GALAXIEDEAD・デッド×岡田ピローインタビュー|マンガと人と音楽と、連鎖する縁に掻き立てられるもの

GALAXIEDEADがミニアルバム「ボイスコミックジェネレーション」を10月25日にリリースした。

GALAXIEDEADは、シンガーソングライターのデッド(Vo, G)によるソロプロジェクト。東京都内を中心に弾き語りやバンド編成でライブ活動を行いながら楽曲を制作している。2018年に発表された1stミニアルバム「やさしいスポンジ」に続く今回の作品は、アニメーション映画「音楽」に提供した「コウテイペンギンのワルツ」、マンガ家・山田玲司の配信番組「山田玲司のヤングサンデー」の主題歌「俺のラブソング」、昨年開催された手塚治虫のトリビュートイベント「手塚治虫文化祭~キチムシ'18~」のために制作された「ノクターン」「マリアのやけっぱち」など、マンガやアニメと関連した楽曲を収録。UKロック、グランジなどの影響を感じさせるサウンド、攻撃性と繊細さを兼ね備えたボーカルスタイルなど、彼自身の音楽性がダイレクトに反映された作品に仕上がっている。なお本作は、新たに立ち上げられたレーベル・NOT SO BAD Recordsの第1弾作品として発売される。

音楽ナタリー初登場となる今回は、GALAXIEDEADのデッドと「ボイスコミックジェネレーション」のアレンジ、ディレクションに関わった岡田ピローに2人が暮らす吉祥寺でインタビューを実施。GALAXIEDEADの成り立ち、音楽的なルーツ、制作のプロセスなどについて語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / トヤマタクロウ

“やさしい”と書いたスポンジを残して

──GALAXIEDEADはバンドではなく、ソロプロジェクトなんですよね?

左からデッド(GALAXIEDEAD)、岡田ピロー。

デッド(Vo, G) そうですね。自分が1人で始めたプロジェクトで、弾き語りもやるし、バンド形態の音源も出していて。いろいろなミュージシャンにも参加してもらってるんですけど、みんな正式メンバーではなくてレギュラーメンバーという感じなんです。岡田ピローも“いつものやつ”ですね。

岡田ピロー はい、いつものやつです(笑)。

──最初はDAWを使った音源制作でスタートしたとか。

デッド はい。2014年に沖縄から東京に出てきて、パソコン1台とアコギ1本で曲を作り始めて。その後、高円寺の四畳半のアパートに引っ越して、録音活動が本格的になってきたんですよね。バンドの音でやりたいという欲求も高まってきて、バンドをやってる知り合いとか、音楽の仕事をやっている友人に声をかけて。

──その頃に岡田さんとも交流ができた?

デッド(GALAXIEDEAD)

岡田 いや、僕が知り合ったのは10年以上前なんです。こいつが高校時代に沖縄で組んでたバンドのドラマーが上京してきて、僕と東京で知り合い、一緒にバンドを始めて。沖縄に遠征したときにデッドのバンドと対バンしたんですよ。

デッド その後も何度か対バンしたり、やりとりがあって。俺が東京に来てから、急に関係が密になったんですよ。

岡田 「アコギ貸して」って急に連絡が来て。それから遊ぶようになって、僕がやってるレコーディングとかミックスの現場にも来始めて。その流れでGALAXIEDEADも手伝うようになったのかな。

デッド そうだった。

──当時のGALAXIEDEADの楽曲の印象はどうだったんですか?

岡田 10年くらい前にこいつが東京に遊びに来たときに、「やさしいスポンジ」を聴かせてもらったんですけど、その印象がすごく強くて。「こんなにいい曲を書く人なんだ。機会があったら、ぜひ一緒にやりたい」と思いました。

デッド この曲は実は古い曲で。自分は意志が弱いというか、あの曲がちゃんと形になると思ってなかったんですけど、彼に「いい形になる」と言われて、勇気が湧いて。去年出したミニアルバム(「やさしいスポンジ」)に入れました。

岡田 でもこの人、10年前に初めて聴かせてくれたあとは、すぐ沖縄に帰っちゃったんですけどね。“やさしい”と書いたスポンジを残して(笑)。

デッド はははは(笑)。

儚くて、ちょっとボンヤリしていて

──当時、GALAXIEDEADとしてやろうとしていた音楽はどういうものだったんですか?

左からデッド(GALAXIEDEAD)、岡田ピロー。

デッド 何だろう……まず、僕はJ-POP育ちなんですよ。海外のロックは音楽を始めてからインプットしたんですけど、その前は歌謡曲、J-POPを聴いていたので。“洋楽志向のサウンドで、仕上がりはJ-POP”みたいなものが好きで、そういう曲が頭の中で鳴ってるんですよね。それをアウトプットしようとして、うまくいったり、いかなかったり……。

岡田 うまくいってるよ。

デッド なんだよ(笑)。

──洋楽のルーツはどのあたりなんですか?

デッド 高校のとき、学校で1990年代の洋楽が流行ったんですよ。NirvanaとかRage Against the Machineとか。先輩が「カッコいいよ」ってCDを貸してくれたりして、「これがカッコいい音楽なんだ」と刷り込まれて。もうちょっとマニアックな人だと、シューゲイザー系のバンドも聴いてましたね。卒業してからはもっと遡ってThe Beatlesや、ブルースなども聴くようになって。その中で「イギリスのロックの雰囲気が自分に合う気がする」と思い始めたんですよね。シンガーソングライターでは、エリオット・スミスが一番好きで。儚くて、ちょっとボンヤリしていて、幸福すぎない感じというか。

──UKロックだったり、エリオット・スミスを想起させる雰囲気は、GALAXIEDEADの音楽にも反映されてますよね。90年代のJ-POPのムードもあるし、全部混ざっていて。

デッド もともと聴いていた日本のバンドもスピッツとかTHE YELLOW MONKEYとか、海外の音楽に影響を受けているものが多くて。引用の引用みたいになってるところはあるかも。あとは沖縄出身なので、SPEEDとかDA PUMPもめちゃくちゃ聴いてました(笑)。ピローがよく聴いてたのは(奥田)民生さんとかだっけ?

岡田 よく聴いていたのは、民生さんとか、くるり、チャットモンチーとかですね。