「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 2nd D.R.B Fling Posse VS MAD TRIGGER CREW」特集 白井悠介×浅沼晋太郎×ALI-KICK×TeddyLoid|負けられない理由持つ者同士の神聖なバトル

シブヤのグループLINEで大騒ぎした新曲

──それぞれのディビジョン曲についても聞かせてください。まずは、たなか(前職:ぼくのりりっくのぼうよみ)さんとケンカイヨシさんが手がけたシブヤの新曲「Black Journey」から。

白井 デモをいただいたときに「……これ、声優が歌う曲ですか?」と思いました(笑)。しかもライブで披露なんてできるのだろうかと。

浅沼 めちゃくちゃ難しそうですもんね。

白井 ただ、それだけエモいしカッコよくて。今までのシブヤのドラマパートを踏まえて作ってくださっている歌詞にも感動しました。乱数が「この先、どうなるんだ?」というときに、手を差し伸べてくれる帝統と(夢野)幻太郎のまっすぐな言葉……本番を歌っているときも泣きそうになりましたね。しかも、いろんな意味に解釈できる曲でもある。シブヤのLINEグループも騒がしくなりました。「ヤバいぞ、次の新曲は!」って。

TeddyLoid たなかくんの、あの高度なリリックをよく歌いこなしていますよね。彼はフロウもすごく独特かつ独自の世界観を持っていて、今までの「ヒプノシスマイク」にはなかったパターンだし、相当大変だったと思います。でも、それが白井さんのキャラにもすごく合っていると思いましたね。

白井 今までの曲は、乱数が自分を取り繕っていた部分があったと思うんですけど、今回は素の自分をさらけ出して歌っているのも印象的でした。

──ALI-KICKさんはどう思いましたか?

ALI-KICK 「なんじゃこりゃ」って思いました(笑)。「Reason to FIGHT」をレコーディングしているときからシブヤのお三方が「チーム曲もヤバいっすよ」とざわめいてて。楽しみだなと思っていたんですけど、ライブで初めて聴いてビックリしましたね。シブヤだからこそできる曲だとも思いました。

ヨコハマの治安の悪さがマックスを迎えた

──では、ICE BAHNとDirty Orangeが手がけたヨコハマの新曲「HUNTING CHARM」は?

浅沼 僕は今までヨコハマのことを「青い炎」と表現していたんですよ。イケブクロのように赤く燃え盛る炎ではない、静かだけど熱い感じ。でも、ここにきてついに真っ赤な爆炎みたいな曲が来たな、というのが第一印象でした。今までとはまた違った、殺傷力の強い曲になったと思います。

TeddyLoid 「水辺で石付けて静かに沈めて」とか、殺傷力で言ったらバトル曲よりもこっちの方が怖い(笑)。

──序盤の「デカいシノギほど血が疼く」は、ALI-KICKさんが手がけた前作「シノギ」のオマージュですね。

浅沼 「シノギ」はすごく大人な雰囲気で、この間のライブでも皮のソファに座ってサングラスをかけ、毛皮を着てマフィア感を表現したんですけど、「HUNTING CHARM」はどちらかというと戦闘服を着て歌いたくなるような曲ですね(笑)。今までさんざん言われてきたヨコハマの治安の悪さも、ここにきてついにマックスを迎えたかな、みたいな。

白井 ライブの演出もすごかったですよね。「任侠映画が始まったのか?」と思った(笑)。

浅沼 SNSに載っていた感想を読んだスタッフさんから教えてもらったんですけど、「ヨコハマってヤクザと警官と元軍人って聞いてたけど、ヤクザとヤクザとヤクザじゃん」と書いてあったそうで(笑)。

一同 (笑)。

──ICE BAHNと親交の深いALI-KICKさんはどうでしたか?

