INUWASI「SiX」インタビュー|休むことなく突き進む6人、夏に感じた変化と結果を出すことへの決意 (2/2)

解散をイメージして歌って

──ここからは最新ミニアルバム「SiX」について伺います。作品の幕開けを飾る「Rapture」は2ndワンマンのアンコールで初披露されたデジタルハードコア調のインスト曲ですが、グループにとってどのような立ち位置の楽曲なんでしょう?

がるむ 「Rapture」はいわゆるSEとしてINUWASIが登場するときに流れる曲ですね。曲の頭に「INUWASIなんちゃら」っていう言葉が入っていて。

スタッフ あれは、オフィシャルサイトの「ABOUT」の項目に掲載している英文を、ボーカルのサンプリングを使って打ち込んでいるんです。ちなみにオフィシャルサイトの「ABOUT」には英訳したINUWASIの自己紹介が載っています。

カリヲリ このSE、メンバーみんな気に入ってるよね。

INUWASI

INUWASI

がるむ 前のSEは「The Last Song」という曲で、どちらかと言うとシリアスな曲調だったんですけど、「Rapture」はエレクトロ色が強く、ポップな感じです。前のSEより短くなったことで、ステージに出るタイミングが最初わからなくて。広いステージの会場だと、自分の立ち位置に着くまでわりと早歩きしています(笑)。

──ミニアルバムはこの「Rapture」を含めて全6曲入りですが、1曲ずつ順番に話を聞いていきたいと思います。2曲目「Fike in the light」は、曲の中で何度も展開が変わっていくジェットコースター的なナンバーですね。

ライカ 夢に向かってがんばろうと燃えたぎる気持ちになるときもあれば、もうダメかも……と落ち込むときが誰しもあると思うんです。「Fike in the light」はそのリアルな感情が、曲が後半に進むにつれて表れていると思います。そんな中、すずめが歌っているラストのサビは聴いていて前向きな気持ちになれるので好きですね。曲の構成は複雑でなんでもありという感じで。クラップするところもあったりと、ファンの方が楽しめるノリのいい曲でもあるので、これからパフォーマンスを重ねるにつれてどう成長していくか楽しみです。

──そのすずめさんのパートではどんなメッセージを歌っているんでしょう。

すずめ 「何度でも正解になるまで書き直して 続きをずっと見てたいよ ぐじゃぐじゃな上書きなぞって 痛む傷が和らいだ頃に空も晴れる」という歌詞なんですけど、ストレートに気持ちが表現されていて、歌っていて胸に来るものがあります。昨日もこの部分をステージのお立ち台に上がって歌っていたら、フロアにファンの方がいてその前に自分が立っているという事実を生で感じられたというか。とにかく思いがあふれてきました。私たちの思いをまっすぐに詰め込んだ曲だと思います。

すずめ

すずめ

──続く3曲目の「ERMA」は、チップチューンっぽい音色から始まる疾走感のある楽曲です。

カリヲリ レコーディングでサビを歌わせてもらったときに、作詞してくださったスタッフさんに「解散をイメージして歌って」と言われたんです。それからはこの曲を歌うたびにINUWASIの解散を想像してちょっと苦しい気持ちになるんですけど、どちらかというとこの曲からは、自分たちの作り上げた道の先にある希望や願いみたいなものが湧いてくるように思います。曲を聴いていると葛藤の先にある希望が見えてくるイメージ。自分の中では、わりとポジティブな面もある曲だなと思いながらライブで歌ってます。

──この曲と解散が何か結びつくようなポイントがあるんですか?

スタッフ 歌唱のニュアンスとして、悲壮感が出るといいなと考えて。「最後のライブでこの曲を歌うとしたら、どんな感じで歌う?」というイメージを伝えたかったんです。

──レコーディングではその悲壮感みたいなものをしっかり出せましたか?

カリヲリ 正直、レコーディングのときは「最後のライブをイメージして」と言われてもピンと来なかったんですけど、お客さんを前にするとみんながいなくなることを想像してしまって。ライブではいい感じで悲壮感を出して歌えてるのかなと思います。

カリヲリ

カリヲリ

変な謙虚さからの離脱

──4曲目「Change」はスケール感の大きいイントロで始まる楽曲で、メロディアスでキャッチーな要素も感じられます。

はのんまゆ これはアルバムの中で一番ストーリー性がある曲で。歌詞で描かれている曲の世界観は恋愛や友情を連想できたり、曲調的には夏をイメージしやすいと思います。私はあまりいい青春時代を過ごしていないのでわからないんですけど、若い頃ってなんにでも挑戦してみたり、がむしゃらにがんばったりするじゃないですか。そういう時代を経てだんだんと大人になっていくと思うんですけど、「Change」では「あの頃の君が好きだよ」みたいに歌っていていいなと思います。その一方で、この曲を聴いていると変化するのも悪いことじゃないなと感じられて。ここまで変化しながら活動してきたINUWASIにも重なる歌詞で、深みのある曲だなと思います。

──INUWASIの歩みにも重ね合わせることのできる曲だと。

はのんまゆ はい。変化という1つのテーマがしっかり表れている曲だと思います。

はのんまゆ

はのんまゆ

──続いて5曲目「X.O.S」は、和テイストの曲です。

イヴ 「X.O.S」は、今までのINUWASIの曲とはだいぶ違う雰囲気で。巫女さんをイメージした振付とか、和を連想させる部分が多いんです。ライブではまだそんなに披露してないんですけど、振付をお客さんに浸透させて、ファンの方をたくさんお祓いしたいなと。

──お祓い?

