ナタリー PowerPush - Hemenway
日本・韓国・アメリカの感性を併せ持つ個性派4人組がメジャーデビュー
ロックをキャリアにしてきた人とは違う良さや個性
──レコーディングでは、どういうイメージで演奏しましたか?
Toshi Charmが作った曲の中でも、最初に聴いた曲がこれでしたし、触れている時間も一番長い曲なんです。ドラムにしてもベースにしても、より良くしていくために少しずつマイナーチェンジしながら、今の形にしていった感じですね。さっき話にも出てきましたが、僕は元々ジャズに興味がありましたから、ずっとロックをキャリアにしてやってきた人とは違う良さや個性を出していきたいんです。異なったバックグラウンドからのボキャブラリーやイディオムをカッコよく取り入れられたら、それが曲の良さにもつながっていくと思うんですよ。
Ogaching あとは、個性というか自分らしさを出しつつも、やっぱりバンドですから、バンドの中での自分の役割を考えて、どういうふうに調和させればいいのかを考えたりしました。
──バンドの中の自分の役割と、楽曲を作った人のイメージを尊重しつつ、楽曲のクオリティを高めていくわけですね。
Ogaching そうです。元々彼らが作る楽曲の世界観が好きなので、それを一緒に構築していくというのは、すごく楽しいです。
──この「Listen」が11月2日にメジャーデビューシングルとしてリリースされるわけですが、なんと世界15カ国で同時配信されます。
Charm はい。個人的にはヨーロッパに行ったことがないので、自分が行ったことのない国や地域に僕たちの音楽が届けられるというのはすごくうれしいですし、どんなふうに受け止めてくれるのか楽しみです。
Isaac 世界に配信されることが決まったときはすごくうれしい気持ちでいっぱいでした。でも、たくさんの人が「Listen」を聴いてくれるということを考えると、いろんな面でもっともっとがんばらないといけないなって思いました。
Charm 配信では最初に作った英語詞バージョンも聴けますから、両方楽しんでもらいたいです。
自分たちの個性を反映したカップリング曲
──カップリング曲のことも訊かせてください。「Will you be there」もCharmさんが手掛けた楽曲ですが、Aメロは抑え目な感じで、サビになってグワーっと盛り上がって広がりを見せる展開に、聴いている側もテンションや気持ちが盛り上がる感じでした。
Charm ありがとうございます!
Toshi 楽器を演奏していても、ただまっすぐに同じテンションで演奏していく曲よりも展開があって、感情的な抑揚もあってすごく楽しいんですよ。こういう曲も自分たちの個性のひとつだと思っています。
Isaac Aメロのメロディとサビのメロディではピッチ的にもすごく高低差がありますから、こういう雰囲気の曲ってほかのバンドとかにはあまりないんじゃないかなって思いますね。この曲は日本に来てから作ったんだよね?
Charm うん、そう。レコード会社との契約が決まって、レーベルメイトとなるアーティストやバンドのライブをいろいろと観に行かせてもらったんです。そこで刺激を受けて作りました。ライブのときにお客さんに投げかける言葉を歌詞に盛り込んでみたりしました。
──もう一曲の「Not About」はIsaacさんが作られた曲ですが、ゆったりとしたテンポで、メロディもサウンドも美しいですね。
Isaac ありがとうございます! これはアメリカにいた頃に作った曲で、自分が経験してきたことを歌詞にしてみました。最初に歌詞の内容というか、テーマを決めて作った曲なんです。「みんな自分のことだけじゃなくて他の人のことを考えたらもっと世界はよくなるんじゃないか」って。
Ogaching Isaacが作る曲の特徴はメロディとハーモニーの美しさだと思うんです。そういう意味でも、この曲はIsaacらしさがすごく出ている曲なんじゃないでしょうか。ボーカリストですから、歌って気持ちいい音域とメロディが重視されるんだと思います。
今後はもっと楽曲の幅が広くなる
──曲作りにもそれぞれの個性が出ますからね。Charmさんはギタリストなので、リフから曲が生まれたりしますが、Isaacさんはボーカリストなので歌詞や言葉、メロディから生まれたりするんでしょう。
Ogaching そうですね。
Isaac 今は僕とCharmが曲作りをしていますが、他の2人も曲を作りますから、今後はもっと楽曲の幅が広くなる予定です。
──今回のシングルだけでも、Hemenwayってどういうバンドなんだ!?ってますます興味を持ちましたから、ToshiさんとOgachingさんの曲も発表されるようになったら、バンドのイメージがもっともっと広がりそうですね。
Charm そういうところも楽しみにしてもらいたいです。
──「どういうバンドなんだ!?」ということであれば、トラック4に入っている「Listen -Burning Guitar Ver.-」も忘れてはいけないですよね?
Toshi ですよね(笑)。コレはレコーディングでも思い切り盛り上がりました。
Ogaching ギャーギャー言いながら録音してましたよ。
──聴く前は、「ギターの音が派手になってるバージョンなのかな」っていうぐらいの気持ちだったんですが、全然違いました……。ギターが歌ってるじゃないですか!
Charm すいません。好きなようにやらせてもらいました(笑)。
Isaac イメージとしては、F1っぽいですよね。
──ああ、そういうイメージかも。
Charm いろいろやってるうちに、こうなっちゃいました。テーマは「やり過ぎ」です。
Toshi ギターソロのところもね、元々ソロが入ってるじゃないですか。「どうするんだ?」って思ってたら、結果的には元々のソロとハモる形になってて「すごいなあ」って感心してしまいました。
──デビューシングルにして、Hemenwayのいろんな顔が見られる1枚だと思いました。これからどんなふうにバンドが進化していくのか、楽しみにしてます。
Hemenway(へめんうぇい)
アメリカ・バークリー音楽大学を卒業した韓国系アメリカ人のIsaac(Vo, G)、Charm(G)、日本人のOgaching(B)、Toshi(Dr)の4人からなるロックバンド。2010年にIsaacとCharmが来日し、日本に帰国していたOgachingとToshiとともにバンドを結成した。楽曲制作やライブ活動を行いつつレコード会社にデモテープを送り、キューンレコードからのメジャーデビューが決定。2011年11月にメジャーデビューシングル「Listen」を発売する。アメリカで学んだ音楽理論や技術を反映したハイクオリティなサウンド、美しいメロディ、日本語と英語を柔軟に交えた情感豊かな歌詞で、徐々に注目を集めている。