BLACK SHEEP RECORDSは実家みたい
──そんな2組が、BLACK SHEEP RECORDSという同じメジャーレーベルに所属することになりました。レーベルの先輩であるヒスパニから見たBLACK SHEEP RECORDSってどんなレーベルですか?
とも ディレクターがこっち見て笑ってますけど(笑)。すごくいいレーベルだと思います。まあ俺らしかいないんで、どういうレーベルかって言うのはあんまりないと思うんですけど。
Tack朗 実家みたいな感じですね。正直言うと、僕らは“メジャーファック”なバンドだったんですけど、メジャーとかインディーズとかじゃなくて、誰と仕事するかってところが一番大事だった。
とも ディレクター、泣いちゃうよ(笑)。
Tack朗 ディレクターと話をしていくうちに「あれ? この人頭ぶっ飛んでんぞ?」って思って、本当に信頼できる大人っているんだなって思えるようになったので所属を決めた。BLACK SHEEP RECORDSに所属して今年で3年目になるんですけど、本当に命がけで俺らのことを守ってくれるんです。いろんなところで打たれながら、擦り切れながらも俺らの意見を通してくれるんです。
──“メジャーファック”だったとおっしゃいましたが、3年経ってみてそのイメージは変わりました?
Tack朗 うーん……実際自分たちがメジャーバンドだってあんまり思ってなくて。ともは?
とも まあメジャーデビューしてから、キャビアしか食ってないですけどね。
Tack朗 そうですね、キャビアしか……。
KICHIKU マジ? じゃあ俺らも間もなくキャビア食えるようになるん?
Tack朗 まあ、がんばれよ(笑)。
KICHIKU 僕らも「メジャーに行きたい」っていう気持ちは別になかったんですけど、自分たちの環境を変えたいって思ってて。で、2017年に結成10周年を迎えるから、そこで変えられるようにと動き始めた頃に、ヒスパニとレーベルのディレクターと出会ったんです。ヒスパニと一緒にツアー回ってるときに、ディレクターが俺らのライブでモッシュしてて。「そんなことある?」って思って、俺らは迷いなく、ここに入るって決めました。
──BACK LIFTは先月メジャーデビューを果たしたわけですが、何か変化はありますか?
KICHIKU まだ実感もそんなにないけど、やっぱり気は引き締まってますね。今までなんとなくやってきてしまったことも、ちゃんと考えて動かんとなと。もう少しで結成して10年経ちますけど、1から始めるくらいの気持ちです。
三者三様のライブ観
──ヒステリックパニックの新作「LIVE A LIVE」のテーマが「ライブ」ということで、それぞれ「ライブ」をどういうものだと思っているか教えてもらえますか?
とも よく「お腹空いた」くらいの感じで「あー死にたい」って言う人いるじゃないですか。でもライブではそれを思う暇すらない。だから「死にたい」って言ってるヤツでも問答無用で生きざるを得ないのがライブなんじゃないかなと。そういうことを歌ったのが今作の1曲目「A:LIVE」です。この曲は「死にたいって言ってるやつをライブで殺す」っていうテーマで。お客さんからしたら、「あと3日がんばればライブ行ける」とか「今週テストだけど乗り切ったらライブだ」とか、ライブがあるからバイトとか仕事とかがんばれるっていうことがよくあると思うんですけど、それってバンド側も一緒で。「今週末ライブだからそれまでにコンディション整えておこう」とか「それまでどうやって過ごそう?」とか、ライブが生活の中心になってるんですよね。ライブってやっぱり楽しいので。
Tack朗 僕は僕たちの伝えたいことと、お客さんの得たいものの答え合わせの場所だと思ってます。だから本気で演奏するし、お客さんも本気でぶつかってくるけど、「僕たちはここでこうしてほしいのに、こうならなかったな」とか「思ってもないところで盛り上がったな」とかそういう発見がたくさんあって。そういうのが面白いです。
KICHIKU 僕は自分がライブを観に行ってたキッズのとき、ライブはすべてを解放できる空間だったんで、自分が演奏する側になっても自分もそうでありたいし、観に来た人にもそういう場であってほしいなと。さっきTack朗が俺らのことを「ハッピーだ」と言ってくれたけど、ハッピーとかピースフルっていうのが自分らの味やし、表現したいものだから、そういうものを共有したい。あと自分がステージで演奏しているときに、お客さんが踊ってくれたり歌ってくれたり、拳を上げてくれとるのを見ると「ああ、音楽やっとってよかったな」って思う。だからライブは、自分も、観に来た人も生きる力をもらえる場かなって。
