「ヒプノシスマイク」Buster Bros!!! VS 麻天狼 VS Fling Posse 木村昴×速水奨×白井悠介|三つ巴のFinal Battle! リスペクトと感情があふれ出た「7th LIVE」を振り返る

心を照らしたシンジュク、感情が爆発したシブヤ

──速水さんは今回のライブで印象に残っていることは?

速水 シンジュクの1st Battleの相手はナゴヤだったので、ナゴヤのメンバーと一緒になることが多かったんですが、本当にナゴヤの3人が楽しそうだったんですよね。今回の「7th LIVE」でも、これから遠足に行く子供ぐらいのテンションで(笑)。それぐらいはしゃいでるナゴヤとは反対に、シンジュクは裏ではおとなしいんですが、木島くん(伊弉冉一二三役の木島隆一)はステージに上がるとホストのテンションになるし、伊東(健人)くんも観音坂独歩に入り込むんですよね。そんなシンジュクが、「TOMOSHIBI」ではすごくアダルトに、静かに、丁寧に、心を照らすようにひと言ずつ思いを紡いで、言葉をラップにして、皆さんに届けるんですよね。今回のライブではそれが満足いく形で披露できたと思うし、歌い甲斐がありましたね。ステージの照明もすごく綺麗で、照明さんや舞台監督に感謝したいですね。ただ、下から照らされてるのであとで見返して「……ちょっと僕ら、顔怖いね」とメンバーの中では話しましたが(笑)。

白井 シブヤは「Black Journey」で壮馬(夢野幻太郎役の斉藤壮馬)とノヅ(有栖川帝統役の野津山幸宏)が下段のステージにいて、僕は上段のステージから2人を追いかけるという演出があったんですよね。でも(飴村)乱数が上段のステージから降りて、2人に駆け寄ることに対して、なぜそういう心境になるのかという動機の理解が、僕には難しかったんです。その演出のままやると、曲の内容と動きに齟齬が生まれてしまうと思ったし、正直しっくり来てなかった。それでその話を本番前に壮馬とノヅにしたら、「じゃあサビが終わったら僕らが『乱数!』って呼びかけるのはどうですか?」と壮馬が提案してくれて。それを練習する時間もなかったので、完全にぶっつけになってしまったのですが、本番で壮馬とノヅがぴったり声を合わせて「乱数!」と呼びかけてくれて。その瞬間に、僕はもう乱数として「2人のもとに行かなきゃ!」って、もうDJ U-ICHIさんの頭を飛び越えて2人のもとに駆け寄りたかったぐらいの気持ちになって(笑)。それぐらい、すべてが自然にできたライブでしたね。

──「6th LIVE」でのヒリヒリした感触とはひと味違いましたね。

白井 「6th LIVE」でのヨコハマとのバトルは、僕もほかのメンバーも気合いが入りすぎてたし、勝ちたいという気持ちが強すぎて、感情が制御できないぐらいだったんですよね。でも、今回はある程度は気持ちを制御しながらライブできたんじゃないかな……と思っていたのですが、2日目の「Stella」で感情が爆発して(笑)。

──それはなぜ?

白井 あの曲は夢野幻太郎が書いた物語というストーリー性のある歌詞なので、パフォーマンス的にも脚色や演出がしやすいんですね。それで今回はしゃがんでスタートして、自分の番がきても抜け殻のようなテンションでやってみたんですが、掛け合いのパートに入ったところで、感情が爆発して思わず涙が流れてしまって(笑)。でも、それぐらいエモーションが刺激されるようなタイミングが今回は多かったし、それはお客様がいてくれたからだと思いますね。

火柱に盛り上がるDragon Ash

──そして今回のファイナルバトル曲「SHOWDOWN」は、 Dragon Ashがプロデュースを手がけています。そして「7th LIVE」ではDragon Ashの演奏でBuster Bros!!!、麻天狼、Fling Posseが歌うという壮絶な光景が繰り広げられました。

速水 めちゃくちゃ熱かったですね!

白井 それは物理的にですか(笑)。

速水 それも含めてね(笑)。

木村 火柱がぼんぼん上がりまくりましたから(笑)。

白井 もう本当にすごかった。感情的にももちろん燃え上がったし。

木村昴

木村 初日のリハーサルで、Dragon Ashさんと一緒に「SHOWDOWN」のリハーサルをさせていただいたんですが、リハに入る前に、舞台監督が「曲中で火柱や特効がいろいろ出ます」とアナウンスしたんですね。それで、リハで実際に火柱が立った瞬間に、Kj(Dragon Ash)さんが「やべー!」ってバンドメンバーに話しかけていて、みんなめっちゃ盛り上がってたんですよね。

