもと変わらずやりたいと思ってます。

の子　でもやっぱ緊張はするな。その場に立ってみてどんな感じか想像できないんだもん。

みさこ　できないね。1回も立ったことないから。

ちばぎん　どういう曲やったらいいかとかも全然読めないしね。

みさこ　まあ、楽しいイベントにできたらいいよね。

YU　はい！ ホントにありがとうございます！