幾田りら2ndアルバム「Laugh」インタビュー|音楽に貪欲に走り続けた3年間の軌跡 (2/3)

タイトル「Laugh」に込めた思いとコラボ曲について

──最後の「タイムマシン」の前に幾田さんの原点を表現したような「DREAMER」、その前に3年前に発表された「P.S.」が配置されている一方で、序盤には「Actor」や「恋風」と最新の楽曲が配置されています。幾田さんの歴史をさかのぼっていく構成のような印象も受けたのですが、曲順はどう決めたんですか?

言われてみれば確かにそうですね。曲順は、私とチームメンバーで話し合って、聴いていて心地いい順番で並べていきました。でも「タイムマシン」は、最初から「これがアルバムの最後の曲になるだろうな」とイメージしていましたね。ここからまた1歩を踏み出すため、3年間の軌跡をしっかりと振り返るように締めくくりたい、と思いながら作っていました。デッドギリギリで、「すみません……」と言いながら(笑)。

──(笑)。アルバムのタイトル「Laugh」は直訳すると「笑う」という意味ですが、いつ頃、どんな思いを込めて決めたんでしょうか。

アルバムリリースの具体的な話が見えてきた頃に考えました。幾田りらとして、YOASOBIのikuraとして、2足のわらじを履きながら歩いてきたけど、私自身は1人の人間である。その二面性を含め、自分自身の内面を投影するアルバムになったらいいなと思っていて。そうして過ごしてきた3年間の作品を集めたので、より自分のありのままを表現したアルバムだとわかるタイトルにしたくて。最初は「Rough」のほうで考えていたんです。

──「ラフな、自然体な」という意味の「Rough」。

はい。一方で「雑な、荒削りな」という意味もあったので、どうしようかな……とほかの案も考える中で、「りら」のスペルが「lilas」ということから、「L」で始まる「Laugh」にたどり着きました。自分の中で、笑顔であることは生活におけるモットーなんです。3年間の中でしんどいときもあったけど、そんな中でも、自分を支えてくれる周りのスタッフさんたちがいるし、笑顔でいられる自分を保つ努力を欠かしたくないという思いがずっとあって。いろんな「ラフ」という言葉にかけて、自分の思いを込めたタイトルです。

幾田りら

──幾田さんの顔を思い浮かべるとまず明るい笑顔が浮かぶので、そんなご自身を体現したようなタイトルですね。そしてアルバムのDISC 2には、これまで幾田さんがさまざまなアーティストとコラボしてきた18曲が収録されています。

私ってコラボレーションがすごく好きなんだな……と、改めて思いました(笑)。どれも各アーティストさんのご協力があって収録できたので、本当にありがたい限りです。自分が作らせていただいた曲もありますが、ほとんどが作っていただいた曲なので、そのアーティストさんのクリエイティブの大きな海の中で泳がせてもらって、そこで初めて知る自分の歌声や、出会える表現がたくさんありました。

──それぞれの楽曲をどう表現しましたか?

自分の歌声を使って、役になりきるような感覚で歌った曲が多いです。例えば「夢見る16歳」は、シャネルズさんはもちろん、小泉今日子さんなども歌われている中で、「幾田りらが表現したらどうなるかな」と考えて、16歳くらいの自分を思い出して歌ってみました。「SWEET MEMORIES」も、幾田りらの成分の中で表現できる初々しさを演じた感覚があります。ピーナッツくんとの「TIME TO LUV」は最近のコラボ曲ですが、初めてオートチューンを使ってレコーディングしました。ピーナッツくんが私に「ミューズ的な存在でいてほしい」と言ってくださったことがヒントになって、包み込むような優しさがありつつ、どこか底知れない怖さがある、理想の女性像をイメージして歌いました。そんなふうにアーティストさんごとの世界観の中で、自分の声がいかにスパイスになれるかをすごく考えましたね。

──最近ではZICOさんのほか、スペインのシンガー、パブロ・アルボランの「KM0」、フランスのラッパー、オレールサンの「La Fuite En Avant」に客演で参加したり、「百花繚乱」の英語版「In Bloom」をロンドンでレコーディングしたり、COACHのグローバルアンバサダーに就任したりと、幾田りらとしてもグローバルな活躍が増えていますね。

ここ数年のYOASOBIの活動も含め、自分の歌声の存在を知って皆さんがオファーをくださっていると思うので、1つひとつの活動が実を結んでいるようでありがたいです。ただ、幾田りらの活動においては、世界に向けて発信したいという思いはそんなに強くなくて。自分の想像もつかないところまで届いたとしたら、もちろんすごくありがたいのですが、私が作る曲は、自分の日常を心の日記に書き留めるような感覚で音楽にしていて。それが誰かのもとに届いたときに、お守りのようなものになってくれたらうれしい。そう思いながら曲を作っています。

ツアーでは皆さんの3年間の思いやストーリーも感じたい

──5月には「Laugh」を提げたツアーを行いますが、兵庫と神奈川のほか、韓国・ソウルでの初単独公演も含まれていますね。

初めてのことで、今からドキドキしています。韓国で聴いてくださっている方の反応はSNSのコメント欄などでしか感じられていないので、いざステージに立って、お客さんが1人もいなかったらどうしよう……と(笑)。でも早く、聴いてくださっている方々に近い距離で愛と感謝を届けたいですね。

幾田りら

──国内公演もアリーナ規模ということで、3都市のZeppで開催された「Sketch」ツアーとはひと味違う内容になりそうですね。どんなふうに「Laugh」の楽曲を表現したいですか。

演出的な部分はまだ計画中ですが、ライブとしては「Sketch」のツアー以来3年ぶりなので、大変お待たせしてしまったな……と。本当にファンの皆さんにすごく会いたかったですし、自分が3年間向き合い続けた音楽を披露させていただくので、その過程で自分が感じていたことを、しっかりと表現したいです。そして、「ひさしぶり!」と言い合うように、来てくださる皆さんの、3年間の思いやストーリーも感じたい。初めて来てくださる方がほとんどだと思いますが、会えなかった時間が長い分、私の作った音楽に対して感じたことをそれぞれ持ち寄って、一緒に分かち合う空間にしたいです。

──2026年はYOASOBIのアジア10大ドームツアーも開催予定で、また忙しい日々が続くと思いますが、幾田りらとしては「Laugh」を完成させた今、どのように活動していきたいと考えていますか?

どうしても体が1つなので、ツアーやライブはスケジュールを調整しなければいけないのですが、自分が作っていく楽曲に関しては、今以上に貪欲に、音楽的なチャレンジをしていきたいです。「Laugh」を経て、幾田りらの歌声により可能性を感じていて。この声をもってどういう曲を書いていけるのか、自分でも自分にすごく期待しているんです。まだまだやりたいことがたくさんあるので、それをたくさん表現していきたいですね。

2026年1月15日更新