HYDE|混沌とした世界の中で見据える未来

ブレないことの何がカッコいいの?

──HYDEさんは以前2、3年ほどアメリカの音楽シーンに挑戦して、自分の夢が実現しなかったら海外進出を止めるとおっしゃってましたが、その点はコロナ禍においても変更はありませんか?

そう言ったらYOSHIKIさんが「やり続けようよー」って言ってくれたけど(笑)。現状でやれるところまでやろうかなという気持ちです。もちろん状況が変われば続けるけど、いつまでも最優先でスケジュールを考えるのは難しいかな。今年は行けないけど海外のフェスでお客さんを熱狂させたいという夢は変わらない。来年で帳尻が合わせられたらいいけど、できなかったら1年延長かな。これまでもライブをやらない期間がしばらくあったことはあるけど、中止がここまで続くことはなくて。ライブハウスが潰れるようなこともなかったし。なくなってしまったライブハウスに立つことを目標にしていたバンドもいるだろうし、かなり寂しいよね……。

──そうですね……ただ、ライブハウスを支えるためのたくさんの施策も動いていますので、個人的にはサポートしていきたい気持ちがあります。今も混沌とした状況が続いていますが、HYDEさんは今後音楽シーンはどう変わっていくと思いますか?

HYDE

配信ライブが増えていって、進化していきますよね、きっと。アーティストとお客さんがバーチャルでつながっていったり。それこそZoom飲み会なんかが流行ったように。多分コロナがなければ、Zoom飲み会とかこれほど流行ることはなかったと思うし。

──確かに。HYDEさんはZoom飲み会はされましたか?

やってない(笑)。

──でもお誘いはあったのでは?

ないよ! やり方もわからないし(笑)。オンラインでのコミュニケーションは進化すると思うな。今は興味ないけど、もっと面白くなってきたら僕もやるかもしれない。

──HYDEさんの場合、本当に数年後にやってらっしゃることもありそうです(笑)。以前はSNSでご自身のことはあまり発信しない方針だったのが、今は積極的に活用されていますし。

ははは(笑)。ブレないことがカッコいいって言う人もいるけど、僕は「それの何がカッコいいの?」と思うんですよね。よっぽど先見の明があって「これは100年後も変わらない」という姿勢やスタンスを貫いてるような人はカッコいいと思う。でも、世界は移り変わるし知識も増える。時代が変わっても自分の考えに固執することは頭がカタイって考えもできる。柔軟に「僕、間違ってた」と認めて、「今こうなってるから、これまでの計画を変更したほうがいい」とどんどん変えていくほうが僕は多い。だから僕の言ってることも来年には変わるかもよ? ただ、言っていることが変わったからといって、過去に話したことが嘘ってわけじゃない。そのことを言ってる瞬間は、自分にとっては真実だから。

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どれだけ混沌としたライブが作れるか

──VAMPS時代に「いいライブの定義」をお聞きしたときは「緩急がついていて、ファンの子が感動しているのが伝わってくるライブ」と答えていましたが、今もそれは変わってませんか?

いや、今はさらにライブの現場でカオスが生まれているかどうかだね。どれだけ混沌としたライブが作れるかが大事。

──混沌というのは具体的に言うと?

HYDE

それぞれが無茶苦茶になって、怪我をせず自由に楽しんでもらうこと。サークルモッシュやダイブというのは、お客さんが楽しんだ結果生まれてくれればいい。それが生まれることが目的ではないんです。僕は右へ倣えみたいな動作が嫌いで、それが理由でホールのライブが苦手なんです。ホールだとみんな同じような動きになりがちだから、宗教の集会みたいに見えちゃう。まあ、音楽のライブって宗教みたいなところはあると思うんだけどね(笑)。でも、その景色がカッコいいと思わないんだよな。誰かがヘッドバンギングをしてるとみんなヘッドバンギングするし……しないとおかしいみたいな。ただ、the GazettEのライブを観に行ったときに、お客さんがヘッドバンギングし始めた瞬間に風が吹いたのがすごい景色だったんだよね。あれはあれでカオスな空間だと思いました(笑)。ホールでもやればできるんだな、と。

──確かにthe GazettEのライブにおけるお客さんのヘッドバンギングは壮観ですね。

うん。今は自分のライブでカオスが観たいんですよ。あとお客さんには、いかに自分が盛り上がってるかをアピールしてほしいな。日本人って表現するのが下手じゃないですか? その恥ずかしさをどれだけ壊してあげられるかが僕らの役目だけど。みんな1人ひとりが少しずつでも自分を解放したら、周りの人が影響されていくから。カオスな空間が作り出せたら、ライブはもっと面白くなると思います。今はライブができないけど、その分、作る作品のクオリティは上がると思うし、動き出したときの勢いはすごいはず。だからファンの子にはお金と体力を貯めておいてほしい。動き出したら、いろいろ使わせるよー!(笑) だから今は「HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL」を観て予習して待っていてほしいなと思ってます。

──ちなみに2月に取材した際に年内にアルバムを出す予定とおっしゃってましたが、制作の進捗はいかがですか?

うーん、年内リリースは無理かな(笑)。でも、新曲はたくさん作ってますので楽しみにしてください。

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