“あなた”はあくまでみんなのもの
03. 美しい人
[作詞・作曲・編曲:南雲ゆうき]
「もしも、私だけが知っている“あなた”がみんなのものだったら…」
吉澤 「美しい人」はこのEPの中で唯一のジャジーな楽曲で、大人っぽさが一番の魅力なんじゃないかなと思います。歌詞1つ、メロディ1つ取っても「美しい人」というタイトルから連想されるきれいさがちりばめられているので、どこか高貴な位置付けの楽曲になっているなって。僕ら、普段は人を魅了するお仕事をさせてもらっていますが、今回の楽曲では僕らが翻弄される側にいるっていうのも面白い試みだなと思います。表現の幅がまた1つ広がりそうです。
大倉 そうね。
杢代 僕、自分の歌割りの「僕だけのしるしをつけて 痺れちゃうくらい」っていうところがすごく好きなんですよ。「ええー、そんなこと言っちゃう~!?」みたいな気持ちになります!
長野 なるほど。
杢代 ここ、僕的にはパワーワードです。このパワーワードを僕たちが、大人の色気というやつを醸し出しながらパフォーマンスするんですよ。セクシーな僕たちがそこにいると思うので、ぜひ観てほしいです!
吉澤 僕の歌割りにも「二人だけの秘密を照らし出したムーンライト」という歌詞があって、すごくセクシーなフレーズだなと思うんですけど、「二人だけの秘密」だと思っているのは主人公だけで、“あなた”はあくまでみんなのものなんです。そこに切なさというか、決して届かない悔しさだったりも表現されている。本当に破滅寸前の危機的な状況なんですけど、メロディは美しくて……。そういったバランスが絶妙だなと思います。
運命の人と伝説の女神
大倉 僕が聴いてほしいのは、「天使のような微笑みで惑わせて 何もかも全て君に捧げるよ」というパートです。
杢代 あなたに惑わされているのはわかってるよってことだからね?
大倉 そうそう。わかってるんだけど、あなたにすべてを捧げるから、あなただけのものにしてくれと。独占欲はあるんだけど、手が届かないんですよ。ちなみにここ、僕が歌ってます。しかも落ちサビなんです。ライブではちょっと、いい感じに目立たせてもらっているので……。
長野 いい感じに目立たせてもらってる(笑)。よかったね。
大倉 ええ。毎晩お風呂で練習させてもらってます。
長野 「美しい人」、潤くんだったら「もう、歌えないっすよお!」ってなる曲だよね。
大倉 絶対それ言う。てか実際言ってるわ、彼。この曲聴いたとき「もう僕歌えない。僕が惑わされちゃう!」と言ってました(笑)。
杢代 (表情を切り替えて)そうっすね。最初はちょっとわからなかったんですけどー、なんか歌詞を読んだら、ドキドキしちゃいました!
吉澤 あのー、まだ僕にはちょっと早いかなって。
大倉 どっちも雅哉やないかい(笑)。
──では、この曲のキャラクターであるファタのことも聞かせてください。名付け親は要人さんですよね?
吉澤 はい、そうです。まずデザインからお話ししますと、僕もメンバーカラーを入れたかったので髪を紫色にしたのと、この妖艶な楽曲のストーリーやイメージに合うように、華麗に舞っている感じを表現したくて。尾ビレなどのヒラヒラ感を大切に、デザインをお願いしました。
──人魚のようなファタのモチーフはセイレーンでしょうか?
吉澤 そうです。名前に関しては、歌詞に「ファムファタール」という言葉が出てくるんです。調べてみたら、フランス語で「運命の人、男を破滅させる魔性の女」という意味があって、この言葉を使おうと。あともう1つ、ファタ・モルガーナという伝説上の女神がいるらしいんです。その女神が作り出す蜃気楼が船乗りを惑わせて船を座礁させたという伝説が残っていることを知って。「ファタ」つながりで意味が重なったので「2つ掛け合わせたらいいじゃん」と、ファタという名前に決めました。
宇宙人は誰?
04. 推論的に宇宙人
[作詞・作曲・編曲:ナユタン星人]
「もしも、大好きな“あなた”が宇宙人だったら…」
大倉 「推論的に宇宙人」は、「もしも、大好きな“あなた”が宇宙人だったら…」というテーマで作られた曲なんですが、まず、クリエイターがナユタン星人さん。「惑星ループ」「チューリングラブ」など前からずっと聴いていましたし、馴染みがあったので、曲を提供いただけることが本当にうれしかったです。実際書いていただいた曲を聴くとナユタン星人さんの色があふれていて、それもまたうれしくて。
長野 ホントに最高です。
大倉 歌詞にもしっかりと宇宙要素が詰まっています。例えば「キャトルミューティレーション」って、牛がUFOに連れ去れられる状況を表現したりする言葉から生まれた「キャトられる」(誘拐される)というネット用語が使われていたり、「ニナニナニナニナ…」という“宇宙語”が出てきたり。あと、つい最近振り入れがあったんですけど、振付にも宇宙人役が2人出てきます。
長野 誰だと思いますか?
