音楽ナタリー PowerPush - グッドモーニングアメリカ

フロントマンとしての挑戦、覚悟

病んでいることに酔う人間になりたくない

──でも、ホントに器用なソングライターですよね。

金廣真悟

ああ、確かに自分でもいろんなことができるなって思ってますからね。SMAPとかに楽曲提供したいしなあ(笑)。

──それはもちろん賛成なんですけど(笑)。金廣くんは曲が書けなくて悩むことはずっとないじゃないですか?

うん、ないですね。書こうと思えばいくらでも書けます。ホントにいろんな音楽が好きだからどんどん書けると思うんですよ。ハードコアから合唱曲まで聴くし、なんでも自分のものにできると思っていて。一方で、まだ自分の引き出しをそこまで出してないという思いもあります。

──でも、今作は前作よりもさらに多くの引き出しを開けてますよね。

うん、開けることができましたね。そこが自分でも気に入ってるところだし。バンドの技術が向上してるというのも大きいですね。僕は自分が調子悪いと思ったら曲を作らないようにするんですね。あえて音楽のことを考えないようにしたり。

──自分でちゃんとコントロールしてるんだ。

ここまでやったら自分がダメになるなっていうボーダーラインはわかってると思います。

──ダウナーな状態になって曲を作ることをよしとしてないですよね?

ホントにそうで。だって、そういうふうになろうと思えば簡単にいくらでもなれますもん。そういう人間を僕はカッコいいと思わないから。

──そこは大きいですよね。

「そういう人間は家に閉じこもってろ」って思うので。そういう人間になりたくないからバランスをとる。自分が病んでることに酔ってる人って大嫌いで。

──歌詞にもそういう信条ははっきりと表れてますよね。

うん、出てると思います。

忍ぶスタンスが自分の美学

──今作はそういうところもより強く押し出されてると思うんですよ。特に「inトーキョーシティ」と「スクランブル交差点」にそう思う。

金廣真悟

ああ、そうですね。なるほど。確かにそうかもしれないですね。この2曲がアルバム全体に説得力を持たせてると思うし。僕は、甘えるのがヤなんですよね。自分にも社会にも。そういうのって自分の捉え方次第だから。自分の気持ちを高く持っていくやり方はいくらでもある。僕の歌にメッセージがあるとしたらそこだと思いますね。だから、自分が落ちることだけはしないようにしてます。ホントにダメになったら全部どうでもいい、携帯も捨てたいってなるのはわかってるから。でも、僕が歌いたい曲を歌うには、自分がネガティブになったらなんの説得力もないわけで。そういう意味では、基本的にやっぱり僕はポジティブな人間だと思うんですよね。

──うん、そうですね。

我慢強くもあると思う。ただ、そういうところも踏まえて、さっき言ってもらったようにもうちょっとバンドのフロントマンとしてわがままでもいいのかなとは思ってるところなんですけど。

──金廣くんの美学がはっきり聞けてうれしいです。

もともと忍ぶスタンスに自分の美学を見出だしてると思うんですよね。ちょっと武士道的というか。

──それは何かの影響で?

両親の影響だと思いますね。中高生の頃って誰でもネガティブになりがちじゃないですか。そういうときに母親から「そんな自分をカッコいいと思ってるんじゃないよ!」って言われたりしてたので(笑)。

──あははははは(笑)。

確かにその通りだなと思ったし。親父も昔ながらの頑固者で。そういう家庭環境もあってウジウジするのが甘えだなと考えるようになったんですよね。もしかしたら、考え方としては古いのかもしれないですけどね。

──でも、そういう美学を持ち続けることができたから紆余曲折あってもバンドを終わらせなかったんでしょう?

