ナタリー PowerPush - JACK IN THE BOX 2009 SUMMER

年末恒例イヴェントが夏フェス初参入! その唯一無比の魅力を大特集

MAVERICK DC GROUP所属の人気アーティストたちが出演するライヴイヴェント「JACK IN THE BOX」。年末の恒例行事として日本武道館で行われているこのイヴェントが、今年初めて夏に実施される。

今回、会場を日本武道館から幕張メッセへとスケールアップ。常連アーティストに加え、伝説のバンドDEAD ENDやcali≠gari、筋肉少女帯、BREAKERZなどさまざまなアーティストが豪華競演を繰り広げる。

ナタリーでは、開催を記念してこのイヴェントを大特集。1ページ目では「JACK IN THE BOX 2009 SUMMER」で復活を果たすDEAD ENDの歴史や魅力を紹介し、2ページ目では出演アーティストのコメントを掲載。そして3ページ目ではイヴェントの開催情報を紹介する。

この夏大きな話題を集めること間違いなしの「JACK IN THE BOX 2009 SUMMER」。その多角的な魅力をこの特集を通して味わってもらいたい。

復活DEAD ENDを関係者が語る

独特の世界観と高度な音楽性で、1980年代後半に多くのロックファンを魅了した伝説のバンドDEAD END。1990年の活動休止から20年近い歳月を経て、彼らが「JACK IN THE BOX 2009 SUMMER」のステージで復活する。当時を知る者からは“あり得ない/実現し得ない再始動”と言われ続けてきただけに、この朗報に衝撃を受けた人も多いはずだ。また、DEAD ENDは活動休止以降も多くのバンドに影響を与え続け、その後続アーティストたちのルーツとして若いロックファンの間でも名前が認知されているという。

今回ナタリーではDEAD ENDの魅力に迫るべく、彼らとかかわりを持った当時のスタッフに接触。その中から、ビクター音楽産業(現ビクターエンタテインメント)でDEAD ENDの宣伝などを担当した石田俊一氏に、当時のエピソードや再始動に対する感想を聞いた。ここから、DEAD ENDの魅力を感じ取ってほしい。

取材・文/西廣智一

アーティスト写真

──石田さんは1988年頃にDEAD ENDと一緒に仕事をしていたそうですが。

1988年3月に彼らを担当する部署に入って、すぐに「SHAMBARA」(1988年5月発売のメジャー2ndアルバム)が出たんです。6月頃には彼らのアーティスト担当になって、日本青年館や渋谷公会堂(現C.C.Lemonホール)のライヴがあって、その前後でシングル「BLUE VICES」を録音して。渋公ライヴはビデオ収録して、12月に「Psychoscape」というタイトルで「BLUE VICES」と一緒に発売しました。1989年に入ると彼らは別のレーベルに移籍してしまい、僕自身も宣伝を離れてしまったんですよ。

──担当する前に、彼らの音は聴いていたんですか?

聴いてないです。「SHAMBARA」で初めて彼らの音に触れて、非常にカッコいいなと思いましたね。

──その頃、DEAD ENDは業界内でどう見られていたんですか?

当時はバンドブームが始まる前でしたが、いわゆるヘヴィメタルのジャンルに囚われない形で売り出していこうとして、音楽雑誌でも専門誌より一般誌で取り扱ってもらえるよう動いてました。実際にすごく評判はよかったですよ。

──石田さんはメンバーの近くにいたと思いますが、4人はどういう人たちでしたか?

4人とも割と普通のキャラでしたよ。YOU(G)はお笑いが大好きで周りを笑わせてたけど、逆にそれを表に出さないようにしてたかな。(CRAZY COOL)JOE(B)は酒が好きだったし。オフィシャルの場でしっかりしてたのは、MORRIE(Vo)とMINATO(Dr)かな。

──ビクターを離れた後も付き合いはあったんですよね?

