栄養ドリンクみたいな1曲になったら

──そんな井手さんから3rdシングル「つばさ」が届けられました。

収録される3曲とも、曲調がすごく明るくて前向きな感じなんです。今の暑い季節にピッタリかなって思ってるんですけど。

──タイトル曲は「パンテーン」のCMソングとしておなじみですね。今年3月にリリースされた「ヒカリ」に続き2度目の起用で。

2曲続けて使っていただけたことがすごくうれしいです。先日、札幌日大高校の学園祭に出させていただいたんですけど、「シャンプーは『パンテーン』使ってるんですかー？」ってみんなに訊かれて。だいぶ「パンテーン」のイメージが付いてるみたいです（笑）。ありがたいですね。

──曲はどのようなイメージで書き下ろしたんですか？

今回のCMには競泳選手の寺川綾さんが出演されるということで、大きな夢に向かって一生懸命がんばってる女性を応援する曲を書こうと思ったんです。女性のがんばってる姿が、金色でキラキラしてる「パンテーン」のシャンプーのイメージと重なるところがあったし、髪の毛自体も1日じゃキレイにならないから毎日ちゃんとケアしてあげないとダメですからね。だからそういうテーマにしようと思って。

──なるほど。日々の努力あってこそ、キラキラした女性になれるんだと。

ただ、今まで自分自身に向けた応援ソングを書くことは多かったんですけど、誰かに向けた応援ソングは書いてこなかったので、どうやって書こうかなっていうのはちょっと悩みましたね。

──自分以外を対象とした応援ソングを書いてこなかったのはどうしてなんでしょう？

私には、自分が見ることのできないほかの人の心の中を詳しくは書けないから。それで薄っぺらい曲になってしまうのがちょっと怖かったんです。でも、がんばってる人の姿を見て、それを私がどう思うかを素直に書けばいいんだなっていうことに今回気付いて。そうしたら自分自身に向けて書く応援歌だったら絶対に出てこない言葉、例えば「シンデレラ」とかを使ったりして、新しい発見がいろいろあってすごく面白かったですね。

──女性らしいワードがたっぷり散りばめられていますよね。

「ティアラ」とか「ガラスの靴」とか「白いピアス」とか、ちょっとお姫様を連想させるようなかわいい言葉を選びました。メロディが強い分、そこに乗る歌詞にはちょっとギャップがあったほうがいいんじゃないかなって。

──メロディには強さとともに壮大さや美しさもありますよね。すごく印象に残ります。

ありがとうございます。応援ソングというイメージだったので、軽いスタッカートのようなメロディではなく、壮大でドラマチックな、少し低音の響く重い感じの流れがいいなって思ったんです。で、サビの部分では強いメロディで背中をしっかり押してあげたいなって。アレンジャーの小林建樹さんと何度もやり取りをさせていただいた上で完成したサウンドによって、より前向きな楽曲になったと思います。

──歌うのもすごく気持ち良さそう。

歌ってて抜ける感じがするので、すごく気持ち良いです。この曲はライブでも何度か歌っているんですけど、サビでグッと広がる展開に、皆さん「おお！」っていう反応をしてくださるのでうれしいです。

──初めて明確な対象を思い描いて作った応援ソング、女性にどう響くかが楽しみですね。

どんなふうに受け取ってもらえるかすごく気になりますね。「ああ、今日は疲れたなあ」とか「ここががんばりどきだ！」とか、そういう気持ちのときにこの曲を聴いて「よっしゃー！」って思ってもらえたらいいな。皆さんにとってのお薬、栄養ドリンクみたいな1曲になったらうれしいです。

──これ、井手さんご自身で聴いても元気が出るんじゃないですか？

そうですね。自分にも響く曲っていうのが一番だと思うので、私もこれをお薬として使っていきたいと思います（笑）。