金廣真悟

うん、そうですね。いきなりバーンって売れちゃえば耐え忍ぶこともなかったんですけど(笑)、結果的に自分の人生っぽいなと思います。長くやってきたからこそ見える景色もあるし。今はいろんな人に曲を聴いてもらったり、たくさんのお客さんの前でライブができるようになりましたけど、耐え忍ぶことの尊さを知ってるから、現状を「ラッキー!」だけで片付けようとは思ってなくて。だから、こういう2ndアルバムを作ったし。

──ホントに今、グッドモーニングアメリカがこのアルバムを出す意味は大きいと思います。

そうですね。いい意味で裏切ってるアルバムでもあると思うし。個人的に2ndアルバムって大抵よくないイメージがあるんですよ。1stってやっぱりインパクトがあるんだけど、2ndは1stをちょっと進化させただけの作品が多いなと思ってきたから。でも、僕は進化もしてるんだけど、そこから半歩でもリスナーの想像していることとズレてるような2ndが好きで。そういう作品になったという自負があるから、自覚はないけど歌が変わったと思ってもらえるならそれもポジティブに思えるし。挑戦的だし、攻めの2ndアルバムになったと思います。

ニューアルバム「inトーキョーシティ」2014年10月22日発売 / 日本コロムビア
初回限定盤 [CD+DVD] 3292円 / COZP-972~3
通常盤 [CD] 2880円 / COCP-38777
CD収録曲
  1. inトーキョーシティ
  2. アブラカタブラ
  3. 何とかなるでしょう
  4. STOP THE TIME
  5. 拝啓、ツラツストラ
  6. コールアップ
  7. 夕暮れ
  8. ワンダーフルワールド
  9. 2014年6月25日我思ふ
  10. STAY WITH ME
  11. イチ、ニッ、サンでジャンプ
  12. スクランブル交差点
初回限定盤DVD収録内容

「7つの秘法を探す冒険2014」ワンマンツアー@大阪・なんばHatch

  1. イチ、ニッ、サンでジャンプ
  2. アブラカタブラ
  3. キャッチアンドリリース
  4. その手伸ばして
  5. 未来へのスパイラル
  6. 拝啓、ツラツストラ
inトーキョーシティツアー 2014-2015
  • 2014年12月8日(月)千葉県 千葉LOOK
  • 2014年12月10日(水)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2014年12月11日(木)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2014年12月13日(土)長野県 LIVE HOUSE J
  • 2014年12月14日(日)石川県 vanvan V4
  • 2014年12月16日(火)兵庫県 神戸VARIT.
  • 2014年12月17日(水)京都府 KYOTO MUSE
  • 2014年12月19日(金)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2015年1月9日(金)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
  • 2015年1月11日(日)秋田県 Club SWINDLE
  • 2015年1月12日(月・祝)岩手県 Club Change WAVE
  • 2015年1月16日(金)鹿児島県 SR HALL
  • 2015年1月17日(土)熊本県 熊本B.9
  • 2015年1月18日(日)長崎県 DRUM Be-7
  • 2015年1月20日(火)山口県 LIVE rise SHUNAN
  • 2015年1月22日(木)岡山県 IMAGE
  • 2015年1月24日(土)愛媛県 松山SALONKITTY
  • 2015年1月25日(日)高知県 X-pt.
  • 2015年1月27日(火)鳥取県 米子 AZTiC laughs
<ワンマン>
  • 2015年2月1日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2015年2月7日(土)宮城県 Rensa
  • 2015年2月14日(土)新潟県 新潟LOTS
  • 2015年2月21日(土)香川県 高松MONSTER
  • 2015年2月28日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2015年3月1日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2015年3月7日(土)大阪府 なんばHatch
  • 2015年3月8日(日)大阪府 なんばHatch
  • 2015年3月15日(日)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2015年3月21日(土・祝)東京都 Zepp Tokyo
  • 2015年3月22日(日)東京都 Zepp Tokyo
グッドモーニングアメリカ
グッドモーニングアメリカ

金廣真悟(Vo, G)、渡邊幸一(G, Cho)、たなしん(B, Cho)、ペギ(Dr, Cho)からなる4人組バンド。2001年に前身バンドfor better, for worseを結成し、2007年より現在のバンド名に変更。for better, for worse時代は英語詞だったが、バンド名変更を機に日本語詞へと切り替え、サウンドもよりポップさを増す方向へ転換した。2008年より現在の編成で活動を開始し、自主企画の開催やリリースを積極的に行う。2012年冬には初のワンマンツアーを成功に収め、2013年5月に1stフルアルバム「未来へのスパイラル」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2014年5月にはテレビアニメ「ドラゴンボール改」のエンディングテーマに採用された「拝啓、ツラツストラ」をシングルとしてリリースした。同年10月に2ndフルアルバム「inトーキョーシティ」を発表し、12月から翌年3月にかけてレコ発ツアーを実施する。