メロディがいいのは当たり前

──今回はアルバム全体通してすごく緻密に作られていますよね。コード展開1つとっても、以前よりかなり凝っていて。

ゾン子　コード進行は例えば山下達郎さんの曲のコードをネットで調べたりしながら「こんなふうになってんだ？」って真似したりとか（笑）。その影響か、テンションコードを使った曲がわりと多くなってきてますね。

ユリナ　あと編曲のスキルは絶対上がってると思う。

ゾン子　そうだね。まあいい曲は作れるんですよ。

──あはは（笑）。

ゾン子　そんなもんは普通にやってればできるんで。

──2年前のインタビュー（参照：住所不定無職「トーキョー・ポップンポール・スタンダードNo.1フロム・トーキョー!!!」インタビュー）では「メロディに恋をしてるんです」っていう名言がありましたけど。

ゾン子　ああ、だからもうね、メロディとかじゃないですね。メロディがいいのはもう当たり前っていうか。

──じゃあどこで勝負するんですか？

ゾン子　気合いですね（笑）。

──気合い？

ゾン子　うん、意地と気合いのアルバムっていう感じです、自分の中では。

ユリナ　えっ？ こんな気合いとまったく関係なさそうなサウンドなのに？

ゾン子　いやいや、この“やったるぜ感”っていうのかな。

ユリナ　えー!?（笑）

ゾン子　あれ、誰もわからないの？ この感じ。

ヨーコ　ははは（笑）。わかんない。

──メンバーはみんなポカーンとしてますね（笑）。

住所不定無職はロックンロールバンドだ

──以前の住所不定無職はインディロックシーンの中に身を置きつつ、そのポップさが評価されていたと思うんです。でもこのアルバムは今後ポップミュージックシーンのど真ん中で戦っていくという宣言のような気がして。

ユリナ　んー、そうなのかな？ そう考えると茨の道ですね（笑）。

──例えばこのアルバムがCDショップで何と並べて置かれるかっていったら、ピチカート・ファイヴとかNONA REEVESとか、もうそういうものなんじゃないかと思うんですよね。

ユリナ　でもそういう場にも属せない感じはずっとあるんですけど。どこにもぴったりハマんないっていうか。

ゾン子　なんていうんだろ。あんま関係ないんですよ。まあ……ピチカートとかノーナは大好きですけど、そこと並べられるのも違和感あるし。

──そういうものなんですか。

ゾン子　やっぱり自分たちはロックンロールバンドだって思うんですよね。

ユリナ　え、待って。今の発言ちょっと耳を疑ったんですけど。

一同　あはは（笑）。

℃-want you!　うん、びっくりした！

ユリナ　わかってた？ わかんないよね。

──（笑）。じゃあゾンビーズ子さんにとってのロックンロールの定義っていうのは？

ゾン子　うーん、ロックンロールってやっぱり“憧れ”が原動力の音楽じゃないですか。私たちも最初はストーンズみたいになりたいって言ってやりはじめて。で、今はその憧れの対象がちょっとブラックミュージックとかそっち方向に変わっただけなんです。憧れに向かって「やったるぜ！」って言ってる感じはあんま変わらない。それがロックンロールだと思うんですよね。

──さっきの気合いの話と通じるものがありますね。そういうバンドの方向性はメンバー間で共有できてるんですか？

ゾン子　できてないと思います（笑）。

ユリナ　うん、私、今聞いてすごい！ そうだったんだ！って。

℃-want you!　なるほどーって思いました。

ゾン子　説明しようとしても、なんかロックンロールとかそういう単語が出てくるとすぐなんかみんな……。

ユリナ　眠そうな顔をするよね。音楽用語が出てくるとサーティワンを食べたくなるっていう病気だから。

ヨーコ　ははは（笑）。確かに。おなか減るもんね。