音楽ナタリー PowerPush - ぐるたみん

お茶の間に叩き付ける“最強の歌い手”の挑戦

これまでに発表したアルバム3作がすべてオリコン週間ランキングTOP10に入るなど、“最強の歌い手”というキャッチフレーズにふさわしい活躍を続けるぐるたみんが、1stシングル「センセーション・シグナル」をリリースした。アニメ「マジンボーン」(テレビ東京)の主題歌としてオンエア中の表題曲のほか、ぐるたみんらしいハイトーンボイスが堪能できる「勝算◎最前線」、彼自身の作詞作曲によるメッセージソング「絶対Proclamation!!」などを収録した本作は、ボーカリストとしての彼の特異な存在感をさらに幅広い層のリスナーに印象付けることになりそうだ。

ナタリーではぐるたみん自身にインタビューを実施。今回のシングルの制作プロセスとその魅力について語ってもらった。

取材・文 / 森朋之

タイアップを勝ち取った曲

──CDデビューから約3年経ちますが、今回が初めてのシングルリリースなんですね。

ぐるたみん「センセーション・シグナル」イメージイラスト

そうなんですよね。今までアルバムを3作出して、ありがたいことにすべてオリコンチャートに入ったんですけど、思ったほどにはメディアへの露出がなかったんですよ。やっぱり、シングルのチャートのほうがメディアに取り上げてもらいやすいんだなっていうのもあったし、そこで戦っていかないとお茶の間に自分の歌を届けることはできないんだなと思いまして。

──タイトル曲「センセーション・シグナル」を含めて、強力な楽曲が揃っていて。

なるべく曲数を増やしたいと思っていたし、トータルな作品性を考えるという意味では、アルバムを作るときに近い感覚だったんですよね。

──ひとつひとつの楽曲についても聞かせてください。まず「センセーション・シグナル」はアニメ「マジンボーン」のタイアップ楽曲ですね。

「センセーション・シグナル」は以前から作っていた曲なんですが、アニメのお話をいただいて、向こうのスタッフに聴いてもらったら「イイ感じですね」ということになって。その後、「もう少しこんなふうにしてもらえますか?」という要望があったので、アニメ全話を観ながら2日間くらいで修正したんです。ちょうどライブのリハ中だったんですけど、あのときはがんばった感がありましたね。

──アニメ「マジンボーン」の印象は?

最初は「子供向けのアニメなのかな」と思ってたんですけど、実際に観てみたらすごく面白くて。アニメだけじゃなくて、コミック、カードゲーム、3DSソフト、アーケードゲームなんかと並行しながら展開していくんですよ。アニメに登場したキャラクターがすぐにアーケードで使えたり、連動性の高さもすごくて。今はすっかりハマってますね。アニメもすごく好きになって、自分の曲が使われる前は「オープニングの曲が変わってしまうのはちょっと寂しいな」って思って(笑)。

──すっかりファンの目線ですね(笑)。

それくらい愛着があるっていうことですね。制作もすごく楽しかったんですよ。修正がうまくいかなかったら病んでたかもしれないけど(笑)、全然大丈夫だったし。しっかり勝ち取ったっていう手応えもありますね。

“お茶の間に挨拶する”作品

──アニメの世界観に寄り添うことも大事ですけど、あくまでも“ぐるたみん”の楽曲ですからね。しかも1stシングルだから、ぐるたみんさんとしても思い入れがあるだろうし。

そうなんですよね。“シングルでオリコンチャートに挑む”“お茶の間に挨拶する”という意味合いもあるので。歌詞に関しても、そこはかなり意識していましたね。(アニメと自分自身の思いの)どちらの意味にも取れるような歌詞なので。

──テーマの中心は“挑戦”?

そこが一番楽しいところですからね、活動していく上で。俺自身も挑戦していく姿勢、夢に向かっているところを見てもらいたいと思うし、ファンの人たちもそれを応援してくれるので。そこで生まれる相乗効果も大きいんですよね、ホントに。これからもいろいろなことに挑戦して、いろんな場所に自分の声を届けられるといいなって思っていて。今回のタイアップですぐに反響があるとは思ってないけど、徐々にやっていきたいですね。

──ドラマチックなメロディラインも、ぐるたみんさんらしいと思いました。またしても高いボーカル力が求められる曲だと思うのですが、レコーディングはどうでした?