ALI-KICK ICE BAHNとは同世代だし古い仲なんですけど、ヨコハマの曲を僕がやっていたときからスタッフに「ICE BAHNとかどう?」という話はよくしていたんです。それがきっかけだったのかどうかはわからないけど、今回こういう形になったと聞いて楽しみにしていました。

TeddyLoid ビックリしましたよ、ICE BAHNさんが参加されているとは。このシングルにはICE BAHNさん、ALI-KICKさんとレジェンド2組がいるって、ヒップホップを昔から聴いている身からすると本当にすごいこと。まさに実在の「ヒプノシスマイク」ですよね(笑)。

ALI-KICK (笑)。ライブで初めて聴いたのですが、まさしくICE BAHNらしいトラックに仕上がっていて最高でした。

浅沼 理鶯が歌う「クズは一掃するのが礼儀」の部分で、デモで送られてきたICE BAHNさんの独特のフロウを、神尾さんが寄せていてめちゃくちゃカッコいいんです。これは余談になりますけど……銃兎が「湾岸へと引きずり込むクロコダイル」とラップしたあとにワニの鳴き声が入っているんです。この部分、ヨコハマの3人による「クロコダイル・オーディション」が開催されて。

白井 なんですかそれ(笑)。

浅沼 光栄にも、僕が演じたワニの鳴き声が採用されたそうです(笑)。あと、「再生の前に壊すのが先」というリリックは、シブヤの「Stella」の「再生のverse 流星に手を伸ばす」へのアンサーなんじゃないかと。僕、個人的に「Stella」がすごく好きなんですよ。脚本を書いている人間なので、ストーリー仕立てになっている歌詞世界にとても感銘を受けてしまって。それでここへきてあの「Stella」へのアンサー。こんなことになるとは思いも寄らなかったです。

白井 おい、ヨコハマ、やってんな!と思いましたよ(笑)。

ALI-KICK 「再生の前に壊すのが先」はヤバイですよね。俺もバトルで使いたかったなあ、そのフレーズ……(笑)。「シノギ」というワードもそうですし、「HUNTING CHARM」には過去曲を匂わせるフレーズがちりばめられてる。

あとは祈るだけ

──バトルの勝敗は、現在開催中のファン投票によって決まりますが、勝敗の行方をどう見守っていますか?

白井 僕らだけに限らず、ほかのバトルの組み合わせも結果が読めないですよね。その中で今回初参戦のディビジョンを除くと、イケブクロとシブヤってまだ勝ったことがなくて、負けしか味わったことがないんですよ。だから今回こそ勝ちたいという気持ちはめちゃくちゃありますね。とはいえ、この間の無観客ライブでは自分たちのすべてを出し切ったので、どういう結果になっても受け入れるつもりです。

浅沼 前回のバトルとはライブの形も違うし、2組のディビジョンずつ出演するというスタイルも初めてでしたし、CD発売前に新曲を披露するのも初めて。まったくの初めて尽くしで予想がつかないですよね。投票も前回と違ってライブ投票、CD投票、「VR BATTLE」投票がありますし。そんな中、僕らのやれることはライブにすべて込めたつもりなので、あとは祈るだけかな、と。

──ALI-KICKさん、TeddyLoidさんは、今後の「ヒプノシスマイク」にどんなことを期待しますか?

TeddyLoid とにかく今までにない新しいコンテンツなので、ライブをはじめ、どんどん新しいことをやっていってほしいですし、個人的には、こういう機会がないとALI-KICKさんのようなレジェンドとの夢のようなコラボもなかなか実現できないので、そういう夢のカードをどんどん実現して音楽ファン、ヒップホップファンを楽しませていってほしいです。

ALI-KICK 声優さんがラッパーになる瞬間や、ラッパーをある意味超えていく瞬間をたくさん目撃させてもらっているので、これから先も、「ラップ」「ヒップホップ」とはまた違う「なんだこれ?」と思うような驚きを味わわせてもらえたら、楽曲に関わった身として最高ですね。


2021年3月25日更新