ナタリー PowerPush - ゴーストノート
ロングツアーを経て生まれた珠玉の新作「きもちはつたわる」
俺らはライブをやっていいんだ
──これだけ長いツアーにするっていうのは、最初から決めていたんですか?
佐藤 元々ツアーを回るって決めたのが1月の終わりで、実際に始めたのが2月の頭だったんで、スケジュール的に強引ではありました(笑)。2月6日に地元の岡山でライブが決まっていたんで、それをスタートにしても良かったんですけど、自分たちで「ここからやりますよ」って言える場所を探して、岡山CRAZY MAMA STUDIOっていう30人くらいしか入らないところを貸してもらって、ワンマンをやったんです。
大平 4日前とか5日前にいきなり告知して(笑)。
佐藤 そこから、12月のツアーファイナルの日程だけは決めていたんですけど、とりあえず6月までライブを入れて、6月にワンマンをやって、そこまでできたから12月までもっとライブをやろう、みたいな感じで決めていきました。
大平 前のめりでしたね(笑)。
──その間には、3月11日に東日本大震災もあって。
大平 いろんな事情で何本かライブが飛んだんですけど、ツアーを再開して思ったのは、やっぱり僕らはステージに立って、3人で音を鳴らすことしかできないんだ。でもそれができるなら、微力だけど目の前の人たちに対して、前向きなエネルギーを与えるライブをしたいな、っていうことでしたね。
──ツアーでは被災した地域にも行ったわけですもんね。
大平 仙台と盛岡には行き倒しましたね(笑)。
佐藤 月イチくらい。
中村 仙台では、4月24日に仙台CLUB JUNK BOXの震災後1本目のライブに出たんです。
大平 その日がすごい盛り上がりだったんですよ! お客さんから、ライブを待っていた気持ちが伝わってきて……逆に感動させてもらったっていうか。行くことによって、バンドをやってていいんだって思えましたね。
佐藤 現地にいる人は、自粛っていう言葉が嫌だって言っていましたし。できないことはしょうがないとしても、普通に生活することが大事だし、ライブハウスでも、お客さん同士が「無事だったんだ!」って再会しているんですよ。そのためにも、俺らはライブをやっていいんだと思いました。
──それも昨年、現場に軸足を置いていたから感じられたことですよね。
大平 そうですね。ただ……難しいですよね。僕らがこういうことを言うのはおこがましいと思うくらい、先陣を切っていろんなことをやり続けている方もいますし、今も被災地の方々は戦い続けているわけで。でも、その中で僕らができることは、ステージに立って、その日その日に精一杯のライブをやることだと思っています。
原点に戻ることを示したタイトル「きもちはつたわる」
──そういったライブに次ぐライブの日々で、曲作りはどうしていたんですか?
大平 3人で合わせて曲を作ることは、今までのようにはできなかったんですけど、個人的には曲は書き続けていて。今作は、1曲目から4曲目までは、ツアー中にやり続けていた曲なんです。5曲目の「きもちはつたわる」だけは、ツアーが終わってから書き切った、ライブで1回もやっていない曲なんですけどね。
──ツアータイトルと同名ですよね。
大平 結果そうなったんです。ツアーが終わって、自分とゴーストノートにとっての2011年の全てを詰め込んだ1曲を書かないと次に進めないって思っていたんですよね。自己暗示みたいなところもあったんですけど。そうしたら必然的にタイトルが「きもちはつたわる」になっていたっていう。
──そもそも、ツアータイトルはどういう思いで付けたんですか?
大平 僕らが地元の岡山でしかライブをやっていなかった頃、初めての自主企画のタイトルが「きもちはつたわる」だったんですよ。あと、アマチュアで初めて回った全国ツアーのタイトルも「きもちはつたわる」で。だから、去年原点に戻るって決めたときも、このタイトルになったんです。
──最初に名付けたときにそこまで考えていたかはわからないけれど、今作を聴くと、改めてゴーストノートというバンドの核にあるものが"気持ち"だって気付きますね。
大平 うん。メンバーそれぞれで違うと思うんですけど、僕は気持ち一発っていうか。ライブするときも、曲を書くときも。そこに2人の冷静な部分とかが加わって、バンドが成り立っているんだと思います。
佐藤 いや、僕も気持ちでしかないと思いますよ。いいライブを観たときに技術的なこと以上に飛び込んでくるのは、気持ちとかオーラなんで。ゴーストノートって、譜面に書けない感情や表情を伝えたいって言う気持ちを込めて付けたバンド名ですしね。最初からそういうバンドだったし、おーちゃん(大平)の気持ち一発っていうところも、僕はずっと好きでしたから。
中村 それに、気持ちがあれば、必然的に演奏も付いてくると思うんですよね。
LIVE INFORMATION
ゴーストノート ワンマンツアー2012
- 2012年11月3日(土・祝)大阪府 十三Fandango
- 2012年11月4日(日)和歌山県 和歌山CLUB GATE
- 2012年11月10日(土)高知県 高松DIME
- 2012年11月11日(日)広島県 広島ナミキジャンクション
- 2012年11月18日(日)岩手県 盛岡Club Change
- 2012年11月24日(土)愛知県 名古屋HUCK FINN
- 2012年11月25日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2012年12月2日(日)山口県 周南rise
- 2012年12月8日(土)宮城県 仙台RIPPLE
- 2012年12月9日(日)新潟県 新潟GOLDEN PIGS RED
- 2012年12月15日(土)東京都 Shibuya O-Crest
- 2012年12月22日(土)岡山県 岡山PEPPER LAND
ゴーストノート
2003年、岡山県で結成されたロックバンド。2004年より現メンバーの大平伸正(Vo, G)、佐藤慎治(B, Cho)、中村勇介(Dr, Cho)の3人体制となる。2006年12月にインディーズでリリースしたアルバム「初対面」が話題を集め、ライブでの動員人数も上昇。2006年11月にリリースした2ndアルバム「すばらしき世界」の収録曲「スタート」は日本工学院のテレビCMソングに起用され、彼らの知名度を全国区に押し上げた。2006年から2007年にかけては年間100本以上のライブを敢行し、ライブバンドとしても大きく成長する。2008年5月、SME Recordsよりシングル「スタート」でメジャーデビュー。2010年には地元・岡山のJリーグチーム、ファジアーノ岡山のイメージソング「夢」を書き下ろした。2011年はバンド活動の原点回帰を目指して、約150本におよぶロングツアー「きもちはつたわるツアー2011」を開催。2012年4月、約1年半ぶりの新作音源となるミニアルバム「きもちはつたわる」をリリースする。