ファンモン「ROUTE 16」インタビューで振り返る“忘れられない過ぎゆく日々” (2/2)

モンちゃんのイメージを形に

──グループでの活動再開後、初のシングルだった「エール」のレコーディングではファンモンという看板の大きさを改めて実感して、プレッシャーも感じたとおっしゃっていました(参照:FUNKY MONKEY BΛBY'S「エール」インタビュー)。再始動2作目となる「ROUTE 16」のレコーディングはいかがでしたか?

ファンキー加藤 スムーズだったよね?

モン吉 どうだったんだろう、あんまり記憶にない(笑)。スムーズだったような気はします。

ファンキー加藤

ファンキー加藤

モン吉

モン吉

ファンキー加藤 少なくとも「エール」に比べればスムーズだったよ。

──記憶に残ってしまうようなトラブルもなく進んだということですね。

モン吉 時間はかかったんですけどね。

ファンキー加藤 確かに。デモは早い段階でできてたけど、最後の詰め作業が長かった。

モン吉 曲のコンセプトとかメロディはすぐ出てきたんですけど、アレンジが大変でした。アレンジャーさんが初めて一緒にやる方で、福岡在住だったんですよ。いつもならお馴染みのスタジオにみんなで集まって作業するんですけど、一度も会わずにデータのやり取りだけで完成させたんです。

ファンキー加藤 それでも、シングルをリリースして、日本武道館でライブもやって、ツアーも回って、ファンモンの色にいい感じに染まった状態でレコーディングに入れたんで。五里霧中というよりはぼんやりと光が見えてて、そこに向かって3歩進んで2歩下がるみたいな進み方でした。

──遠方に住むアレンジャーとの作業にチャレンジした理由は?

モン吉 曲を作ろうとなって、まずいろんな方からトラックを送ってもらったんです。その中に「ROUTE 16」の元になるものがあったので、「この人とやろう!」と。

ファンキー加藤 送ってもらったトラックにモン吉がメロディを乗せてみるところから曲作りが始まるんですけど、すぐサビのメロディが出てきたんですよ。それを自分たちでもいいと思ったし、スタッフの評判もよかったんで。相性が悪いトラックだと、いくらやってもまったくダメなときもあります(笑)。

FUNKY MONKEY BΛBY'S

FUNKY MONKEY BΛBY'S

モン吉 曲調とかコード感はすぐハマったんですけど、アレンジに関しては何度もやり取りしました。最初はもっと明るくてポップス寄りだったんですけど、自分たちの声もすごくポップス的なので、そうなるととっかかりがなくなっちゃうなと。きれいだけど、聴き流されちゃうというか。その微妙なニュアンスを電話とかLINEで伝えるのがなかなか難しかったんですけど、しっかり応えてくれてありがたかったです。「今ローファイがきてるし、ローファイレゲエってあんまり聴いたことないから面白くできそうだね」とか。

ファンキー加藤 アレンジャーさんによってはほとんどお任せしちゃうときもあるんですけど、今回はモンちゃんの頭の中にあるイメージを形にしてもらった感じですね。

モン吉 近くにいなくてもそのイメージをちゃんと伝えて完成させられたので、いい経験になったというか、今後の活動にプラスになるだろうなって。自信がつきました。

──今後もリモートでの制作は増えていくでしょうし、海外在住の方との作業もあるかもしれませんよね。

ファンキー加藤 海外の人ともやってみたい!

モン吉 やりたいですね。例えば仮歌を録るにしたって、ファンちゃん(ファンキー加藤)が自宅でパパッと1時間くらいでやってくれるし、そういうテンポ感はすごく上がってるんですよ。直接会えなかった時期はあったけど、こういう環境によってお互い成長できた感じはします。

ファンキー加藤

ファンキー加藤

モン吉

モン吉

今回のジャケットは「セルフカバー」

──最近モン吉さんはラップに原点回帰していると伺いました。

モン吉 そうなんですよ。すごくラップを聴くようになりましたね。ラップを聴いても「知らないおじさんに怒られてる」としか思えない時期もあったんですけど(笑)。

──特によかったアーティストはいますか?

