原因は自分にある。「パラノイドランデブー」インタビュー|川谷絵音と誘う“逃避行” 6年越しの邂逅に開く新たなドア (3/3)

思い切り振り切って

──そして3曲目の「希望的観測の定義」は過去にないテイストの、“ゲンジブ観測ソング”といいますか……初めて聴いたときは驚きました。これは、観測者(原因は自分にある。ファンの呼称)目線でゲンジブの魅力を歌った曲という認識で間違っていないですか?

大倉 はい。観測者の皆さんが僕たちに対して思っていることを歌っています!

大倉空人

大倉空人

──ファン目線の曲をメンバー自らが歌うというのは、なかなか面白い構図ですよね。

大倉 そう、そうなんです! 雅哉どんな気持ち?

桜木 どんな気持ち!?(笑) 「あ、僕ってこういう感じなんだ」と思うというか……。

一同 あはははは!

──SNSを通じて観測者の皆さんから集めた「ゲンジブ観測者あるある」を、デビュー当時からゲンジブの楽曲を手がけている久下真音さんが曲に仕立てた「希望的観測の定義」ですが、皆さんはこの楽曲にどんな印象を抱きましたか?

大倉 僕、レコーディングが終わったとき、久下さんに「なんでこういう曲調にしたんですか?」と聞いたんです。そこで久下さんがおっしゃっていたのは、「ゲンジブらしさとは?」って人に聞いたとき、ネットカルチャーを中心に考える人もいれば、独特な世界観を第一に考える人もいる。ピアノロックサウンドをまず思い浮かべる人もいるだろうって。そんな中で久下さんは曲を提供してくださるときに、「尖った音楽性であることを前提に『この楽曲をゲンジブは歌えるかどうか』ということを、僕の感覚で線引きしてる」と。

杢代 そうなんだ。

大倉 「いろんなアーティストやクリエイターとコラボして、初期のゲンジブとは違う一面がどんどん生まれている中で、今7人はこの曲を歌えるか?」という点を感覚的に判断しているとおっしゃっていて。そういう点から見ても、この「希望的観測の定義」は思い切り振り切って歌わないとダメな曲だよなって。だから振り切ってやらせてもらうつもりです。もちろん観測者の皆さんにもね。がっつり覚えてもらわないと!

武藤潤と大倉空人。

武藤潤と大倉空人。

キラーワードの杢代和人

──観測者による“集合知”を久下さんがまとめ上げたこの曲の歌詞について、ぜひ皆さんの感想を聞かせてください。「ここは言及せずにはいられない!」というフレーズはありますか?

杢代 サビの頭の「100点満点中7億点」って、どこから来たかわかる?

大倉 観測者のみんなが僕らに思ってくれてることじゃないの?

吉澤 これ、あれだよ。和人が過去にインタビューで言ってる。

杢代 そう。俺、「テトラヘドロン」リリースのときの動画インタビューで「100点満点中、ズバリ7億点ですね!」って発言してるのよ。そんな何気ないひと言がサビの頭……。

武藤 うはははは!

長野 すごくない? サビ頭だよ(笑)。

──それで言うと「教科書にも載せるべき」というフレーズについては、「Go to the Moon」に関するナタリーのインタビューで潤さんが「ゲンジブの曲……教科書に載せよう!」と発言されていたりもします(参照:原因は自分にある。「テトラヘドロン」インタビュー)。

長野 すごい、いろんなところから引用してるんだなあ。

長野凌大

長野凌大

杢代 「レベチアーズ!」なんて、めっちゃ最近だよ。

大倉 これは僕らのYouTubeからですね。僕らが7人で乾杯するときの掛け声を和人が考えてくれて、それが「レベチアーズ!」なんですよ。

小泉 その乾杯も、まだ1回くらいしかしてない。

大倉 しかも水でね(笑)。

杢代 けっこうね、僕が言った言葉がたくさん入ってるんです。「勝海舟」(小泉、長野、杢代のトリオ名)もあるし。

大倉 貢献してるやん……!