もちろん「ZERO」(1989年9月発売のメジャー3rdアルバム)リリース時の日比谷野音も、ラストライヴになってしまった中野サンプラザも観に行きました。バンドとしては4人全員が同じベクトルに向かっているというわけではなかったので、その緊張感がいい雰囲気を生み出していたんでしょうね。

──そういう危うさが魅力でもありましたよね。

ヴィジュアル的にも「SHAMBARA」くらいまでは髪を立てていたけど、「Psychoscape」以降はMORRIEも髪を下ろしちゃったし。最初は衣装も統一感ある感じだったのに、「ZERO」の頃はみんなバラバラ。音に対しては4人ともストイックだったけど、そのほかはバラバラだったかな。

──メジャーで活動していたのは3年くらいで、それゆえに伝説のバンドと言われることが多いと思います。メンバーもバラバラに散って、それぞれ活動して、中には音楽活動が一時期途絶えてた人もいます。だから当時のファンからすると、再始動は想像できなかったんじゃないでしょうか。

身近にいた人間としても、4人がまた揃うことはないと思ってましたし。4人それぞれが別の場所で吸収してきたものを集まったときにどう吐き出すか、それが本当に楽しみですね。

──再結成というとノスタルジックなものが多いけど、DEAD ENDが復活すると聞いたときはものすごくストイックなものになるだろうなと思って。そういう意味では非常にハードルの高い再結成ですよね。

確かにね。

──当時現場でDEAD ENDに立ち会っていた人間として、これからDEAD ENDを聴いてみようという人にどう接してほしいと思いますか?

変な先入観なしに、頭の中を空っぽにして聴いてほしいよね。ジャンルの枠で括ろうとしても、どこかで「違うんじゃない?」ということになるだろうし。それと、1曲聴いただけで判断してほしくないですね。

DEAD END復活に寄せて

文/西廣智一

1984年に結成された4人組ロックバンドDEAD END。1990年の活動休止までの間に、「DEAD LINE」「GHOST OF ROMANCE」「SHAMBARA」「ZERO」という計4枚のオリジナルアルバムを発表した彼らは、その短い活動期間中に観た者/聴いた者に強烈なインパクトを残してきた。

メジャーデビュー時のメンバーはMORRIE(Vo)、YOU(G)、CRAZY COOL JOE(B)、MINATO(Dr)の4人。個性の異なる4人のカラーが混ざり合うことで、カテゴライズ不可能なオリジナル・サウンドを確立し、現在までに数多くのフォロワーを生み出してきた。ヘヴィメタル、パンク、ヴィジュアル系……さまざまなジャンルからその子孫が誕生したのは、DEAD ENDだからこそなし得た偉業と言える。

活動中は決してビッグヒットを連発するようなバンドではなかったし、武道館や東京ドームを満員にするようなスケールのライヴも行なわれなかった。しかし、彼らはいつの日か「伝説のバンド」と呼ばれるようになり、その噂はひとり歩きして実像とはかけ離れたイメージで語られるようになっていった。

そんなDEAD ENDが2009年8月15日、幕張メッセで行われる「JACK IN THE BOX 2009 SUMMER」にて約20年ぶりにライヴを行う。リアルタイムで彼らを体験できなかった若いファンにとって、そして当時DEAD ENDに魂を揺さぶられたオールドファンにとっても、歴史的な1日になることは間違いない。

当日はDEAD END以前から活躍していた44 MAGNUMや、DEAD ENDと同時代を駆け抜け数年前に全盛期のメンバーで復活した筋肉少女帯、さらにはDEAD ENDに影響を受けた若手~中堅バンドたちも多数出演。そんな中、20年ぶりに揃ったあの4人がどのようなサウンドを奏でるのか、新曲は演奏されるのかなど、その興味は尽きない。

噂や先入観をぬぐい去り、まっさらな気持ちで新たなストーリーが動き出す“その瞬間”を目撃してほしい。

JACK IN THE BOX 2009 SUMMER

会場:
千葉・幕張メッセ展示場1-3
日程:
2009年8月15日(土)
開場 / 開演:
11:00 / 13:00(タイムテーブル
前売:
10500円(全立見)
チケット:
発売中
問い合わせ:
キョードー東京(03-3498-9999)
オフィシャルサイト:
http://www.jack-itb.com/