モン吉 トビ・ルーです。当時のNice & Smoothほどヒップホップすぎなくて、日本人が好きそうな要素が多いというか。ちょうどいい割合なんですよね。UMIちゃんも好きですね。曲も見た目も完全に今っぽくていいなあって。

──シーンのトレンドもチェックされてるんですね。

モン吉 ここ何年もトラップが流行ってるじゃないですか。トラップのBPMと、自分たちが10年くらい前にバラードでやってたBPMは近いなとか、そういう発見があるのも楽しいですね。

──ラップへの回帰は曲作りにも反映されていますか?

モン吉 ファンモンは言いたいことがまず先にあって、フロウはそのあとっていう感じだったんですけど、それがうまいこと混ぜて作れるようになってきましたね。メッセージもフロウも両立できるようになってからすごく楽しくて。「ROUTE 16」も「ラグソング」も気持ちよくラップできました。

──加藤さんは最近どんなアーティストを聴かれましたか?

ファンキー加藤 俺は相変わらずサザンオールスターズとMr.Childrenですね!

──いいですね。さて、ファンモンと言えばさまざまな著名人の写真を使用した“顔ジャケ”です。「誰がジャケットを飾るか?」というのも楽しみの1つですが、今回はNMB48の渋谷凪咲さんです(参照:ファンモン新作ジャケにNMB48・渋谷凪咲「自分が載せて頂ける日が来るなんて夢みたいです」)。

ファンキー加藤 今年の2月にNMB48さんから「ファンモンさんのジャケのオマージュをさせてもらえませんか?」って連絡があったんです(2022年2月にリリースされたNMB48「恋と愛のその間には」劇場盤)。バストアップで背景がボヤけてる、いわゆるファンモン風の。そうやって遊んでいただけるのはありがたいんで、「ぜひやってください」と。で、今回のジャケットを誰にしようか考えたときに、現役のアイドルでご自分でも歌っていて、NMB48の「恋と愛のその間には」の劇場盤でファンモンのジャケットをオマージュしてくれた渋谷さんに逆にこちらからお願いしたら面白いかなと。バラエティとかでもよく拝見してますしね。

──ある意味、セルフカバーというか。

ファンキー加藤 そうそう、そんな感じです。初回盤のジャケが昔で、通常盤が現在を表現してるんです。曲調的にさわやかでキラキラしてる感じをイメージしていたので、渋谷さんがぴったりだなと思いました。

「ROUTE 16」ミュージックビデオ撮影時の記念写真。

「ROUTE 16」ミュージックビデオ撮影時の記念写真。

──渋谷さんはミュージックビデオにも出演されていますね。

ファンキー加藤 逗子にあるカフェで撮影しました。MVの監督にも渋谷さんの儚さとかキラキラ感が出るようにお願いしたので、そこが見どころですね。俺たちも味付けの塩コショウ程度に歌ってるんで、そこもご注目ください(笑)。

FUNKY MONKEY BΛBY'S

FUNKY MONKEY BΛBY'S

プロフィール

FUNKY MONKEY BΛBY'S(ファンキーモンキーベイビーズ)

東京八王子出身のファンキー加藤、モン吉による2MCグループ。前身のグループであるFUNKY MONKEY BABYSはDJケミカルを加えた2MC1DJの3人組グループで、「告白」「ヒーロー」「あとひとつ」など数々のヒット曲を送り出し、「NHK紅白歌合戦」に4年連続出場。TBS「輝く!日本レコード大賞」にも3年連続で出演し、作曲賞、優秀作品賞、優秀アルバム賞の各賞を獲得するも、人気絶頂の中、2013年6月に行った東京ドーム2DAYS公演を最後に解散した。解散から約8年の時を経て、2021年3月にTBS「音楽の日」にてフルメンバーで1夜限りの再結成を果たす。同月、ファンキー加藤とモン吉の2人が、それぞれのソロ活動と並行して “FUNKY MONKEY BΛBY'S”に改名してグループとして活動することを発表した。9月には新体制初のシングル「エール」をリリースし、10月にはFUNKY MONKEY BΛBY'Sとして初のワンマンライブ「WE ARE FUNKY MONKEY BΛBY'S in 日本武道館 -2021-」を開催。2022年2月から5月にかけて全国ツアー「YELL JAPAN」を行い、6月にニューシングル「ROUTE 16」をリリースした。