自分ができることをやればいい結果になる

──正直に言うと、ゴーストノートって、型にはめられたりすると表現が弱ったり濁ったりするけれど、伸び伸びとやるればやるほど表現が強くなるバンドだと思うんです。

大平　まさにそれを身を持って体感した去年でしたね（笑）。特に僕が「これって実際はどうなんだろう？」って思っていると、なかなかうまく伝わらなかったりしますし。今は、ほんとに伸び伸びやらせてもらっていますからね。結成当時から考えても、今が一番バンドをやっていて楽しいんですよ。だから、楽しんで伸び伸びと自分のやりたいことをやるっていうことが、ゴーストノートにとっては限りなくプラスに働くんだなって思っています。このことは、これからも揺らぐことなく、活動していく上で大事にしていきますし。時間はかかったけど、ここからいくぞ！っていう感じになっているんですよね。

──その伸び伸びしている現状は、今作にもパッケージされていますね。

佐藤　3曲目の「キミウタ」以外は僕がレコーディングエンジニアの作業をしたので、僕はとてつもなくプレッシャーを感じてたんですけどね（笑）。

──佐藤さんがエンジニアを務めたのは、今作の一つのテーマだったんですか？

佐藤　裏テーマみたいな。できることは自分たちでやろうっていう。ただ、メンバーは相手が僕なんで、すごくリラックスしてやっていたんじゃないかな。そのリラックス具合をどう生かすかについては、技術的にいろいろ苦労した部分もありましたけど、結局は自分がグッとくれば2人もグッとくるし、聴いている人もグッときてくれるんじゃないかなって。変にカッコつける必要もないし、かと言ってアマチュアバンドでもないし、自分ができることをやればいい結果になると思って吹っ切れてからは、自然になれましたね。

──全員の良さを誰よりも知ってるわけですもんね。

佐藤　だからこそできたと思うんです。できあがったときの安堵感は半端なかったですね（笑）。

大平　慎ちゃん（佐藤）はそうだよね。僕なんかは、いいテイクの歌といいテイクのギター、つまり、自分が後悔しないものが録れればそれだけでOKっていう気持ちでやれました。

裸一貫で行きましょうよ

──作品全体のビジョンは事前にあったんですか？

大平　2011年のツアーを回ったことによって原点に戻れた上に、ちゃんと成長できたっていうことを表したかったんです。ただ、あらかじめ5曲入りっていうのは決まっていたので、どの曲を入れようか考えて。ライブでやっていても作品に入れていない曲も、たくさんあるんですよ。だから、いろんな表情の曲があるけれど、振り切ってゴーストノートの代表的な表情というか……人生いいこともあれば悪いこともあるけど、それでも前に進んで行こうっていうポジティブなエネルギーを持っている5曲をチョイスしようと思って。ある種コンセプチュアルなミニアルバムだと思うんです。これを間口にして、ライブに足を運んでもらって、こんな曲があるんだ、あんな曲もやるんだって知ってもらうきっかけの1枚になればいいですね。

──確かに、応援歌と受け取れるくらいのポジティブなエネルギーを、どの楽曲からも感じます。

大平　今のゴーストノートなら、ちゃんと中身のあるポジティブな応援歌にできる自信があったんですよね。ただ、自分にとっては誰かのための応援歌を書いたというより、自分自身の背中を押してくれる曲を書いたつもりなんです。「がんばれ」より、「一緒にがんばろうぜ」っていう気持ちが入っているんですよ。無意識ですけど、自分が書きたいことを書いたら、こういう歌詞が多くなったっていう。

──リアルですよね。1曲目の「a walk in the life」にも「一歩ずつ 一歩ずつ 歩いていこう」って歌詞がありますけど。

大平　いやあ、人生コツコツです、ほんとに（笑）。それがいつか実を結ぶときが来ることを信じていますから。今は、自分たちでも胸を張れるような作品が作れたので、もっともっといい曲書けるし、もっともっといいライブできるなって思っています。今年もこのミニアルバムを持って全国を回りますし。11月と12月には、ゴーストノート史上最大規模で、全国12カ所でワンマンライブをやるんです。それも計算とかじゃなくて、去年全国を回っていたときに「うちでワンマンやってくれよ」って言ってくれたところに行くっていう（笑）。

──そこもシンプルですね。邪念が入る余地がない、というか。

佐藤　そうですね。

大平　人間ですから根本の欲はありますけど、音楽に対しての邪念はないですね。

──装飾してきた時期もあったとは思うんですけど、今は脱いでもすごいんです、っていうところを見せられている気がします（笑）。

大平　そういう経験があったからこそ今があると思いますしね。今は、裸一貫で行きましょうよ、僕らは着飾っても無理無理、っていう気持ちですよ（笑）。