平野友里「MusicBox」特集|ゆり丸の波乱万丈なアイドル人生を振り返る1万字インタビュー (3/3)

新曲MVに辞めたグループの映像も

──10周年以降はソロとして順調に楽曲を制作、リリースしていき、それがついにアルバムとしてまとまりました。「ゆり丸狂騒曲 Interlude」と「はじめてFlavor」はSAWAさんが手がけていますが、意外にも初めての組み合わせなんですね。

SAWAさんにも「私、ゆり丸に書いてなかったっけ?」って言われました(笑)。第1期時代からイベントでたくさんご一緒してきたので、そろそろ私もSAWAさんの曲を歌いたいと思ってお願いしました。

──「こういうアルバムにしたい」と思い描いてオファーしていったのでしょうか?

「はじめてFlavor」をお願いしたときはアルバムを作ろうと考えてなくて、ただ曲をどんどん増やしたかったんです。過去のグループで曲が一切増えない時期があったんですけど、それでも支えてくれた人がいて。そういう経験があるからこそ、常にワクワクする推し活をしてもらいたいとファンの方に対して思ってるんです。正直に言うと、飽きられるのが本当に怖いんだと思います。あと、第2期のソロではいろんな曲に挑戦して、自分に合うものを見つけたいというテーマがあったので、アルバムとかは特に考えず、たくさん作り続けました。私の語彙力がないのでクリエイターの皆さんには申し訳ないなと思いつつ、ざっくりと注文して作ってもらってます(笑)。

平野友里

──「0.1mm」の作詞はゆり丸さんですが、ゆっくりだけど着実に進んできたという生き様が反映されていますね。

自分の人生という感じです。実は最初、作家の方が恋愛の歌詞を当ててくださっていたんですけど、今までの自分の経験をリアルに歌うような曲にしたいと思い、「本当にすみません。やっぱりこの曲は自分で書いてもいいですか?」とお伝えしました。この曲はMVも作りまして、映像の中に今までの活動のすべてが詰め込まれています。自分で言っちゃいますが、これはなかなかできないことかもなと思っていて。過去のソロ活動や辞めたグループの映像をMVの中に使っているんですけど、皆さん許可をくださったんです。

──え!? それはゆり丸さんにとって相当な快挙では?

ですよね(笑)。この2年で変われました! 10周年を迎えられたときに、今までの出会いや経験すべてに感謝しようと心から思いました。

──いやはや、縁を大切にする姿勢が素晴らしいと思います。ちなみに、ほかの曲の歌詞についても、こういう内容にしたいとリクエストすることが多いのでしょうか?

「辞書ほしい」は、恋愛とも推しに対する思いともとれるような歌詞にしたいとでか美ちゃんにお願いして、「あんせむ」はまさに讃歌みたいな代表曲が欲しいとお願いしました。(歌詞カードを見ながら)「メリーゴーランド」もこういうふうにしたいとお願いしたし……だいたい、何かしら言ってますね(笑)。喫茶さんに関しては基本的にお任せなんですけど、いつも自分自身のことを歌う歌詞を書いてくれます。「はじめてFlavor」は、「今までの私を裏切るような大人っぽい曲にしたい」とだけSAWAさんに伝えて、内容については何も言わなかったです。「HOME」も特にオーダーはしていなくて、三浦さんは昔の私の挫折を知ってくれているからこそ、「会いたいけど会えない」という内容の歌詞を書いてくれたんだと思います。

──そう言えば、「あんせむ」のシングルのリミックスが、DJ WATARAIさんとSWING-Oさんというヒップホップ畑のリミキサーだったので驚いたのですが、ゆり丸さんのボイトレの先生がR&BシンガーのTinaさんで、そこからつながったんですよね。

そうなんです! Tinaさんはいつもかわいがってくださって、今回のマスタリングでも協力してくれています。リミックスのバージョンを作りたいと考えたのは、TAKENOKO▲の「つらつらバイバイ」とかのリミックスが面白いと思った記憶があるからで、ソロでもやりたいと思いました。

平野友里

完成したアルバムが手に届いたときはウルッときた

──聞けば聞くほど、これまでのすべてが今につながっているのだなと感じます。それらの経験を踏まえ、ゆり丸さんが主体的に動いてきたことがこの「Music Box」に詰まっていると。

もちろん今まで出会った楽曲も宝物ですけど、その中でも特にこのアルバムは大切に思っていますし、自分のここまでの活動を表したような1枚になったと思います。いつも余裕がなくて、目の前のことしか見れないまま進んできたので、無事に出せてホッとしてます。完成したCDが手に届いたときは感動としてウルッときました。自分的には重みのある1枚ですね。

──最後に、これからの展望も伺いたいと思います。今後も精力的に活動を続けていくと思いますが、ズバリ、もっと売れたいですよね。

売れたいですよー! また「TIF」(「TOKYO IDOL FESTIVAL」)にも出たいです。ソロを盛り上げるためにもソロの仲間を集めて楽しいことをやりたいと思ってます。あとは、アルバムに収録していない未発表の曲や、今年リリースした新曲は第3期に位置付けようと思っているのと、今年は「ゆり丸フィーチャリング〇〇」としていろんな曲を作ろうと考えていて。年内にミニアルバムを出そうと思っています。

──もう次作も視野に入れているんですね。

はい。これは今だから言えるんですけど、10周年を迎えてしばらく経ってから、初めて活動を辞めようかと悩んだ時期があったんです。ソロだとイベント出演を断られたりすることもあって、自分の未来が見えなくなっちゃって。それまでアイドルを辞める選択肢が一度も出てこなかった自分にもそういう考えが浮かび始めました。病まない人間だと思っていたのに、電車でサンボマスターさんを聴いてたら涙が出てきたりして(笑)。ありがたいことに、そうは言ってもやるしかない状況にいさせてもらえたので、気付いたら1年くらいかけて立ち直ってました。やっぱりライブをするたびに楽しいと思えるし、辞められないんですよ。今まで応援してくれた人、ソロになってから応援してくれた人のことが常に脳裏にあるんです。私はその人たちにまだまだ恩返しできてないから、これからも立ち止まれないと思っています。

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公演情報

平野友里(ゆり丸)アルバム発売記念無料ライブ

2024年9月13日(金)東京都 DESEO mini with VILLAGE VANGUARD

平野友里(ゆり丸)アルバム発売記念無料ライブ

プロフィール

平野友里(ヒラノユウリ)

1995年12⽉14⽇生まれ、千葉県旭市出身のアイドル。ニックネームはゆり丸。2012年10月に涼川菜月と2人組ユニットTAKENOKO▲を結成。その後シャオチャイポン、エムトピ、APOKALIPPPS(あぽかりっぷす)、SZWARC(SZWARC NEVER)などでも活動した。2015年にソロアイドルとしての活動も開始し、1年未満でライブの本数が200本を超えた。2022年10月に東京・新宿MARZにて「平野友里10周年記念LIVE~ゆり丸っと集まれ~」を開催。これを機にソロ活動第2期に突入し、2024年9月にその集大成となるフルアルバム「MusicBox」をリリースした。