イヴ お祓いが曲のテーマなんですよ。「祓いましょう」って歌詞もあるんです。

すずめ 下を向いてないで、みんなではっちゃけて楽しく遊ぼう!みたいな。

イヴ 全部祓ってしまおうという勢いがあって、振りも楽しい感じになっています。

イヴ

イヴ

──なるほど。そしてラストの楽曲が「Landscape」です。このミニアルバムを締めくくるにふさわしい疾走感とポップさがありつつ、歌詞に深みのある楽曲ですね。

すずめ 「Landscape」は、「最高と最低のループ 乗り越えて近づいてる 言葉に出来ないことを確かめるためまたここに居る」という歌詞をはじめ、いろいろと乗り越えながら自分たちの目指すものに近付いていくことを描いた曲で。「私たちにはまだ無理かも」とか、そういう変な謙虚さからの離脱を歌っている曲なんです。難しいこともたくさんあるけど、そのルートを変えずに舵を取って進んでいく、という決意が力強く描かれていて大好きです。

がるむ 「Landscape」の歌詞にはいろんな思いが込められているんです。「最高と最低のループ」という歌詞には、今のINUWASIは最高だけどこの先何があるかわからない、いい時期や悪い時期を繰り返して夢に近付いていこうという意味もあって。あと「夜のカラフル」という歌詞では、ライブを通していろんな気持ちになれる、いろんな感情が生まれる夜のことをカラフルと表現しているんだと思います。私はそう解釈して歌っています。

──サウンド面ではどんな楽曲になっていると思いますか?

がるむ ボーカルチョップやピアノの音が多用されていて、明るくて元気な感じですね。さやかさんが振付を手がけてくださって、ファンの方も一緒に踊れる曲になってます。「Fike in the light」や「ERMA」もそうなんですけど、INUWASIの曲ってわりと重めな意味が歌詞に込められていても、聴いている人を重い気持ちにさせない、元気でリズミカルなサウンドになっているんです。逆に言うと、どれもお客さんに楽しんでもらえる曲になってるけど、歌詞を見ると、意味が深い言葉が並んでいることが多いなって。

がるむ

がるむ

INUWASIとしてちゃんと結果を出したい

──10月23日には東京・WWW Xで3rdワンマンライブ「INUWASI Tokyo Oneman Tour "I"」が開催されます。2ndワンマンよりさらに会場のキャパが大きくなっていますが、どのようなライブにしたいか、最後に1人ずつ聞かせていただけますか。

イヴ まずはチケットをソールドアウトさせて、1人でも多くの人にライブを見てほしいです。たくさんの方と同じ時間を共有して、INUWASIを知ってよかった、同じ時間を共有できてよかったという気持ちにさせられるライブをしたいです。

ライカ 今の勢いを止めず、次へつなげられるような過去一番のINUWASIのライブを皆さんにお届けしたいと思っています。今、私たちは持ち曲が42曲以上あるんですよ。それを音源で聴くよさもあると思うんですけど、ライブの場でしか感じられないINUWASIのリアル、非日常的な空間を味わってもらいたいです。INUWASIなしでは生活できないくらい虜にさせたい。がっつり心をつかめるようなライブをしたいと思います。

ライカ

ライカ

はのんまゆ この夏の経験を経て、勝たなきゃ意味がないと強く感じたんです。前回のインタビューでも言ったと思いますが、アイドルファン以外にも知ってもらえるグループになりたい。そのためには、1つひとつちゃんと考えて結果を出していかなきゃいけないから、ワンマンのチケット完売にも私はこだわっているんです。とにかく次につなげられるように、INUWASIとしてちゃんと結果を出したいです。

カリヲリ ワンマンライブって、お客さんの期待も大きいと思うんです。絶対にいいライブを見せることが大前提なので、当日に向けて自分の課題に真正面から向き合っていきます。そして10月23日のワンマンが今の目先の目標なんですけど、私たちはもっと先を見ていて。チケットをソールドアウトさせていいライブをすることで、もっと上を目指していきたいです。

すずめ 楽曲1曲を作るのにも、いろんな作家さんや社長さんがすごくこだわっていて。関わっているすべての人が妥協せずに本気で向き合ってくれているからこそ、ステージに立つ私たちも妥協せずに本気で挑みたいと思っています。曲を生かすのも私たち次第ですし、全力でパフォーマンスするつもりです。ワンマンの先の未来も思い描いているので、ファンの皆さんと一緒にライブを成功させて、いい意味でWWW Xを通過点にして未来に向けて進んでいきたいです。

がるむ 今回のライブはINUWASIがやってきたワンマンの中でも特に内容が豪華になるので、それもぜひ楽しみにしていてほしいです。これからももっと大きな会場でINUWASIを観たいと思ってもらえるライブにしたいですね。このワンマンを通してよりたくさんの方にINUWASIを好きになっていただけたらうれしいですし、この先もファンの方と一緒に大きくなっていきたいと思います。

INUWASI

INUWASI

ライブ情報

INUWASI Tokyo Oneman Tour "I"

2022年10月23日(日)東京都 WWW X

プロフィール

INUWASI(イヌワシ)

犬と鷲の融合“ハイブリッドラプター”をイメージした6人組アイドルユニット。芸能プロダクション・MAPLE INC.に所属し、2020年2月にデビューを果たした。黒い衣装を身にまとい、ハードコアの楽曲を歌うというスタイルで活動をスタートさせ、同年11月に1stミニアルバム「Aquler」、2021年3月に2ndミニアルバム「Thanatos」をリリース。4月に東京・Veats Shibuyaで1stワンマンライブを開催し、11月に1stフルアルバム「DUTY」を発表した。2022年に入ってからも、3rdアルバム「天秤」のリリース、東京・Spotify O-WESTでの2ndワンマンライブ開催、新作ミニアルバム「SiX」の発売と精力的な活動を展開。10月23日には東京・WWW Xで3rdワンマンライブを行う。