海蔵亮太|「カラオケ世界王者2連覇」の栄冠が、現実主義者の運命を変えた

カラオケの世界大会「Karaoke World Championships」にて2年連続で世界チャンピオンに輝き、テレビ朝日系「今夜、誕生! 音楽チャンプ」やテレビ東京系「THE カラオケ★バトル」でも優勝を勝ち取るなどデビュー前から注目を集めてきた海蔵亮太。圧倒的な歌唱力で多くの人の心をつかんできた彼が、6月27日にシングル「愛のカタチ」でメジャーデビューを果たす。

「愛のカタチ」は認知症の女性をめぐる家族愛を歌った珠玉のバラード。シンガーソングライター・中村つよしが2008年に発表したシングルのカバーで、海蔵の伸びやかで情感たっぷりの歌声を堪能できる。音楽ナタリーでは彼にインタビューを行い、歌が大好きな一家で育ったという幼少期からのバイオグラフィ、そして今回のデビューシングルに込めた思いを語ってもらった。

取材・文 / 川倉由起子 撮影 / 佐藤類

生後数カ月でカラオケデビュー

──海蔵さんは物心付く前から家族で毎週カラオケに行かれていたそうですね。6月4日のデビューコンベンションライブでそれを話されていて、とても歌が大好きな家庭で育ったんだなあと思いました。

おそらくなんですけど、僕、生後数カ月でカラオケデビューしてるんです。カラオケの部屋の中にソファがあるじゃないですか? そこに当時赤ちゃんの僕をゴロンと転がして、家族はみんな歌ってるみたいな(笑)。

──なるほど(笑)。でも週1でカラオケってかなりの頻度ですよね。

海蔵亮太

それを人に言うと「え! その家族、大丈夫?」みたいな感じで必ずビックリされるんですけど、家族みんな本当に歌が好きだったんだと思います。両親は共働きだったので、子供とのコミュニケーションの時間をそこで作りたかったのかなーなんて、今になって思うところもあります。

──海蔵さん自身もマイクを持って歌うようになったのはいつ頃ですか? 幼稚園とか?

そうですね。幼稚園の頃は普通に園で習った童謡とかを歌ってて、小学生になると、家族が歌ってる歌を覚えて自分も歌うことが多かったです。80年代アイドルの曲からあらゆる年代のヒット曲まで、ウチの家族は本当に幅広いジャンルを歌ってたんですが、そういうみんなが好きな曲のほうがやっぱり盛り上がるじゃないですか? あと8歳上の姉と6歳上の兄からは毎週なぜかお題が来てました。CDを渡されて「今週はこの歌を覚えましょう!」みたいな。

──それはすごい。特に印象に残っているお題は?

一番ビックリしたのは、僕が小学生のとき姉からCDを渡されたEGO-WRAPPIN'さんの「くちばしにチェリー」ですね。小学生にはちょっと理解できない歌詞だったんですけど(笑)、それでもがんばって覚えようとした記憶があります。

──確かに小学生男子には難易度が高い選曲かも……。

なんでお姉ちゃんは僕に歌わせようとしたんだろう?(笑)

──でもそうやって毎週カラオケで歌っているうちに、歌が自然と好きになっていった感じなんですか?

僕、いつから歌が好きかって聞かれると正直わからないんですよね。気付いたときにはもう歌が好きで暇さえあれば歌ってて、それが今までずっと続いてる感じなんです。

お父さんの「歌やらないの?」がずっと頭から離れなかった

──中高生になると、歌手を目指してレッスンに通ったりする人も多いと思うのですが、海蔵さんはそういう行動は起こさなかったんですか?

海蔵亮太

はい、僕は何もしてないです。中学は夜までバスケ部の活動があったし、もう運動一筋って感じで。

──じゃあ歌はこれまで完全に独学?

そうですね。ボイトレとか一切通ったことはないです。ただ大学でアカペラサークルに入って、そこでいろいろ学んだことはありました。人前で歌う抵抗みたいなものは幼少期のカラオケですでに取り払われてたんですけど、歌をどう歌ったらもっと楽しくなるか、どう声を使えばもっと歌がよくなるか……みたいなことはその時代に何度も考えて研究しましたね。サークルには歌のうまい人がゴロゴロいて、たくさん刺激も受けましたし。

──大学時代に歌への意識が大きく変わったと。

大学入学時は音域がそこまで広くなくて、高い声が出なかったんです。喉もすぐ枯れてしまってたし。でも、そうすると一緒に歌うみんなに迷惑がかかるってことで、今よりもっとラクに声が出せる方法を先輩に聞いたり、声に関する本もいろいろ読み漁りましたね。それこそ人体の断面図みたいな医学書っぽい本で、喉の下の筋肉がどこにつながっているのか、声帯がどう震えたらどういう音が出るのか……ってことを学んだり。

──そんなフィジカルなところから勉強したんですね。

はい。気付いたときには若干、声のオタクっぽくなってました(笑)。取材でインタビューを受けながら、「この人いい声だなあ。どんなふうに声出してるんだろう」って思ったりしますし。

──あはははは(笑)。話は少し戻りますが、大学卒業後は一旦、普通の企業に就職したんですよね。

海蔵亮太

そうなんです。昔から将来の夢とか目標は掲げたことがなくて、わりと現実主義者と言うか、今できることをちゃんとやっておこうという感じだったので。歌は好きでしたけど、あくまでも趣味で、それを仕事にするとは考えもしなかったですね。でもそんな普通の日々の中、ひさしぶりに父と一緒にお酒を飲みに行ったときに「最近どうなの?」みたいな会話になって、父に「歌はやらないの?」って言われたんです。

──それはちょっとドキッとしますね。

はい。帰り道もずっとその言葉が頭から離れなくて。普通だったら「いや、もう就職してるし」で終わりじゃないですか。社会人になってからは忙しくて歌う時間もどんどん減っていたし。でも今思うと、自分の中にもどこか歌を続けたい気持ちがあったから引っかかったんだろうなって。

──ええ。

で、そんなときにたまたま見つけたのが2016年のカラオケ世界大会の日本オーディション。それが僕の運命を大きく変えることになるんです。

海蔵亮太「愛のカタチ」
2018年6月27日発売 / 日本クラウン
海蔵亮太「愛のカタチ」

[CD]
1200円 / CRCP-10401

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収録曲
  1. 愛のカタチ
  2. ウェディングソング
  3. On My Way
  4. 愛のカタチ(Original Karaoke)
  5. ウェディングソング(Original Karaoke)
  6. On My Way(Original Karaoke)
海蔵亮太 デビューシングル「愛のカタチ」リリースイベント
  • 2018年6月27日(水)東京都 池袋サンシャインシティ噴水広場
    START 18:00
  • 2018年6月30日(土)大阪府 あべのHoop 1Fオープンエアプラザ
    START 14:00
  • 2018年7月8日(日)愛知県 アスナル金山 明日なる!広場
    START 14:00
海蔵亮太(カイゾウリョウタ)
海蔵亮太
国際的なカラオケ大会「Karaoke World Championships」の2016年の日本大会で約5000人の中から勝ち抜き、カナダ・バンクーバーで行われた世界大会決勝にて男性部門で優勝。翌2017年に齊藤伶奈とコンビを組んでデュエット部門に出場し、2年連続で世界チャンピオンとなる。さらに国内でもテレビ東京系「THE カラオケ★バトル」や、テレビ朝日系「今夜、誕生! 音楽チャンプ」などの番組に出演し、その歌唱力の高さが話題に。2018年6月にシングル「愛のカタチ」でメジャーデビューする。