とも 俺、正直言って、お客さんは二の次なんですよね。お客さんが楽しい、楽しくないってことより、俺自身が楽しいか楽しくないかが一番なんで。自分のために音楽やってるんで。自分の承認欲求を満たすためだけにやって、そんな俺のやってることに「あ、それいいっすね」とか「カッコいいっすね」って思ってくれる人がいたら、「じゃあ一緒にバカやろう」って思う。もちろんお客さんを楽しませるのもバンドマンの役目だと思うんですけど、それに寄せるのは違うなと思ってて。お客さんのことも考えつつではあるんですけど、自分が一番やりたいことをしているっていうのが大前提。それは曲作りにしても、ライブにしてもそう。だからKICHIKUが「拳上げてくれるとうれしい」って言ってたけど、俺は「俺のために拳上げろや」って思いながらライブやってます。
シンプルなBACK LIFTと主張の激しいヒスパニ
──お互い、ソングライターとしてはどのように見ていますか?
KICHIKU 曲を作るTack朗とか$EIGO(G, Cho / ヒステリックパニック)については「こんな構成をどうやって思い付くんやろう?」って思ってる。BACK LIFTはシンプルなのが売りでもあるから、ヒスパニの凝った構成がほんまにすごいなと。この間、YU-PONが骨折して、2回だけ$EIGOにライブを手伝ってもらったんだけど(参照:BACK LIFTギタリストYU-PONが骨折、明日のライブ助っ人はヒスパニ$EIGO)、「構成が簡単すぎて覚えられない」って言ってて。
Tack朗 めっちゃわかる、それ!
KICHIKU 「頭に入ってこやん」って言うから、「こんな簡単なのに!?」って聞いたら、「簡単すぎてわからん」って。
Tack朗 16小節同じことをするのが無理なんだよね。
KICHIKU なるほどな。飽きるん?
Tack朗 飽きるって言うか……なんか脳みそが違う。「これを8小節やったら次はこれで、これだな」って覚えてるから……。
KICHIKU ああ、だから「次にこれ……に行かないんや!」みたいな?
Tack朗 そう。「あれ!? まだ展開が変わらない!」って。そもそも、バンドの構成が違うからね。BACK LIFTはKICHIKUがメインボーカルで、YU-PONとHEAVIN(都築'HEAVIN'史生[Dr, Cho])の2人がコーラスをするっていうシンプルな編成のバンドだけど、俺らは5人だしトリプルボーカルだし。もし俺がBACK LIFTのソングライターだったら、歌に重きを置いて、いかにいい歌を作って、いい歌詞を書いて届けるかって考えると思うんだけど、ヒスパニは曲によって焦点が変わるんだよね。まず「サビを誰が歌うか」っていうところから毎回違うから。
KICHIKU そう、ほんまに全然違うよな。$EIGOが俺らとスタジオ入ってるときに「メロコアみたいな曲作ってきたからちょっと聴いて。めっちゃバックリっぽいんやけど」って曲を持ってきたんやけど、聴いたら完全にヒスパニやった(笑)。でもそうやって俺らにない刺激をくれるから、面白いソングライターたちやなって思う。
とも BACK LIFTはKICHIKUがほぼ主導権握ってるやん? でもうちは全員が均等に主導権を握るというか。メロディと曲の軸はTack朗と$EIGOが作るけど、例えばベースもけっこう主張したがりなんで、ボーカルのメロディを無視したベースのフレーズとか持ってきたりして。いい意味でイニシアチブを取る人間がいないから、それぞれが自分のやりたいことを入れてくる。そこの違いがまず大きいのかもね。
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ピースフルな歌詞嫌いなんですよ
- ヒステリックパニック「LIVE A LIVE」
- 2017年6月21日発売 / BLACK SHEEP RECORDS
-
[CD]
2268円 / VICL-64803
- CD収録曲
-
- A:LIVE
- ガチ恋ダークネス
- 月曜日が始まんで~
- Head Bang!