「勝海舟」こと小泉光咲、長野凌大、杢代和人のトリオ。

「勝海舟」こと小泉光咲、長野凌大、杢代和人のトリオ。

──キラーワードを残すタイプなんですね。

杢代 みんなの耳に残ってくれているのはうれしいです。でも僕が気になるのはやっぱり、雅哉の「SUN SUN SU SU SUN 皆SUN SUN」……。

吉澤 間違いない!(笑)

杢代 これはその、どういった方向性で生み出された言葉なんですか……?

桜木 「皆SUN」というのは僕が皆さんに呼びかけるときに使っている言葉なんですけど、「みんなが僕の太陽のような存在だ」というコンセプトのもと作らせていただきまして……。

長野 コンセプトとかあったんだ(笑)。

桜木 はい。“雅哉語”には意味合いを持たせてるんで。

武藤 僕は光咲のパートなんですけど、(歌い方をマネしながら)「さっさと建国してくだしゃ~$%&@い」がめっちゃ好きです。

大倉吉澤 どうしたどうした!?(笑)

小泉 ここ、どういう設定で言ったっけな~。

一言も発したことないんですよ、「チャハ」なんて

──「さっさと建国してくださ~い」のあとから始まる自己紹介リレーも注目ポイントですよね。

長野 確かに。

杢代 凌大の「チャハ」という笑い方が入ってるのとか、いいですよね!

長野 いや僕、自分からひと言も発したことないんですよ、「チャハ」って。だからけっこう恥ずかしかったです(笑)。

──自分の笑い方を意識して笑うことはないですもんね。

大倉 凌大と僕でやってるラジオに「凌大くん、毎回チャハチャハ笑ってる」というお便りをよくいただいて。

吉澤 そう言われてみると、凌大の笑い方って「チャハ」なんだよね(笑)。

長野以外全員 チャハッ! チャハチャハ!

吉澤要人と桜木雅哉。

吉澤要人と桜木雅哉。

杢代 ちょっと笑ってみてよ?

長野 (引きつった笑い方で)ハハッ。

大倉武藤 「チャハ」だ!

長野 違うから(笑)。レコーディングのとき、「ど真ん中が似合いがち チャハ」って自分のパートを歌って「どうでしたか?」と久下さんに聞いたら、久下さんが「いい感じだよ」って。なんか、そのやりとりが恥ずかしかったです(笑)。

観測者が歌ってくれてもいいよ

大倉 (歌詞を見ながら)なんならこの曲、全部のフレーズにツッコめるよなあ(笑)。

杢代 もう1つ言いたいことがあるんですけど、「これだから観測やめれん」から始まるパートで、空人が「推したらまぁまぁ心配される」っていう歌割りをすごい感情込めて、切なく歌ってるんですよ。

一同 そうそうそう!(笑)

杢代 俺は空人のあとのレコーディングだったんですけど、同じパートの「『責任』『源氏部』『僕が悪いんです』」を普通に歌おうと思っていたんです。そうしたらディレクションの方に「1回空人の歌を聴いてくれ」と。すごい感情入ってんなと思ってたら「これでやってください」と言われて……(笑)。

小泉 そのあとが僕のレコーディングだったんですけど、前の2人がめっちゃ切なげに歌ってるから、僕もそこはテンションを合わせて歌いました。

小泉光咲

小泉光咲

杢代 そう。だからここは空人合わせのパートなんですよ。

大倉 そうだったんだ(笑)。いやね、ちょっと切なく歌いたくなっちゃって、1回試しにやってみたの。そうしたら久下さん大喜び。「今のめっちゃいい、それでいこう!」って……。

吉澤 終盤それほど切なげに歌ってるのに、いつものツッコミ空人で曲が終わるのもめっちゃいいよね(笑)。

大倉 ありがとう。ツッコミも3種類くらい録った。

──アウトロ中に入る「いや~あの曲と終わり方一緒…」というツッコミは「マルチバース・アドベンチャー」と終わり方が一緒だよということですよね?