速水 あはは。

木村 その光景を見て、「『ヒプノシスマイク』のライブ演出でDragon Ashのテンションを上げられた!」というのがすごく誇らしかったし、ゲストとしてお招きしてるんだけど、同時に一緒にこのライブを楽しんでもらえる仲間なんだ、と、おこがましいようだけど感じることができて。

白井 でも、まさか生バンドで歌わせてもらって、そのバンドがDragon Ashという日がくるなんて思ってなかったですよね。

木村 誰も想像つかないよね(笑)。Dragon Ashさんと一緒にパフォーマンスするんだよ?ありえない!(笑)

速水 リハが終わったあと、昴くんが「思ってる以上に僕らもエネルギーを出したほうがいいです。バンドに負けないぐらいのパワーを出しましょう」とディレクションをしてくれて。だから僕も言葉をもっと前に投げるような感覚でやらないとなと思ったし、そのアドバイスがあったからこそ、今回の「SHOWDOWN」のパフォーマンスができたと思いますね。

木村 ありがとうございます。

白井 イケブクロもシンジュクもとにかくすごいパワーを出してきたし、シブヤとしてもこの曲に対して改めてひと皮むけないといけないと思って、気合いマシマシ、テンションアゲアゲで歌いましたね。だからこそ、バトル曲なのに一体感が感じられるというか、僕ら3ディビジョンとDragon Ashのエネルギーが相乗した、今回しか出せない「SHOWDOWN」になったと思いますね、本当に全員がひとつになった瞬間だったと思います。

どのチームが勝っても心から「おめでとう」と言える

──確かにリスナーとしても、1つの束になったエネルギーを感じました。しかし、現在行われているファイナルバトルでは、勝敗を決するという残酷な事実もあります。

速水 いやあ、本当に3ディビジョン同時金メダルでいいんじゃないかな(笑)。

木村 ははは。

速水 後ろ向きな意味じゃなくてそう思いますね。やっぱりライブを通して「イケブクロ好きだな」「シブヤ好きだな」と思ったし、どのチームが勝っても心から「おめでとう」と言えると思う。しかしシンジュクはディフェンディングチャンピオンとしての意地もあるし、応援してくださる皆さんには、また優勝の光景を見せていただきたいというのも正直な気持ちで。

木村 わかります。3ディビジョンとも本気でこの曲に向かっているし、3ディビジョンとも見事なラップをしてるんですよね。イケブクロとしても今回は本当に勝ちたい気持ちが強いし、優勝したいんだけど、一方でどんな結果であれ、悔いはないとも思ってます。それくらい、今回の音源やライブは、自分たちの力を出し切ったし、それはすべてのディビジョンがそうだったと思うんですね。だからどんな結果であれ、リスペクトする気持ちに変わりはない。ただ、だからこそ優勝したいっていう気持ちも半端じゃないですね。

白井 全員が死力を尽くした、悔いのないライブになったと思うし、満足しているからこそ、その判断は皆さんの手に委ねるしかないと思います。今回は前回と違って3択で、投票も3パターンあるので、投票される方の頭を悩ませてしまうと思うんですが、それがどんな結果であれ、誇らしく受け止めたいと思いますね。この3ディビジョンでファイナルバトルを戦えたことが本当にうれしいし、楽しい。ただ、もちろん勝ちたい気持ちはほかのディビジョンには負けません。

左から木村昴、速水奨、白井悠介。

速水 ……みんな悔いがないってことは、やっぱり3ディビジョン同時優勝でいいんじゃないかな(笑)。

木村 完全に票数が一緒だったらそうなるんじゃないですか?

白井 天文学的な確率だけど(笑)。でもそれだとうれしいかもな。それぐらい全員をリスペクトしてるんです。

木村昴(キムラスバル)
6月29日生まれ、ドイツ出身の声優。2005年より、テレビアニメ「ドラえもん」のジャイアンこと剛田武の声を担当している。ラップに造詣が深いことで知られ、2019年にはラッパーの掌幻とラップユニット“掌幻と昴”を結成した。
速水奨(ハヤミショウ)
8月2日生まれの俳優・声優。劇団青年座養成所、劇団四季での活動を経て、1980年のニッポン放送主催「アマチュア声優コンテスト」でグランプリを受賞し、劇場版アニメーション「1000年女王」で声優デビューを果たす。主な出演作は「超時空要塞マクロス」(マクシミリアン・ジーナス役)、「本好きの下剋上」(フェルディナンド役)、「BLEACH」(藍染惣右介役)、「ご注文はうさぎですか?」(チノの父役)
白井悠介(シライユウスケ)
声優。2015年に出演した「美男高校地球防衛部LOVE!」で話題を集め、以降、「アイドルマスター SideM」「アイドリッシュセブン」など話題作に数多く出演。「理想の緑」をブランドアイコンとする、オリジナルアパレルブランド・MIDORIを立ち上げたほか、YouTuberとしての活動も行っている。