- 全日本ぬるぬる音頭
- ブルーバード
- swan song
- BACK LIFT「BLANKS」
- 2017年5月24日発売 / BLACK SHEEP RECORDS
-
[CD]
1944円 / VICL-64791
- CD収録曲
-
- White
- Don't worry be alright
- Bitter
- You're A Fool
- THE LINKg
- ヒステリックパニック「DEAD or ALIVE」TOUR 2017
-
2017年8月29日(火)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO(※ワンマンライブ)
2017年9月1日(金) 千葉県 千葉LOOK
2017年9月2日(土) 埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2017年9月9日(土) 長野県 ALECX
2017年9月10日(日)富山県 Soul Power
2017年9月15日(金)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2017年9月17日(日)山梨県 KAZOO HALL
2017年9月23日(土・祝)青森県 八戸ROXX(※ワンマンライブ)
2017年9月24日(日)岩手県 the five morioka
2017年9月26日(火)茨城県 mito LIGHT HOUSE
2017年9月27日(水)福島県 郡山CLUB #9
2017年10月5日(木)愛媛県 松山サロンキティ
2017年10月6日(金)高知県 X-pt.
2017年10月14日(土)新潟県 CLUB RIVERST
2017年10月15日(日)群馬県 高崎club FLEEZ
2017年10月21日(土)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
2017年10月22日(日)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
2017年10月26日(木)北海道 CASINO DRIVE
2017年10月27日(金)北海道 札幌KRAPS HALL(※ワンマンライブ)
2017年10月29日(日)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX(※ワンマンライブ)
2017年11月3日(金・祝)石川県 vanvanV4(※ワンマンライブ)
2017年11月5日(日)東京都 TSUTAYA O-EAST(※ワンマンライブ)
2017年11月11日(土)広島県 SECOND CRUTCH(※ワンマンライブ)
2017年11月12日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO(※ワンマンライブ)
2017年11月18日(土)福岡県 DRUM Be-1(※ワンマンライブ)
2017年11月23日(木・祝)香川県 DIME(※ワンマンライブ)
- BACK LIFT「BLANKS TOUR 2017」
-
2017年7月6日(木)大阪府 OSAKA MUSE
2017年7月14日(金)東京都 TSUTAYA O-WEST
2017年7月21日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- ヒステリックパニック
- 2012年に名古屋で結成されたラウドバンド。現在はとも(Vo)、Tack朗(G, Vo)、$EIGO(G, Cho)、おかっち(B)、やっち(Dr)の5人で活動している。2013年7月にタワーレコード限定でリリースした4曲入りCD「4U」がヒット。ANGRY FROG REBIRTH、HER NAME IN BLOODといったバンドのツアーにゲスト出演し、各地で知名度を上げる。2015年4月にシングル「うそつき。」でメジャーデビュー。7月にフルアルバム「オトナとオモチャ」、2016年4月にシングル「シンデレラ・シンドローム」、7月に2ndフルアルバム「ノイジー・マイノリティー」をリリースし、2017年6月にアルバム「LIVE A LIVE」を発表した。
- BACK LIFT(バックリフト)
- 2007年に名古屋で結成されたスリーピースバンド。メンバーチェンジを経て、現在は小林'KICHIKU'辰也(Vo, B)、深谷'YU-PON'雄基(G, Cho)、都築'HEAVIN'史生(Dr, Cho)の3人で活動している。2010年よりTRUST RECORDSに所属。3枚のフルアルバム、2枚のミニアルバム、3枚のシングルをリリース。2017年にミニアルバム「BLANKS」をビクターエンタテインメント内のレーベル・BLACK SHEEP RECORDSよりリリースし、メジャーデビューを果たした。