ギミックがうまく使えたんじゃないかな。ここまでコーラス感がある曲って、J-POPの中でもあんまりないと思うんですよ。1人多重録音もけっこう多いし、ボーカルのアレンジも面白いと思うし、そこは自分の強みじゃないかな、と。「ライブでどうするの?」っていうこともありますけど(笑)。

音楽活動は壁しかない

──そのほかの収録曲も、個性的な楽曲が揃ってますね。

すべてにちゃんと意味を持たせようと思って。自分の中では「全部A面」みたいな感覚なんですよ。まず「センセーション・シグナル」はアニメのタイアップソング。2曲目の「勝算◎最前線」は夏のETA(EXIT TUNES ACADEMYの略。ボカロPや歌い手などが多数出演するライブイベント)ツアーのときが“初出し”だったんですよ。誰も聴いたことのない新曲を歌ったんですけど、お客さんもかなり気に入ってくれたみたいで。

──ロックとエレクトロ感が融合したアッパーチューンですが、確かにライブ映えしそうですね。

アゲアゲソングですよね(笑)。歌ってるときもみんな笑顔になってくれたし、「Yes.sir!」というところは一緒に歌ってくれる人もいて。(音源として)聴きたい、早く覚えたいっていう声も多かったですね。で、3曲目の「絶対Proclamation!!」は自分の曲なんですが……。

──これは素晴らしいですよね!

ぐるたみん「センセーション・シグナル」イメージイラスト

また、そうやって言う(ちょっとうれしそうな表情で)。3枚目のアルバム「た~そんなふいんきで歌ってみた~」の後、曲作りの期間があったんですけど、そのときにできた1曲で。スタッフからも「すごくいいんじゃないか」という意見が多かったし、ぜひリリースしようということになって。最初は歌詞だけをホームページにアップしたんですよ。その後ファンクラブのイベントで披露したんですが、反応もよくて。

──サウンド的にも、ぐるたみんさんのルーツであるロックのテイストが強く出ていて。

そうですね。突き抜ける感じもすごくあるし、やりたいことがぜんぶできました。たぶん、今後もずっとライブでやっていくだろうし、みんなが「いい曲だね」と思ってくれるような曲になってよかったです。

──「僕の“生きる”意味を…」「今に見てろFever!」というフレーズもそうですが、ぐるたみんさんの根本的なモチベーションが伝わってくるような歌詞も印象的でした。

“Proclamation”は“宣言”という意味だし、確かにメッセージ性は強いですよね。一番初めに「Bye Bye 問題難題」というところができたんですよ。そこから言葉遊びをするみたいに広げていって。

──実際、音楽活動をしていく中で“難題”に直面したことはありますか? 壁にぶつかるような体験というか。

常に壁しかないような気がしますけどね。このフレーズがどうしても弾けない、とか。そこからすべてが始まってるというか、「目の前の壁をどう乗り越えるか?」という感じだと思いますね、音楽は。

──歌も同じですか?

そうですね。「この音が出せない」とか「どうすれば高い音が出せるんだろう?」とか。そういう研究を子供のときからずっとやってたんですよ。ただ高い声が出せるだけじゃなくて、カッコよく出そうということも考えていたし……。うまくなろうとは思ってなくて、カッコいい音が出したかったんですよね。

──声を楽器として捉えていたんでしょうか?

完全に楽器的な感覚ですね。だから、今もギミック的なことが好きなんだと思います。そんなことを言いつつ、わりと感情的な部分も込められてると思うし……って、自分で言うのも変だけど。

1stシングル「センセーション・シグナル」2014年11月5日発売 / EXIT TUNES
初回限定盤A [CD+DVD] 1620円 / QWCE-00393
初回限定盤B [CD+グッズ] 1620円 / QWCE-00394
通常盤 [CD] 1080円 / QWCE-00395
CD収録曲
  1. センセーション・シグナル
    [作詞:ゆうゆ、ぐるたみん / 作曲:ゆうゆ]
  2. 勝算◎最前線
    [作詞・作曲:じーざす]
  3. 絶対Proclamation!!
    [作詞・作曲:ぐるたみん]
初回限定盤A
  1. センセーション・シグナル(オリジナルver.)
    [作詞・作曲:ゆうゆ]
初回限定盤B
  1. +♂(プラス男子)
    [作詞:れをる / 作曲:ギガP]
通常盤
  1. ストリーミングハート
    [作詞・作曲:DECO*27]
初回限定盤A DVD収録内容
  • 「センセーション・シグナル」MV
  • 「勝算◎最前線」MV
  • 特典映像
ぐるたみん

ハイトーンボイスと突き抜けるようなシャウトで「覚声類」と称される歌い手の代表格の1人。2009年に活動を開始して以来、動画サイトに投稿した楽曲はすべて殿堂入りを果たしている。2010年8月には「【うるおぼえで歌ってみた】only my railgun」が投稿からわずか1カ月半で100万再生を突破し、2014年10月現在710万再生を記録。これは70万件を超える「歌ってみたカテゴリー」全投稿動画の中で再生数歴代2位となっている。2011年末にリリースした1stアルバム「EXIT TUNES PRESENTS ぐ ~そんなふいんきで歌ってみた~」は、ロングセールスの結果、発売日から2年3カ月を経て日本レコード協会によりゴールドディスクに認定。歌い手の作品がゴールドディスクに認定されるのは史上初の快挙となった。2014年10月には1stシングル「センセーション・シグナル」をリリース。また2015年には全国を回るソロライブツアー「LIVE-G TOUR 2015 LIVE HOUSE CIRCUIT」を開催する。