音楽ナタリー Power Push - 田中和将(GRAPEVINE)×斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)

先輩後輩トークで浮かび上がる意外な共通項

2人がライブ前にすること

──ちょっとしたことなんですが、実は田中さんと斎藤さんの共通項を発見したんです。それが「ライブのときに白いシャツを着る」というものなんですが。

斎藤 あー、そうですね。

田中 なるほど。でも斎藤くんはスーツだったりしない?

斎藤 ライブは白いシャツですね。もしかしたらネクタイを付けているから、よりフォーマルに見えているのかもしれないです。

田中 そうか。ネクタイの印象があるね。

──田中さんはもう随分長い期間、ライブで白いシャツを着続けていますよね。

田中 僕の場合は、消去法で白いシャツになったところがあるんですけどね。

──消去法なんですか?

左から田中和将、斎藤宏介。

田中 もともと僕は、TシャツやGパンでライブをするのは嫌だったんですよ。日常とは違うんだっていう、スイッチを切り替えたいなと思ってましたから。なので普段着じゃなくて、ステージ衣装的なものを決めようとしたんですが、毎回考えるのは面倒くさい。何か1個決めごとを作って、それに沿ってライブをやっていこうと考えまして。

斎藤 ステージ衣装はスーツと決めているバンドも多いですしね。

田中 そうそう。でもスーツはクリーニングも面倒くさいし、なにより暑いですからね。それでシャツにしようと決めたんです。ただ最初は柄物のシャツを着てたんですが、だんだんメンバーもシャツを着始めて、そのうちメンバーと柄や色が被ったりして……。

斎藤 あははは(笑)。

田中 だから僕がまず白いシャツって決めようと思ったんです。そうすればメンバーとも被らなくなるだろうし、衣装の着回しも楽だぞと(笑)。

斎藤 僕もけっこう共通するところがありますね。衣装を毎回考えるのが面倒くさかったからというのも同じですし。ただ僕は制服のような衣装を着るのが好きなので、今のシャツにネクタイというスタイルにしました。やっぱりスイッチが入るんですよね。

田中 そうなんだよね。

斎藤 「今日はやるぞ」っていうときに、決まった衣装や、ルーティンワークがあるとスイッチが入るんですよ。僕、シャツのアイロンは自分でかけたい派なんですよ。

田中 お! そこも共通。僕もずっと自分でアイロンがけしてる。

斎藤 アイロンがけのときから、ライブへのモチベーションが上がってくるんです。ステージに上がっている自分をアイロンをかけながら想像して盛り上げるんですよね。

田中 やるなあ。自分でアイロンがけをしてるバンドマンと話すの、初めてかもしれない。いつも「え!? 自分でアイロンかけてるんですか?」って驚かれるから。きっとどのバンドにも何かしら暗黙のルールがあると思うんだけど、うちのバンドにはアイロンがけにも段取りというか、決められた流れがあるんですよ。まず僕が楽屋に入って最初にアイロンをかける。それでなんとなく順番が決まっていて、各々がアイロンをかけていくんです。

──GRAPEVINEの中で、最後にアイロンをかけるメンバーは誰ですか?

田中 多分(高野)勲氏かな。彼は最後のほうまでなんにもしませんから(笑)。ちなみにまず入ってすぐに弁当を食べるのが亀井(亨)くんなんですけど、それはドラムのサウンドチェックが早いからだったりします。

斎藤 うちもドラムが先にご飯を食べてますね。僕ら2人はダラダラしながら下世話な話をしてる(笑)。

田中 そういう話も重要やからなあ。

斎藤 そうなんです。そういうところからライブのMCを思い付いたりしますから。

ビビり上がってます

──3月に開催されるライブについても話を聞かせてください。当日はどういうステージになるんでしょうか?

斎藤 まずそれぞれがソロでライブをして、最終的に2人のセッションをする、という構成にしようと思っています。もちろん田中さんの歌も楽しみなんですけど、僕自身は自分の表現のこだわりなどをどこまでステージ上で形にできるかっていうのが、第一関門かなと。

田中 今まで「対バンで」っていうのは何度もありましたけど、「2人で」っていうのはなかなか珍しいんですよ。なので僕はもうビビり上がってます(笑)。

斎藤 田中さんとのセッションでは、楽しい感じでいろんなことができたらいいなあって考えているんです。

田中 そうやね。せっかく一緒にやるんだから、2人ならではの感じにしたいですし、面白いことをやりたいですね。まだどういう曲をやろうとかは話していないので、これから一緒に考えていけたらと思ってます。

バンドの方向性については10年以上話していない

──最後に、これを機会にお互い何か聞いておきたいことはありますか?

斎藤宏介

斎藤 質問していいですか?

田中 うん。

斎藤 僕らのバンドの一番大きな目標って「楽しく長く続けたい」というものなんです。もちろんクオリティをどんどん高めながら活動は続けていきたいんですけど、まずは長くやることを第一に考えていて。GRAPEVINEのように長く活動するバンドになるために大事なことってなんでしょうか?

田中 難しい質問やね。今振り返ると、GRAPEVINEは最初からあまり気張ってなかったのがよかったのかなと思っていて。それと僕らの場合は幸運なことに、いろんな出会いが空気を入れ替えてくれたというか、バンド内をリフレッシュさせてくれたんですよね。例えばうちはメンバーが1人脱退したんですけど、そのあとに入ってくれたサポートメンバーであったり、プロデューサーだったり、レコード会社の人であったり、あるいは対バンしたバンドであったり。そういう出会いから刺激をいただいて、マンネリ化せずに続けられてる気はしますね。

斎藤 バンド内での方向性というか、足並みみたいなものは変わらずにそろっているものなんですか?

