ジェニーハイは意外とバンドらしいバンド
川谷 アレンジに関しては、徐々にレベルを上げていて。ほかのバンドとは全然作り方が違うんですけど、小籔（千豊 / Dr）さん、くっきー！（B）さんの演奏レベルに合わせつつ、「これだと難しすぎるかな」と思うこともあります。制作を続ける中で、「前回これができたから、このフレーズもできるんじゃないかな」とか。
yama なるほど。
川谷 そういうやり方で生まれる化学反応もあるんですよね。小籔さんもくっきー！さんもどんどんうまくなっていて。ピアノ（新垣隆）は最初から鬼レベルなんですが、少しずつバランスが取れてきたというか。
yama 楽器のレコーディングには立ち会われるんですか？
川谷 立ち会うこともありますけど、ベースは休日課長（ゲスの極み乙女、DADARAY、ichikoro）に任せたり、ドラムの録りはindigo la Endの佐藤栄太郎にお願いしたりすることも多いですね。今こうしている間にもくっきー！さんがベースを録ってます（笑）。
yama そうなんですね！ “せーの”でレコーディングすることはないんですか？
川谷 スケジュールがまったく合わないんですよ。小籔さん、くっきー！さんはテレビの収録などもあるので。
yama それも普通のバンドではありえないですよね。ジェニーハイはもともと、バラエティ番組の企画で始まって、川谷さんはあとから入ったんですよね？
川谷 そうです。最後に入ったのに、僕が一番がんばってます（笑）。
yama （笑）。楽曲自体の素晴らしさ、強さはもちろんなんですが、メンバーの皆さんの個性もすごいですよね。テクニカルだし、面白いし、ほかにはないバンドだなって。
川谷 意外とバンドらしいバンドなんですよ、ジェニーハイは。メンバー同士の仲もよくて、ツアーでも一緒にごはんを食べて、打ち上げもやって。お笑い芸人の方がゲストで出演してくれることもあるし、楽しいんですよね。みんな大人だからギスギスするようなこともなくて、“バンドをやってる”という感じがすごくあります。小籔さんもすごく真面目に取り組んでくれてるし、くっきー！さんも「ベースを弾くのが楽しい。毎日練習してる」って言ってますね。
自分の声はそこまで濃くないけど、いいのかな？
yama 絵音さんはいろんなバンドをやっていますけど、それぞれに違う楽しさがあるんですか？
川谷 そうですね。ホールやアリーナでライブをやることもあるし、機材運搬を自分たちでやって、ライブハウスを回ることもあって。それを同時進行でやれているのがいいんですよね。初心に戻れる機会もあるし、いろんな感覚を持ったまま活動できるというか。どのバンドもできるだけ続けたいですね。ジェニーハイに関しては小籔さんが「65歳までドラムを叩きたい」って言ってるから、あと15年以上、結成20周年まではやります（笑）。
yama ジェニーハイにフィーチャリングゲストとして呼んでいただけたのはすごくうれしかったし、光栄でした。アイナさん、ちゃんみなさんと、これまでフィーチャリングされた方がすごい個性の持ち主だったので、最初は「自分の声はそこまで濃くないけど、いいのかな？」と思ったんですが……。
川谷 3人とも濃さが違いますからね。もちろん声に魅力があるのは共通しているんですけど。ジェニーハイは別のシンガーをフィーチャリングしても全然違和感がないし、ゲストの方も入ってきやすい気がします。
yama アーティスト写真の撮影で初めて皆さんにお会いしたんですけど、すごく楽しかったです。
川谷 小籔さんとけっこう話してましたよね？
yama はい。気にかけていただいて、いろんな話をさせてもらって。もともとお笑いが好きなので、お会いできてうれしかったです。
川谷 小籔さん、本当に優しいんですよ。たぶん近いうちに「イタリアン行きましょう」って誘われると思います（笑）。
yama 楽しみです！ ジェニーハイは今も制作をやってるんですか？
川谷 はい。アルバムを作ってるんですよ。曲は全部できていて、あとはレコーディングするだけなんですけど、さっきも言ったようにバラバラで録ってるから時間がかかるんですよね。そのしわ寄せが自分のギター録りに来ちゃうんです。1日に何曲もまとめて録ったり。
yama 自分もオリジナル曲を作ってるんですが、なかなか形にならなくて。絵音さんは1人でアレンジまでやることが多いですか？
川谷 いや、アレンジはバンドのメンバーと一緒にやることが多いかな。スタジオに入って、曲の説明をして、音を出しながら進めて。1人になると、やる気がなくなるんですよ。家で弾き語りしてるのも苦痛だし（笑）。人の力ってすごいですからね。自分のいいところや足りないところが見えてくるし、影響も受けるので。
yama 自分もライブをやるようになって、それをようやく実感できるようになりました。バンドのメンバーから受ける刺激はすごいし、1人で歌うのとはまったく違うので。
川谷 yamaさんのライブ、2年連続で観させてもらいましたけど、すごく変わってきてますよね。意識が外に向かうようになって。
yama ありがとうございます。フェスなどでいろんなアーティストのライブを観て、「自分はどういうやり方がいいんだろう？」と考えたんです。ライブ自体も好きになりました。
川谷 「モンスター」もライブで一緒にやれたらいいですね。
yama ぜひ！
プロフィール
ジェニーハイ
バラエティ番組「BAZOOKA!!!」の知名度を上げるために始動したプロジェクト。音楽番組や音楽フェスなどへの出演を目標に、小籔千豊（Dr）、くっきー！（B / 野性爆弾）、中嶋イッキュウ（Vo / tricot）の3人で結成された。オリジナルメンバーのアプローチを受け川谷絵音（indigo la End、ゲスの極み乙女、ichikoro、礼賛）がプロデューサー兼ギタリストとして加入したのち、小籔の推薦でピアニストの新垣隆がキーボーディストとして参加し現体制となる。目標であった音楽番組やフェスへの出演も重ね、2021年9月には初のアリーナ公演も開催。映画「ハケンアニメ！」主題歌となる「エクレール」には、同作に群野葵役で出演する高野麻里佳がゲストボーカルとして、また劇中アニメに出演する梶裕貴、潘めぐみ、高橋李依、花澤香菜も掛け声で参加している。2023年3月にはyamaとのコラボ曲「モンスター feat. yama」を配信リリースした。
ジェニーハイ プロフィール | Warner Music Japan
ジェニーハイ (@genie_high) | Twitter
yama（ヤマ）
SNSを中心にネット上で注目を集める新世代シンガー。2018年よりYouTubeをベースにカバー曲を公開し活動をスタート。2020年4月に自身初のオリジナル楽曲としてリリースされた、ボカロPくじらが手掛けた「春を告げる」はSNSをきっかけに多くのリスナーの心をつかみ、あらゆるヒットチャートでトップにランクイン。また2022年に放送されたテレビアニメ「SPY×FAMILY」の第2期エンディングテーマである「色彩」では、ボカロPくじらと約3年ぶりにタッグを組んだ。
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