「凱旋MC Battle」怨念JAPインタビュー|急成長を遂げたMCバトルイベントが過去最大規模の大会決行!主催者が語る“今イベントを開催する意義”

お金にならなくても楽しいから続けてきた

──別のインタビューで「凱旋」を主催していく中で大変苦労もされたという記事を読みました。

最初は本当に大変でした(笑)。お客さんはたくさん来てくれてるのに毎回赤字で……。焼き肉屋さんで週6日、毎日14時間働いてましたね。

──そんな中でも「凱旋」を続けられたのはなぜでしょうか?

生活は厳しかったんですけど、それを超えてイベントをオーガナイズするのが楽しかったんです。だから「もっとバイトをがんばってイベントの回数を増やそう」って先のイベントのことをイメージしてそれを原動力にバイトしてましたね。それから来てくれたお客さんの顔ですね。喜んでくれたり、楽しんでくれたりしてる姿が見たいっていう。それはやりがいにつながりました。それからMC正社員さんというオーガナイザーのお手本が目の前にいたことも大きかったです。

──「凱旋」はYouTubeなどの利用も積極的でしたね。

怨念JAP

そうですね。これまではDVDで観てもらうのが基本だったと思うんですが、自分のような地方にいる若い世代の人や、イベントに来たくても来れない人にも気軽に観てもらえるようにYouTubeに全試合を公開したんです。昨年の12月12日に行った「凱旋」は、ABEMAさんと提携して無料配信したり(一部有料でアーカイブを配信中。参照:凱旋MC BATTLE 2020 Video | ABEMAビデオ)、そういう動きも取り入れていて。そういうことをやるためには映像のクオリティや音声の収録もちゃんと高める必要があって、カメラの台数もどんどん増やしてるんですが、アイデアを具現化できる映像チームの皆さんにも恵まれてます。

──DVDとしては「凱旋MC BATTLE -東西選抜 秋ノ陣 2020-」がリリースされました。

昨年の10月に新木場STUDIO COASTで開催したイベントのDVD化なんですが、あの会場は僕が高校生の時に「高ラ」を観に行った会場だったので、そこでイベントができたこと、ステージに立つ側になれたことは感慨深かったですね」

──内容としては3人のMCがチームを組んでの「3on3」方式でのバトルになっていますね。

2019年から「3on3」での「凱旋」を開いていて。基本的に「凱旋」は大きな大会を年に4回行っているんですが、全部が1対1のバトルだと代わり映えがなくなるので、年に一度、秋の大会はチーム戦での大会にしようと思っていて。MC同士のセッションや化学反応が見れるような大会にしたいと思ってやってます。

──映像を観ると、やはりお客さんがマスクをしながらジャッジをしている部分も印象に残りました。

コロナ禍の中でも来てくれるお客さんがいることはうれしかったんですが、願わくばこの状況が終わって、パンパンの新木場STUDIO COASTで「凱旋」を開きたいって思いましたね。

──MCバトルもコロナ禍で大きな影響を受けていると思いますが、イベント運営で変わったことはありますか?

昨年は「戦極」「真 ADRENALINE」「凱旋」の3組が「SAVE THE MC BATTLE」という企画で、3週連続でそれぞれのイベントを開催、配信もしたんです。これまでは各イベント同士が「助け合う」っていう概念はなかったんですけど、その企画を通して主催者同士の距離感も更に近くなりました、お互いをサポートするという意識も生まれて。それは大きな変化だったと思いますね。

シーンを生き延びさせる、
続けるためにもイベントを止めちゃいけない

──そして2月23日には、ぴあアリーナMMで「凱旋MC Battle」が開催されます。MCバトルとしては最大規模の収容人数の会場での大会になりますね。

2020年1月の「凱旋」ではZepp DiverCity TOKYOに2500人が集まってくださって、4月にはZepp Osaka Baysideで3000人規模の大会を開く予定だったんです。コロナで中止になってしまったんですが、そのチケットの売れ行きとスピードを考えると、もっと大きな会場で挑戦してみたいと思って、昨年の夏にぴあアリーナMMで「凱旋」を開催する予定だったんです。ただ状況的に難しくなってしまい、会場のぴあアリーナMMさんが延期を提案してくださって、今回のタイミングで開催することになったんですよね。

──バトルに出場するMCもそうですが、ライブ陣も超豪華ですね。フェスレベルと言っても過言ではない。

WILYWNKAさんには以前も「凱旋」のライブにはご登場いただいていて、Awichさんは中止になってしまったZepp Osaka Baysideに出演していただくはずだったんですが、今回改めてご登場いただけることになりました。¥ellow Bucksさんは最近一気にスターダムに駆け上がったアーティストとしてぜひ出ていただきたくて。BAD HOPさんは今のシーンを代表する存在なので「凱旋」に登場してもらえるのはうれしいですね。バトルのイベントなんですけど、同時にライブが大事だっていうのは以前からテーマにしていたことで、「こんなビッグネームが顔をそろえることがあるの!?」っていうような方々にご登場いただけるのは本当に自分としても楽しみです。

怨念JAP

──バトル陣の人選はどのように?

ここ2、3年ぐらいのバトルシーンの猛者や注目MCの方々に集っていただけたと思いますし、MCバトルの現在の総決算のような人選になったんじゃないかなって。今のバトルの中心人物はもちろん、のし上がってきたニューカマー、ムーヴメントの先駆けになった方々、それから大先輩やジャンルを超えた人選になっているので、見どころがたくさん生まれると思います。

──今、「MCバトルを開く」という意義について、怨念JAPさんはどのように考えていますか?

確かにこの状況下でたくさんの方々に来ていただいてイベントを開くっていうのはどうなんだっていう意見も多いし、その気持ちもわかるんです。ただ、国や業界団体の取り決めたガイドラインを遵守することができるなら、イベントを止めちゃいけないと思ってます。自分の手腕によってできることがあるなら、このシーンをこれからも生き延びさせる、続けるためにも、イベントはやり続けなきゃいけないなって。本当にみんな助け合ってるんですよね。だからこそ、イベントをやり続けることが今は大事だなって思います。