大倉 そうです、そうです。

杢代 久下さんに聞いたら、本当にたまたま同じ終わり方になっちゃったらしいです。

吉澤 そうだったんだ。

杢代 久下さんの“十八番の終わり方”だと言ってました。

大倉 “十八番の終わり方”とかあるんだ(笑)。

──とにかくライブでの披露が楽しみです。観測者が盛り上がること必至ですね。

大倉 なんなら観測者が歌ってくれてもいいよ。

長野 ずっとマイク客席に向けていようかな(笑)。

杢代 ぜひコールを覚えて! ライブに来ていただきたいなと思ってます。

吉澤 ぜひ!

小泉 ダンスも覚えて、ぜひステージにも上がってほしいなと思います。

一同 あはははは!

大倉 それ最高!(笑)

原因は自分にある。

原因は自分にある。

磨き抜いて、妥協せずにいいものを

──今回の作品での新しい出会いにまた新たな表情をのぞかせてくれたゲンジブの皆さんですが、次にやりたいこと、叶えたい目標はどんなことなのか、最後に聞かせてもらえますか?

杢代 凌大、言っちゃえよ。凌大がやりたいことはみんなのやりたいことなんだから。

武藤 オーライオーライ!

大倉 ド真ん中が似合いがち、チャハ!

吉澤 すごい煽り(笑)。

長野 そうですね(笑)、なんて言うんだろう。「これこそがゲンジブの代表曲」みたいなものを作りたいです。もちろん、それが「パラノイドランデブー」になる可能性もあると思います。

桜木 そうだね。

長野 川谷さんとの出会いで見つけた新しい自分たちがあるからこそ、それをまたしっかりと持ち帰ってライブや新しい曲を作っていきたいし……だから、ここからなんだと思います。「序破急」でもすごくいいライブができたと思うけど、そこで満足したら終わりだから、さらに突き詰めていきたい。突き詰めていく歩みが“自分らしさ”になっていくんだと思うし、音楽の世界で唯一無二になっていくには、ここからの道筋が一番大事になってくると思っているので。僕たちのクリエイティブの中心にあるものをチーム全体で磨き抜いて、妥協せずにいいものを作るんだという気持ちで進んでいきたいです。そうやって進んでいった先で、皆様にお目にかかる機会が増えたり、何かしらの数字や結果につながったら一番幸せだなって。今までやってきたことの精度をもっと上げて、集中して歩んでいきたいなと思っています。

公演情報

GNJB FC Limited Tour Laboratory -

  • 2025年12月23日(火)大阪府 Zepp Osaka Bayside
    [第1部]OPEN 14:00 / START 15:00
    [第2部]OPEN 17:30 / START 18:30
  • 2025年12月25日(木)愛知県 Zepp Nagoya
    [第1部]OPEN 14:00 / START 15:00
    [第2部]OPEN 17:30 / START 18:30
  • 2025年12月26日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
    [第1部]OPEN 14:00 / START 15:00
    [第2部]OPEN 17:30 / START 18:30

プロフィール

原因は自分にある。(ゲンインハジブンニアル)

大倉空人、小泉光咲、桜木雅哉、長野凌大、武藤潤、杢代和人、吉澤要人による7人組ダンスボーカルグループ。グループ名には「原因」という言葉を肯定的に捉え、自身が引き起こす事や作り出す物を“原因”として音楽シーンに新たなインパクトを与えたいという意味が込められている。2019年10月に1stシングル「原因は自分にある。」でCDデビューし、2021年1月に1stアルバム「多世界解釈」をリリース。4月に初のワンマンライブを成功させ、12月には2ndアルバム「虚像と実像」を発表した。2023年1月に3rdアルバム「無限の終わり」、8月には7人が主演を務めたテレビ東京系ドラマ「沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call~寝不足の原因は自分にある。~」の主題歌「蝋燭」を配信リリース。11月には神奈川・ぴあアリーナMMにて、初のアリーナワンマンライブ「因果律の逆転」を成功させた。2024年3月にコンセプトEP「仮定法のあなたへ」をリリース。11月にユニバーサルミュージックとのパートナーシップ締結を発表し、2025年4月に4thアルバム「核心触発イノベーション」をリリースした。10月に、4thシングル「パラノイドランデブー」をリリースした。