大倉 宇宙人役の2人は宇宙人としての振りがあって、その周りで地球人の僕たちが普通の振りを踊っているような“コラボレーション”もあるので、すごく面白いです。
小泉 誰でしょうかねえー。
──光咲さん、宇宙人ですか?
小泉 ……さあ、どうでしょうか?
杢代 (間髪をいれずに)正解! 正解です!
一同 あはははは!
吉澤 嘘がつけない人だ(笑)。
小泉 え、あと1人は要人?
吉澤 違う、僕ではないですね。
小泉 和人?
杢代 僕でもないです。
小泉 空人?
大倉 違うよ。
小泉 じゃあ凌大?
長野 (両手の人差し指で額に触覚を作り)違います……。
一同 あはははは。
──なるほど(笑)。
大倉 曲の中で主人公は“あなた”の行動や発言に一喜一憂するんですけど、そのすべてが規格外だから「もしかしてこの規格外な感じ、あなたは宇宙人なの?」と。そういった物語を僕らが表現するので、楽しんでほしいです。
全誇張のOKテイク
──2番の「調査ミッションスタート」から始まるセリフリレーのパートも聴いていて楽しいですね。
長野 レコーディングもめっちゃ面白かったです。
大倉 それぞれの色が出すぎてるのよ。
長野 中でも和人が面白すぎて。
杢代 僕は「指どうなってんの? 音ゲー」というセリフを言う役目なんですけど、本当にいろんなパターンを録ったんです。
大倉 ちょっとやってみて?
杢代 「(少し声を張り)指、どうなってんの? 音ゲー!」とか、あとは少しクールめに「指どうなってんの、音ゲー」みたいな雰囲気とか……。
長野 で、使われたのは?
杢代 「指、どーおなってんの!? 音ゲー!!」。これです。
一同 あはははは!
大倉 全誇張!
杢代 OKテイクはもう録れているから、最後にめっちゃ過剰にやってみようか?というディレクションをしていただいて、たぶんそのときのセリフの中の1本が使われているんですよ。
長野 奇跡の1テイク。
──では実際に披露されるときも、そのテンションのセリフを聞けるということですね。
杢代 当たり前じゃないですか。
一同 あはははは!
──楽しみにしています。ちなみに光咲さんと凌大さんは、なぜ宇宙人役に抜擢されたんですか?
長野 曲中の宇宙語、“ニナニナ語”のところを歌っているのが僕と光咲なんです。で、パフォーマンスでもそのまま宇宙人役に大抜擢でございます。
大倉 ちなみに“ニナニナ語”は、母音が「a」の言葉は「ナ」、母音が「i」の発音は「ニ」で発音する宇宙語です。だから「ダイスキ」も「ナニスニ」になるんです。
小泉 ヨロニク~オネナニ~シナ……。
杢代 突然どうした?(笑)
小泉 こんな感じ。ヨロニク~オネナニ……ニナスってことなんです。
長野 なんで「よろしくお願いします」を選んだんだろう(笑)。
──ありがとうございます(笑)。ではこの曲のキャラクターで空人さんの推しキャラであるキャトミンについても教えてください。
大倉 僕が“デザグラ”したキャトミンはですね……。
杢代 それ「デザイアグランプリ」の略称ね? 僕が去年戦ってたところ! 仮面ライダーギーツ!(杢代は「仮面ライダーギーツ」に吾妻道長 / 仮面ライダーバッファ役で出演していた。デザイアグランプリは作中に登場するゲームの名称)
大倉 ああ、すみません。僕がデザインでこだわったのはチョコミント。歌詞にも出てくるんですが、この宇宙人の子の大好きな食べ物がチョコミントアイスなので、チョコミントアイスをジェット噴射器にしました。だから、名前にも「ミント」を入れて。
──キャトミンは愛称で、本名が「ファレリアン・キャトル・ミント」なんですね。
大倉 そうなんです。ミドルネームを付けたいなと思って。ファレリアンは、推論という意味のインファレンスと宇宙人という意味のエイリアン、2つを合体させた言葉で、キャトルは先ほどお話した「キャトられる」のキャトルですね。