田中 それって音楽的な意味で?

斎藤 そうですね。

田中 それがね、説明しづらいんですけど、バンドの中で音楽的な方向性とかを話し合うことは一切ないんですよ。おそらくほかのバンドって結成した頃から、音楽的な好みとか、自分たちの方向性とかをすり合わせるんだと思うんですけど、僕らはお互いの好みとかがなんとなくわかるようになってから、もう10年以上はそういう話をしなくなってますね。個人的にも、そういうことはどうでもいいかなって思ってるんです。楽曲が面白ければそれでいいというか。

斎藤 すり合わせなくてもバンドは成り立つし、面白い楽曲は生まれていくんですね。

田中 それがバンドの方向性についての話。でも曲単位ではいろんな話をしますよ。「この曲はこういう方向かな」「この曲はどうしようか」みたいな。そこには個人個人の好き嫌いが反映されたりするから、自分が好きなもの、面白いものに近付けようとしながら、意見をぶつけ合ってる感じですね。それはずっとやってる。

斎藤 そうなんですね。

──田中さんがバンドのフロントマンとして意識していることってなんでしょうか?

田中 そうですねえ。僕は相変わらず、フロントマンというのは荷が重いなと思ってるんです。それなりに長いことやってきましたから、自覚みたいなものはさすがにありまして、リスナーを飽きさせない看板であればいいかなと思っています。ただそれは作るものに関しての話で、よからぬ行動でリスナーを飽きさせない人間になってしまってはいけませんからね。だからお酒には気を付けようと。

斎藤 あははは(笑)。

左から田中和将、斎藤宏介。
GRAPEVINE ニューアルバム「BABEL,BABEL」2016年2月3日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
初回限定盤 [CD+DVD] 4320円 / VIZL-925
通常盤 [CD] 3240円 / VICL-64502
CD収録曲
  1. EAST OF THE SUN
  2. Golden Dawn
  3. SPF
  4. Heavenly
  5. BABEL
  6. EVIL EYE
  7. Faithful
  8. Scarlet A
  9. HESO
  10. UNOMI
  11. TOKAKU
初回限定盤DVD収録内容
  • EAST OF THE SUN music video
  • EVIL EYE music video
  • VIDEOVINE vol.4 ~BEERVINE SPECIAL~
ライブ情報
SK's Session

2016年3月18日(金)東京都 日本橋三井ホール
OPEN 18:30 / START 19:00
<出演者>
斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)/ 田中和将(GRAPEVINE)
チケット:指定席 3900円(ドリンク代別途要)
※後方立見席 3600円(ドリンク代別途要)の追加発売も決定!

チケット一般発売日:2016年2月20日(土)
チケットぴあ [Pコード:286-492] / ローソン [Lコード:70701] / イープラス

GRAPEVINE(グレイプバイン)
GRAPEVINE

田中和将(Vo, G)、西川弘剛(G)、亀井亨(Dr)の3人からなるロックバンド。1993年に元メンバーの西原誠(B)を含めた4人で結成。1997年にミニアルバム「覚醒」でデビューし、1999年リリースの3rdシングル「スロウ」が大ヒットを記録する。2002年に西原がジストニアのため脱退して以降は、高野勲(Key, G)、金戸覚(B)をサポートメンバーに加えた5人編成で活動を続けている。2010年にはギタリスト / プロデューサーの長田進と「長田進 with GRAPEVINE」名義でアルバム「MALPASO」を制作。2012年にメジャーデビュー15周年を迎え、9月に初のベストアルバム「Best of GRAPEVINE 1997-2012」を発表した。2014年11月にビクターエンタテインメント内のSPEEDSTAR RECORDSへ移籍し、2015年1月に移籍第1弾シングル「Empty song」収録曲を含むアルバム「Burning tree」をリリース。また2016年2月には高野寛をプロデューサーに迎えて制作されたシングル曲「EAST OF THE SUN」「UNOMI」などを含むニューアルバム「BABEL,BABEL」を発表した。

UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾンスクエアガーデン)
UNISON SQUARE GARDEN

斎藤宏介(Vo, G)、田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)からなる3ピースロックバンド。2004年7月に結成され、都内を中心に活動を開始する。2006年8月に1stミニアルバム「新世界ノート」をリリースし、ライブハウスおよび下北沢ハイラインレコーズのみの販売で1000枚を完売。2007年にはメンバー主催のイベントをスタートさせ、同年12月には初の単独ライブを成功させる。2008年7月にシングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビュー。アニメ「TIGER & BUNNY」のオープニングテーマとして制作した2011年5月リリースのシングル「オリオンをなぞる」で広く注目を集める。さらに2012年9月には映画「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-」の主題歌「リニアブルーを聴きながら」を手がけ、続く2014年にも「劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-」に主題歌「harmonized finale」を書き下ろした。2015年5月にアニメ「血界戦線」のエンディングテーマ「シュガーソングとビターステップ」をシングルリリース。同年7月にはバンド結成10周年を記念したアルバム「DUGOUT ACCIDENT」を発表した。2016年1月、バンド史上初の東京・日本武道館でのワンマンライブの模様を収めたライブDVD「UNISON SQUARE GARDEN LIVE SPECIAL "fun time 724" at Nippon Budokan 2015.7.24」をリリースした。