デビュー曲はいろいろなポイントで支えてくれた楽曲

──メジャーデビューシングル「愛のカタチ」は、シンガーソングライター・中村つよしさんが2008年に発表した同名楽曲のカバーです。海蔵さん自身もこれまで数々のカラオケ番組で歌っている曲ですが、そもそもこの曲との出会いはいつだったんですか？

2016年の最初のカラオケ世界大会がきっかけですね。日本代表に選ばれて、次の世界大会では何を歌おう？って考えていたんですけど、そこで戦うことになる外国人の方々は歌い方がすごいパワフルなんだろうなって。曲にもよりますけど、日本人より力強いグルーヴも出せるし……ということを考えていくと、そんな彼らと近い選曲で戦ってもおそらく玉砕です。じゃあどんな曲がいいのかなって思ってたときに、ある人から「こういう歌があるよ」って「愛のカタチ」を紹介されたんです。

──最初に聴いたときはどうでしたか？

歌詞では認知症を患った女性とその家族を描かれているんですけど、こういう曲をほかの国の人が歌ってるのは想像がつかないなって。あと僕も家族が大好きなので、家族愛をこういう角度から表現するのは素敵だなって思いました。聴いてすぐハマっちゃいましたね。カラオケ世界大会でもしっかり思いを込めて歌わせていただきましたし。

──デビューコンベンションライブのMCでは、海蔵さんのおじいさんも現在似た状況にあると話していましたね。

そうなんです。僕の父方の祖父が認知症で施設に入ったこともあって、そこから急にこの歌詞が身近に思えてきました。またちょうど先月くらいに「北の桜守」という映画を観たんですが、その劇中で主演の吉永小百合さんが認知症の女性を演じられてて。歌詞とリンクする部分がけっこうあったので、この曲を歌うときはその映画の印象的な場面も思い浮かべて歌うようにしています。

──それにしても、なぜこの曲をデビューシングルの表題にしようと思ったんですか？

カラオケ世界大会や数々のカラオケ番組で歌ったこともあり、いろんなポイントで助けられたと言うか、すごく支えてもらった曲なんですよね。もちろんデビューシングルはオリジナル曲で出すのもアリだったと思うけど、僕的にはオリジナルだろうがカバーだろうが、その歌を大事に歌うってことに関しては何も変わらないんです。そういうお話をスタッフさんにしたら「じゃあやっぱりこれだね」ってことで。この曲を歌い始めてから「改めて家族っていいな」って一層思うようになったし、家族への感謝の気持ちはできるだけ素直に伝えていこうって考えるようになりました。

日本語の歌詞を大切に歌いたい

──カップリングの2曲もそれぞれ紹介していただけますか？

2曲目の「ウェディングソング」は、シングルのリリースが6月のジューンブライドということもあって入れさせていただきました。ミディアムテンポのプロポーズソングですね。3曲目「On My Way」はそれぞれの夢に向かう人たちの背中を押す応援ソングで、自分のポジティブシンキングを前面に出しちゃえ！っていう曲です（笑）。僕、普段はビックリするくらいポジティブなんですよ。なんでこんなに？っていうくらい。

──落ち込んだりしないんですか？

あ、めっちゃ落ち込みますよ。悲しさとか悔しさで泣くこともあるし。でも布団に入って朝起きたらもう大丈夫。そんなネガティブな感情を引きずってる暇ないなって思うんです。

──素晴らしい切り替えですね。

実はもともと根暗な部分があって、そんな自分が顔を出すと周りも暗くさせちゃうから、できるだけポジティブに考えようとしてるだけなんですけどね（笑）。

──ところで「On My Way」の歌詞には、地元・愛知県を連想させるワードも入っていますね。

僕は今も名古屋在住なんですけど、直接的な地名というより「名古屋でこの言葉といったらあそこだよね」って思うワードをちょこちょこ入れてます。僕が作詞家の方にリクエストしたもので、名古屋の人は地元民だからわかる歌詞を楽しんでほしいですね。僕の地元愛を感じ取っていただきたいです。

──さて、6月27日にはいよいよメジャーデビューを果たすわけですが、今後シンガーとしてどのような道を進んでいきたいですか？

カラオケ世界大会でもあえて日本語の曲しか歌わなかったのは、僕自身が日本語という言語が大好きで、日本語の歌詞を大切に歌いたいと思っているからなんです。海外の方と話していると「日本語の響きがすごくきれい」って言われることも多いですし。海外の音楽もすごくカッコいいし、聴いていてグッと来るものがあるんですけど、僕個人としては「日本語のよさが伝わる歌もあるよ」っていうのを伝えていきたい。僕の歌を聴いてくれた人が「やっぱ日本語の歌っていいね」って思ってくれたら本望です。